秋元通信

インターンシップは必要? 採用マーケットを考える

  • 2016.2.22

「インターンシップは意味がないので止めることにしました」

これは、弊社で現在採用Webサイト制作をお任せいただいている、とある企業の人事担当者の言葉。
一部上場企業であり、これまでずっとインターンシップを実施し、学生を迎えて入れていた企業です。

弊社では、昨年からインターンシップを3回行ってきました。
最近では、2週間前に実施したばかりです。

これまで、「インターンシップは良いですよ!」という趣旨の記事を何度かお届けしてきましたが、今回は、インターンシップの是非について、わたくしどもなりに考えてみましょう。
結論から申し上げます。
企業におけるインターンシップ実施の是非は、以下ポイントを考慮すべきと考えます。

  1. その企業の業務内容が、世間一般的な理解とかけ離れている企業ほど、インターンシップの効果は期待しやすい。
  2. インターンシップを行う上で、きちんとしたカリキュラムを組むことができない企業は、インターンシップを行うメリットが少ない。
  3. インターンシップを、CSR活動(企業の社会的責任)のひとつとして捉えることができる企業は、インターンシップに価値を見出すことができる。

 

「知らなかったです!!」

これは、手前味噌ながら弊社インターンシップに参加してくれた学生さんたちが、たびたび発する言葉。
とても残念なことではありますが、物流企業=トラックドライバーと認識している理解不足は、世間にまだ存在します。学生レベルであれば当然とも言えるでしょう。
物流の要素は、「輸送/配送」、「保管」、「荷役」、「包装」、「流通加工」、「情報処理」の6つと言われますが、トラックドライバー(輸送/配送)以外の5つのことに関する気づきを与えることができれば、当然「知らなかったです!!」と学生さんは、新たな気づきを得て、そして喜んでくれるわけです。
物流業界のように、世間に理解されにくい業界ほど、インターンシップの意味と効果が高いと、わたくしどもは考えています。

 

「アルバイトと同じようなことを、インターンシップで経験しても、ちょっと物足りないのは本音ですよね」

これは、ある高校進路指導部先生のお言葉。
例えば、量販店にインターンシップに行き、結果レジ打ち、品出しなどしか体験しないのであれば、アルバイトでも経験ができることかもしれません。アルバイトにさせることを、そのままインターンシップのカリキュラムにしてしまっても、学生側も先生側も価値が見出しにくくなるのは当然のことでしょう。
量販店の例で言えば、店舗における接客サイドのオペレーションだけではなく、本部業務や仕入れ、大きく言えば流通だったりマーチャンダイジングの一部でも見せてあげることができれば、学生側であり、先生側が期待するインターンシップへの満足度は上がったことでしょう。
だから、カリキュラムを練ることが必要なんですね。
学生に対し、「うちの会社、うちの業界って面白いだろ!」と感じさせられるような、そんな迫力のあるカリキュラム創造が欲しいところです。

冒頭、インターンシップを止めた企業は、専門商社です。同社では、折衝であり営業活動に、商社の真髄があると考えています。
ところが、学生を商談の場に同席させることはできないわけですね。だから、ありきたりのインターンシップ・カリキュラムしか組めず、参加する学生側、実施する企業側の満足度も低くく、結果、インターンシップの中止ということになったのでしょう。

 

「企業にとって、インターンシップの意味ってなんでしょうか?」

これは、ある進路指導部の先生から質問された言葉。

その先生は、このように続けます。
「インターンシップにご協力いただいた企業に、生徒を送り込みたいという気持ちは当然あります。でも、そうならないことも多々あります。決めるのは生徒本人であり、致し方ないとはいえ、申し訳ないという気持ちは、やはりあります」

インターンシップを行うことに対する、企業側最大のメリットは、インターンシップに来てくれた学生が、採用応募してくれることでしょう。ただし、それが実現するとは限らないため、「企業にとって、インターンシップの意味ってなんでしょうか?」という問いにつながったことと思います。

インターンシップとは、学生に職業体験を積んでもらうことにより、特に就職に役立つ見地を広げることとされています。ことが職業体験であるがゆえに、学校側だけでは実施できません。インターンシップ実施に、企業の協力が不可欠であることは自明の理です。
だからこそ、インターンシップにはCSR活動としての要素が含まれてきます。
ただし、インターンシップを続けることは、企業の価値を再検証することにつながります。このあたりの詳細は、別の機会に取り上げたく存じますが、結果として採用に強い企業へと進化するきっかけとして、インターンシップがトレーニング効果を発揮することも、これも事実であることは付け加えたいと思います。

 

「就職活動って、企業にとっても学校側にとっても、カネがかかりすぎると思うんです」

これも、ある進路指導部の先生の言葉です。

中間マージンを搾取する存在が、大きな影響力を持つ就職マーケット。
だからこそ、先生の言葉は当然のことです。

だったら、どうしますか?
ひとつの結論として、学校と企業が直取引する方法があります。昨今の流通が経てきた進化と同じです。
もうひとつメリットがあります。採用活動に経験が浅いわたくしどもでも、進路指導部の先生方と直接お話させていただくことで、様々な情報を得て経験値を稼ぐことができるのは、大きなメリットです。

もっとも、中間搾取の存在に対するキャッシュアウトは減っても、その分、手間がかかるのも事実。その手間の最たるものが、インターンシップということでしょうか。
最後にひとつ宣伝をさせてください。
弊社では、物流企業の合同インターンシップを行うことができないものかと考えています。
現時点で、「やる!」と決めることのできる読者様は難しいかと思いますが、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、ご連絡を頂けませんでしょうか。弊社におけるインターンシップ実施のウラ話などもお話できればと考えます。
まずはゆるく、できればお酒なども嗜みながら、意見交換をさせていただきたく存じます。

ぜひ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

おまけ:インターンシップレポート(2016年2月実施)

2016年2月に実施したインターンシップでは、5名の男子高校生を迎えました。
インターンシップの様子をレポートしましょう。

今回の日程は、2日間。今までで、もっとも短い日程です。
既にカリキュラムは、これまで二回実施したインターンシップで出来上がっています。そのため、これまでのカリキュラムから、抜粋、つまり引き算のイメージで今回のカリキュラムを組みあげました。

軸となるのは、初日の「物流シミュレーションゲーム」。
そして2日目の「社会人とは」です。

2016年2月実施 高校生向けインターンシップタイムスケジュール

2016年2月実施 高校生向けインターンシップタイムスケジュール

 

今回、3分間スピーチを新たにカリキュラムに追加しました。
以下のようなルールで行っています。

3分間スピーチのテーマ

3分間スピーチのテーマ

  1. テーマは、こちらから支給
  2. テーマ支給から、5分でスピーチを考える
  3. スピーチ実施中は、タイマーを表示

 

3分間スピーチというと、勘で「3分間」を予測しつつ、話をまとめるやり方をイメージされている方がいらっしゃいます。
このやり方、とっさのスピーチ等における対応力を鍛えるためには良いやり方なのですが、今回はこの方法を取りませんでした。

「3分間という時間を把握する能力」は、持って生まれた能力に左右される要素が強い能力です。訓練で向上させることは可能なのですが、例えば、絶対音感、完全記憶能力(カメラアイ)などに近い能力です。

従って、瞬発力のあるトーク構成力を鍛えることを重視する上では、上記3.のように、タイマーを用いた方が良いかと思います。

 

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