秋元通信

ビッグデータで、「事故」を起こす人を見抜くことができる??

  • 2017.6.22

「ビッグデータ」というキーワードが、総務省発行の情報通信白書に登場したのは、平成24年版のことでした。
ビッグデータとは…、難しい説明を省いてざっくりと説明すると、従来の技術では扱うことができなかった巨大なデータ群を解析する技術のことを指します。あくまで例えですが、昔のデータ処理技術では、全世界の過去100年分、1分単位の気象データを解析して、気象予測を行うことは無理だったわけです。ところが近年、コンピューターの処理能力などが高まったことにより、例に挙げたような巨大なデータ群を解析することができる、もしくは解析できる可能性が見えてきたわけです。
 

情報通信白書(平成24年度版)には、このようにある。 「インターネットの社会基盤化等を背景に、ブロードバンド・クラウド・ソーシャルを経て、スマートフォン等の普及によりユビキタスネット環境が完成。膨大な情報流通・蓄積の活用‐ビッグデータと融合し、『スマート革命』へ」

情報通信白書(平成24年度版)には、このようにある。 「インターネットの社会基盤化等を背景に、ブロードバンド・クラウド・ソーシャルを経て、スマートフォン等の普及によりユビキタスネット環境が完成。膨大な情報流通・蓄積の活用‐ビッグデータと融合し、『スマート革命』へ」

先日行われたGoogle最大の展示会「Google Cloud Next Tokyo」でも、ビッグデータ解析に関するさまざまな展示やセミナーが行われました。
基調講演においては、ビッグデータの活用例として量販店での事例と可能性を紹介していました。
いわく、店舗内において動画撮影を行い、来店客の店舗内での移動経路や表情、そして商品を手に取るなどの一連の動作をすべてリアルタイム解析、売上向上につながるマーケティング解析を即時に行うとのこと。
動画のような大量の情報を含む(≒重いデータ)を解析するには時間とパワフルなスペックのコンピューターが必要でしたが、現在はクラウド上で処理可能になりつつあるそうです。そして、この技術がより進めば、「事故を起こす可能性のあるドライバーをピックアップする」といった解析も現実味を増します。
 
 
解析対象となるデータは、例えばトラックの運転席側に設置されたカメラや、ドライバー本人が身につけた体活動計(※心拍や歩数等を記録する、歩数計の進化版のようなもの)、もしくはトラックを運転する際に行った各種操作(アクセル、ハンドル、ブレーキなど)などとなります。
 
取得された画像や心拍数などの記録は、クラウド上に蓄積され、リアルタイムで解析されます。その過程で、異常な心拍数や、居眠り運転の兆候を表す表情(目をつぶる、など)、もっと言えば薬物摂取等の兆候(まっすぐ歩けない、ろれつが回らない、など)が発見されれば、異常報告として運行管理者などに警告メッセージが発せられます。
 
異常の発見は、過去のデータと照合されることでも行われます。むしろ、こちらがビッグデータが本領を発揮できるポイントです。
 
例えば、過去の運転時には平均心拍が120の人が、160を超えているようなことがあれば、これは異常です。
 
例えば、信号停止前のブレーキ操作によるG(重力加速度)が、普段0.2G程度の人が、0.6G(タイヤがロックする寸前)のブレーキ操作を頻発すると、これは異常です。
 
例えば、配送先で荷役開始する際の顔の赤み(顔面皮膚血流)が、普段と比べて著しく高い場合は、何か心理状態に異常がある可能性があります。
普段よりも瞬きの回数が異常に多い場合、心に緊張を抱えている可能性があります。
 
人の体調やカラダの動きというのは、個体差があります。
そのため、「こうなったら異常」という警告基準を標準値として設定することは、とても難しいです。ところが、観察対象者となる人の過去のデータと比較して検証することで、「普段と違う」という状態は検知できるわけです。
このことによって、体調面のみならず心理面での異常も検知することができる可能性があります。
 
さらに言えば。
このような技術を使えば、会社に対して悪意を持った行動を企んでいる輩を発見することも可能です。例えば、以前某冷凍食品会社の工場において、従業員が製品に農薬を混入させるという事件がありました。このような犯罪を行う際には、心拍数の増加、顔面の紅潮などを含めた行動異常が発見される可能性があります。つまり未然に犯罪を防ぐことが可能となるわけです。
 
とは言え…
ちょっと気持ち悪いですよね。
自分はぜんぜんそんなことを思っていないのに、ある時「お前、悪いこと考えているだろ!!」と監視システムに言われたら、どうしよう…
筆者などは、そんなことを想像してしまいます。
 
 
ビッグデータの解析技術は、日進月歩で進化しています。
今はどこか現実感の少ないビッグデータですが、知らぬ間にビッグデータ解析の恩恵が、私どもの生活に欠かせない要素になる日も近いのかもしれません。


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