秋元通信

ツワモノたちが創りし、伝説(…?)の営業エピソード

  • 2016.8.10

最近は、営業志望の学生さんたちが減っているそうです。
ノルマに追われる、お客さんと会社の板挟みとなって神経をすり減らす、といったネガティブイメージから、営業職を敬遠する傾向が、最近の学生さんたちにはあるのだとか。

そういうイメージが、営業という仕事にあるのは確かなんでしょうね。

営業マン実は筆者、とても営業が厳しいことで有名だった某企業に勤めていました。飛び込み営業やアウトバウンド・テレマーケティング(※要は売り込み電話)のセールスで、強い営業力を誇っていた同社では、笑い話のような逸話を持った営業マンがうようよしていました。
今回は、筆者が見てきた伝説の営業マンのエピソードをお届けしましょう!
 
 
◇セールスマンにセールスする営業マン
飛び込み営業をしていると、別の会社、別の商材を扱う営業マンとかち合うことがあります。
なかなかにバツが悪いものなのですが、彼はその状況を逆手に取るのが得意で、かち合ったセールスマンに営業をかけてしまいます。保険の営業、お弁当の営業、ある時など、同じようにPHSを扱う他社の営業マンに、自社のPHSを契約してもらったとか。
「お宅はA社のPHSですよね。うちのはD社なんですよ!他社のPHSも使ってみないと、セールストークがうまくなりませんよ!」と口説き落として契約を獲得したんだとか。
ちなみに、彼はバス停でバス待ちをしている人、道を歩いていて目があった人などからも契約を取っていました。単なるナンパ師じゃないかという噂もありましたっけ。
 
 
◇商品のスペックデータを完全暗記する営業マン
彼の武器は、圧倒的な商品知識です。コピー機の営業マンである彼は、国内主要4メーカーのすべてコピー機の特徴、スペックデータを完璧に暗記していました。コピースピードなどの特徴的なスペックだけではなく、恐るべきは、寸法、消費電力、重量といった、つまりはカタログに書かれているスペックをすべて丸暗記していること。
筆者などは、これが何の営業トークに繋がるのか、未だに良く分かりません。でも彼の営業成績は常に良かったので、営業トークの武器になっていたことは確かなんでしょうね。
 
 
◇常に「脛に傷を持つ」営業ウーマン
「脛(スネ)に傷を持つ」とは、よくない隠し事を持つことを形容する言葉ですが、彼女の脛は、文字通りいつも傷だらけでした。
何故って、彼女は客先に入る時、いつも「転ぶから」です。私も一度だけ彼女の営業に同行したことがありますが、それはもう見事な転びっぷり! とても演技とは思えない転び方をします。
「だってぇ、転んだドジっ子は、おじさんたち放っとけないでしょ?」というのが彼女の弁。
初対面のお客さんとの心理的垣根を強引に取り去る効果があるんでしょうか? 転び芸で、彼女はやがて全国TOPの営業マンに上り詰めました。
 
 
◇見た目とのギャップで繊細さを強調する営業マン
出社すると、彼は部屋全体に朗々と響く音量で、ワーグナーの「ワルキューレ」をかけます。「ワルキューレ」と言えば、フランシス・コッポラ「地獄の黙示録」の1シーン、「ワルキューレ」を大音量で流しながらベトナムの海岸線にナパーム弾を打ち込むヘリコプターを思い出す方もいることでしょう。今風に言えば、「ワルキューレ」は戦場に出る彼のモチベーションを上げるためのローテーションだったのでしょうね。

色付きのメガネを掛け、痩せた身体にやや大きめのストライプのスーツを着る彼は、見た目ははっきり言ってチンピラです。しかし、その営業スタイルは徹底的な低姿勢。例えば、彼はお客さんよりも頭を絶対に上に上げません。そして、お客さんが納得するまで、懇切丁寧に説明をし、お客さんのリスクを説明し過ぎるくらいに説明したうえで、契約を求めます。
見た目とのギャップを信頼と説得力の裏付けとして逆利用するのが、彼の営業スタイルでした。
 
 
◇しゃべらない営業マン
彼は、営業の時に必ず後輩を同行します。そして、客先に入ると、説明は原則すべて後輩に任せます。
その時、彼はどうしているか?
席を立ち、ずっと外を眺めているのです。

「なんだこいつ?」
そう思いますよね。
お客さんもそうです。そこで、お客さんも尋ねるわけです。そうすると、彼はこう答えます。
「僕、お客さんに謝らなきゃいけないことがあるんです」
いぶかるお客さんは、その理由を尋ねます。彼は答えるのを躊躇しますが、お客さんもさらに尋ねます。すると彼はこう答えます。
「うちのコピー機、高いんです」

これが彼の手管です。
そう言われると、お客さんはまず間違いなく価格を聞いてきます。そこで彼が価格を言うと、お客さんの中には、言われた価格が「高い」という前提が刷り込まれます。「高い」価格のスタート地点を強引に設定することで、その後の価格交渉を自分ペースに持ち込むのが、彼の営業話法ということですね。
 
 
◇遅刻を演じる営業マン
私が代理店開拓に従事していた時、あるお客さんとの大詰めの交渉を、東京本社で行うことになりました。
相手は福岡の会社。九州から東京まで、わざわざ出向いてもらうわけです。

交渉には、私の上司であった役員も同席することになっていました。ところが、上司は当日になって交渉に同席しないと言ってきたのです。
慌てる(そして不愉快さを隠さない)私に、上司はこう言いました。
「落ち着け。俺は、隣の会議室にいるから安心しろ」

いぶかる私へ、上司はこのように説明します。
当日、九州から来るお客さんには、「○○(※上司のこと)は、大クレームが入ったため、打ち合わせに参加できなくなった」と言って、お前は平謝りしろ。
お客さんは不愉快だろうが、九州からわざわざ来たんだ、お前のプレゼンは聞くはず。俺も、隣の会議室から、打ち合わせの様子をずっと聞き耳をたてているから、話を進めろ。
一番お客さんが納得しにくいポイントは…、フランチャイズ料のところだよな。
フランチャイズ料の説明になったら、お前はことさらに熱を入れて話し、壁を三回叩け!
いいな、俺の言うとおりにしろよ。必ず、壁を三回叩けよ!

さて、実際に打ち合わせが進み、フランチャイズ料のところで、壁を三回叩いた私。
すると、直後に真っ赤な顔をした上司が、打ち合わせの部屋に飛び込んできたのです。

「遅れてゴメンナサイ!!! どでかいクレームが入ってしまって、私が出るしかなかったんです! クレームのお叱りを受けている最中も、社長(※お客さん)の顔がずっと浮かんでいて、気が気でありませんでした! なんとかわがままを言って、クレーム対応を抜けてきてしまったんです。社長!、え~と、フランチャイズ料….、大丈夫、必ずうちが社長を儲けさせるから、これくらいのフランチャイズ料なんてなんの問題にもなりませんよ!」
…という具合にマシンガントークをお客さんに浴びせながら、お客さんの両手を握って熱弁する上司。
クレーム対応を抜けだしてまで会いに来た(わけでは、本当は違うのですが)上司に感動し、目頭をうるませるお客さん。

「あとは○○(※筆者)に任せてあるので、代理店契約、お願いできますよね!」
念に念を押して、架空のクレーム対応のために、部屋を出て行く、上司….

もちろん、ここまでやって契約が取れないわけがありません。
ちなみに、上司は出番に備えて、隣室でスクワットを繰り返し、顔を紅潮させて待機していたそうです。
 
 
 

実は、営業希望の学生さんは増えているそうです(2017年卒マイナビ大学生就職意識調査より) ※クリックでガズは拡大します

学生にアンケートした希望職種。実は、営業希望の学生さんは増えているそうです(2017年卒マイナビ大学生就職意識調査より) ※クリックでガズは拡大します

さて、やり過ぎ感のある営業マンの逸話を取り揃え、ご紹介してみました。
お盆前の忙しいひととき、多少なりとも気晴らしなったのであれば、嬉しい限りです。

ちなみに、今回ご紹介のエピソードを真似された結果、やけどをされても当社は一切の責任を負いかねますので、ご注意くださいね
(^_-)


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