秋元通信

【秋元通信】指差呼称は脳に良い!

  • 2015.2.26

こんにちは。

先日、富士通さんの物流勉強会に参加させていただきました。
刺激的でしたね!
参加された皆様のさまざまな取り組みをお聞かせいただき、とても勉強になりました。そして、意識が高い会社様との意見交換は、心地よいです。いつか、「秋元通信」の読者様と、直接意見を交換するような場を設けられたらと、夢を抱いてしまいました。

さて、今回のメイン記事は、その勉強会からネタを頂戴しました。
どうぞ、よろしくお願いします。



■ 今号のメニュー ■
1.指差呼称は脳に良い!
2.物流関連ニュース
3.トラック運送業界の景況感 (速報)(平成26年10月~12月期)



■ 指差呼称は脳に良い!  ..。..。..。..。..。..。..。

物流業界、産業界ではお馴染みの「指差呼称」。
本メルマガ読者様の多くは、指差呼称に日常的に接しており、また指差呼称が安全衛生対策として効果的であることも、経験的にご承知のことと存じます。ただし、「どうして?」と理由を聞かれると…、困ってしまいませんか?

今回は、指差呼称の効果を、脳科学の観点から、ご紹介いたします。

指差呼称が安全衛生対策に効果を発する仕組みは、「フェーズ理論」によって説明されています。

フェーズ理論では、無意識のフェーズ0(ゼロ)から、いわゆる「頭に血が上っている」状態であるフェーズ4まで、人の意識状態を5段階に分解しています。もっとも人の脳が安全意識を高い状態に保てる状態はフェーズ3ですが、意識のニュートラル状態はフェイズ2。フェイズ2とは、以下の状態です。
「正常のレベルでノーマルであるがリラックスした状態である。
行動上は、間違いや操作ミスを起こしやすく、注意が前向きに働かないので見落としや度忘れがでやすい」
つまり、フェイズ2の状態では、安全衛生の点で問題あり!、ということです。

しかしながら、人の能力には限界があり、フェーズ3を維持し続けるのは無理です。そのため、事故の発生しやすいシチュエーション、安全意識を求められる場面では、意図的にフェーズ2からフェーズ3に意識をギアチェンジすることが、安全衛生対策として有効です。
指差呼称は、フェーズ2からフェーズ3へギアチェンジを促すスイッチの役割を果たすと言われています。

ちなみに、指差呼称を行うと、脳内の血液における酸素量が増えるとの実験結果があります。
この実験では、「指差呼称」、「呼称」(声に出すだけ)、「指差し」(指をさすだけ)、「黙読」(声に出さず読むだけ)の4つの方法で、脳内活性化の変化を確認しています。

・「黙読」では、脳はほとんど活性化しない。
・「指差し」では、右脳がやや活性化する。
・「呼称」では、左脳が活性化、右脳はやや活性化する。
・「指差呼称」では、右脳左脳とも、大きく活性化する。

以前、脳トレブームがありましたね。
脳トレブーム火付け役の茂木健一郎先生は、自身が提唱した「アハ体験」を称して、脳の様々な部位を活性化することにより「(誤解を恐れずに言えば)アハ体験とは、分かった瞬間に頭がよくなる体験を得ることができる」としています。

指差呼称は、意識付けの観点だけではなく、実際にドライバーや作業員の脳を、安全衛生対策にもっとも適した状態に引き上げる観点でも効果的ということです。

余談です。
先日、筆者は弊社大滝とともに、富士通の物流勉強会に参加しました。
当日は、開発中のさまざまな安全技術をご紹介していただきましたが、その中に「指差呼称をドライバーが行っているかどうかを確認、記録できる技術」がありました。これは、運転席向き(ドライバー向き)のドラレコに変わる技術として、動画ではなく、ドライバーの行動のみを記録する技術。例えば携帯電話を触りながら運転している動作など、様々な動作を記録することができるそうです。
動画で運転中ずっと撮影され続けることを嫌がるドライバーさんもいます。
プライバシーも考慮し、ドライバーさんがより気持ちよく働くことのできる環境を創りあげようとする、楽しみな技術ですね。

ご安全に!


※指差呼称(しさこしょう)は、業界や企業によって、呼ばれ方が異なります。本記事では、「指差呼称」で文言を統一しましたが、以下と同じ安全確認動作を話題にしております。
指差喚呼(しさかんこ)
指差確認喚呼(しさかくにんかんこ)
指差呼称/指差し呼称(ゆびさしこしょう)
指差称呼(しさしょうこ・ゆびさししょうこ)
指差唱呼(しさしょうこ・ゆびさししょうこ)

※参考リンク
フェーズ理論(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%BA%E7%90%86%E8%AB%96

職場の安全サイト/指差呼称(厚生労働省)
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo72_1.html



■ 運送関連ニュース ..。..。..。..。..。..。..。
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 「物流ウィークリー」から、運送関連ニュースを
 ピックアップしてご案内いたします。
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◇配車係になったドライバー
◇運送業界 進まない地位向上
◇「女性の働きやすさ」 女性経営者・ドライバーの本音
◇総合物流施策推進プログラム 新たな施策追加
※記事本文は物流ウィークリーWebサイトをご覧ください。




■ トラック運送業界の景況感 (速報)(平成26年10月~12月期) ..。..。..。..。..。..。..。

全日本トラック協会Webサイトにて、掲題の統計が公開されています。
http://www.jta.or.jp/chosa/keikyo/keikyo_pdf/keikyo1410_12.pdf

同レポートのまとめ部分を転記しましょう。
「トラック運送業界 の景況感の判断指数は▲19.2となり、前回(▲34.7)から改善した。景況感の判断指数は、保有車両台数別におけるいずれの規模においても改善傾向にあるが、特に大規模事業者及び小規 模事業者ではそれぞれ19.9ポイント、17.9ポイントの改善がみられた。
来期の景況感の判断指標は、今回から5.8ポイント悪化の▲25.0が見込まれている」

10月~12月期の景況感は、基本的に改善傾向にあるものの、1月~3月期、つまり年度末の繁忙期については、あまり期待できないということでしょうか。
もっとも忙しいはずの3月繁忙期について、景況感の向上を期待できないという統計結果が気になります。もう少し、本点を深堀りいたします。

一般貨物事業者を対象とした統計について、昨年同期との比較をしてみましょう。

◇輸送数量
今年:「やや減少」+「大幅に減少」 32.8%
前年同期:「やや減少」+「大幅に減少」 13%

◇売上
今年:「やや減少」+「大幅に減少」 32.9%
前年同期:「やや減少」+「大幅に減少」 19%

輸送数量、売上とも、昨年に比べて大幅に悲観的な見通しが増えています。
昨年12月、つまり年末繁忙期は、「思ったよりも忙しくなかった」、「肩透かしを食らった」といった声が聞かれましたが、その反動で、3月繁忙期にも悲観的な見通しが増えているのでしょうか。

ちなみに、売上が「増える」と答えた事業者についても、以下のように大幅に減っています。

◇売上
今年:「大幅に増加」+「やや増加」 18.1%
前年同期:「大幅に増加」+「やや増加」 36%

3月というのは、運送業界にとって最大の稼ぎ時のはず。
その稼ぎ時に、売上が期待できないというのであれば、その内容は十二分に検証すべきです。

今後も、秋元通信では、継続的に運送業界の今を示す統計データを取り上げてまいります。



最後までお読みいただきありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。


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