秋元通信

物流を数字で診る

  • 2016.4.28
全日本トラック協会が毎年発行する同書。物流に関わる者、必読の一冊です。

全日本トラック協会が毎年発行する同書。物流に関わる者、必読の一冊です。

全日本トラック協会にて、2016年度版の「日本のトラック輸送産業 現状と課題」が発表されています。
http://www.jta.or.jp/coho/yuso_genjyo/yuso.html

前半は、トラック輸送産業に関するさまざまな数値データを紹介。中盤以降は、トラック輸送ビジネスに関するトピックを網羅的に解説されており、とても勉強になる資料です。
今回は同資料掲載のデータを始め、物流ビジネスの今を示す数字をいくつかご紹介しましょう。
◇国内貨物の総輸送量は、47億トン(平成26年度)
平成3年には約70億トンあった国内貨物総輸送量も、以降減り続け現在では47億トン。約34%も減少したことになります。

輸送機関別に輸送量を診ると、トラックが約9割、海運が8%弱、鉄道が約1%、そして航空は0.2%となっています。

◇トラック運送事業者の総数は、62,637社。倉庫業事業者数は、5,981社。
トラック運送事業者の49%は、従業員が10名以下の会社であり、逆に従業員数が100名を超える会社は3.2%しかありません。
中小企業基本法に基づき、「資本金3億円以下又は従業員300人以下」の企業を中小企業とすると、トラック運送事業者の99%以上が中小企業。これが、トラック輸送産業の実態です。

 

もう少し、トラック輸送ビジネスについて深掘りしていきましょう。

◇トラック一台あたりの実働一日の走行キロ数平均は、163.2km
◇1トンあたりの平均輸送キロ数は、62.05km

ちなみに、2014年度の統計では、実働一日の走行キロ数平均は174.45km。1トンあたりの平均輸送キロ数は62.12kmでした。現在は落ち着いているものの、ここ数年は石油価格の高騰が続いていました。そんな事情から、トラックの走行距離を抑えようという気持ちのあらわれが、一日走行キロ数の低下に現れているのかもしれません。
ただし、1トンあたりの平均輸送キロ数は、ほぼ変わっていません。
これは、荷物が軽くなる傾向があるのか、それとも過積載が減ったのか…。気になるところです。

◇営業用貨物自動車の割合は、大型自動車38.7%、中型自動車37.1%、普通自動車13.3%

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トレーラーは10.8%となります。
また、営業用貨物自動車の総数は、約138万台となります。

 

 

 

 

 

次に、トラック輸送ビジネスに従事する「ヒト」に関する数字です。

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◇トラック運送事業者の就業者数は約185万人
うち、80万人がドライバーなどの輸送・機械運転従事者となります。また、185万人の男女比は、おおよそ5対1。男性151万人に対し、女性就業者は34万人しかいません。
さらに言えば、80万人のドライバーのうち、女性は2万人しかいません。
もし仮に、女性の就業率が他産業並になれば、トラックドライバー不足という課題は、大幅に解消することができます。「トラガール」キャンペーンなど、女性ドライバーへの期待も当然のことと言えます。

給与額の推移。運送業の給与水準の低さは明確です。 ※クリックで拡大します。

給与額の推移。運送業の給与水準の低さは明確です。 ※クリックで拡大します。

 

◇道路貨物運送業の平均給与は、約29万4千円
ちなみに、全産業の平均給与は、約31万7千円です。
平均給与額は、全産業平均においても、ずっと減少傾向にあります。運送業では、平成11年の約33万7千円を頂点に減少し続けています。

 

 

 

◇運輸業・郵便業の月間労働時間は、173.5時間
ちなみに、全産業平均は145.1時間です。以前の秋元通信でもお届けしましたが、これは残業が多いというよりも、週休二日制が普及していないことで労働時間が長くなる傾向にあります。
続いては「お金」。売上やコストに関する数字をご紹介します。

◇売上高物流コスト比率は、4.7%
1995年は6.58%あった売上高物流コスト比率も、年々減少を続け、2013年には4.7%まで減少しました。
ちなみに、業種別に診ると、もっともコスト比率が高いのは通販小売業の12.39%となっています。以下、窯業・土石・ガラス・セメントの8.7%、冷蔵食品の8.16%と続きます。

◇物流コストの構成比は、輸送費が57.2%、保管費が15%、その他27.8%
◇支払先別にコストを診ると、自社物流14.2%、子会社10.8%、外注75%

物流コスト構成比は、ここ20年ほぼ変化がありません。
対して、支払先については、自社物流と子会社が減少し、資本関係のない運送事業者(外注)への支払比率が大幅に増えています。自社物流および子会社への支払いは、1998年前後と比べると半減しています。
メーカーや商社、最近では通販事業者における物流ビジネスへの参画が話題に挙がることが最近多いものの、全体的な傾向を診れば、子会社を含んだ自社物流は減少傾向にあることを数字は示しています。
では最後に、物流ビジネス全体の売上は確認しましょう。

 

◇物流ビジネスの売上は、約25兆66百億円。トラック輸送に限定すれば、約15兆6千億円

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事業分野別の売上は、弊社ブログに表を掲載しておりますのであわせてご覧ください。
物流ビジネスのスケールに関しては統計の取り方によって大きく差が出てくる数字です。前述25兆66百億円には、例えばトラック製造、マテハン機器、システムなどの売上は含まれていないことを付記しておきます。

 

 

 

 

 

以上、いかがでしたでしょうか。
膨大な種類の「数字」がある中で、ほんのごく一部ではありますが、ピックアップしてご紹介しました。
今回したいくつかの数字が、新人教育や、もしくは雑談のネタにでもお役に立てば、とてもうれしく存じます。

 

参考文献:
ロジスティクスKPIとベンチマーキング調査報告書2014
(公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会)

2014年度物流コスト調査報告書
(公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会)

日本のトラック輸送産業 現状と課題 2016年度版
(公益社団法人全日本トラック協会)


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