秋元通信

誤解も多い? ヒアリとアナフィラキシーショック

  • 2017.8.17

あっちの港でも、こっちの港でも、強烈な毒を持つと言われるヒアリの発見ニュースが続いております。輸入コンテナなどと一緒に密入国(…?)しているわけですが、ヒアリに刺されることで発症し、時に死にもつながるのがアナフィラキーショックです。
今回は、知っているようで意外と知らないアナフィラキシーショックについて解説しましょう。
 
 
アナフィラキーショックとは何か?
 
アナフィラキシーショックは、アレルギー反応のひとつで、極めて短い時間のうちに全身に重いアレルギー症状がでることに特徴があります。
 
 
「極めて短い時間」ってどのくらいなのか?
 
アナフィラキシーショックが原因で心肺停止に至る場合、薬物が原因の場合は平均5分、蜂やヒアリに刺されたことが原因の場合は平均15分、食物が原因の場合は平均30分と言われます。ただし、後述のとおり「アナフィラキシーショック=心肺停止」が100%ではないことは知っていただきたいところです。
 
 
「全身に重いアレルギー症状」ってどんな症状なのか?
 
症状は、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など複数の臓器に発生します。症状はさまざまですが、じんましんや皮膚のかゆみ、せきなどから、呼吸困難や急激な血圧低下による失神、心肺停止に至るケースもあります。
 
 
アナフィラキシーショックに襲われたら、どうすればいいのでしょうか?
 
結論から言えば、救急車を呼ぶことです。躊躇してはいけません。
食べ物が原因の場合は吐き出し、また水で洗い流すことも有効とされますし、蜂に刺された場合は、毒針を取り除いたり、ポイズンリムーバーなどで毒液を吸い出すことも有効とされます。しかし所詮は素人処置、救急車が到着するまでの応急措置と割り切り、ちゃんとした治療は、お医者様に委ねましょう。
 
 
ちなみに、「蜂に刺されたらオシッコをかけると良い」というのは真っ赤なウソです。今どき、信じている人も少ないと思いますが…
 
 
また、「蜂に二回刺されるとアナフィラキシーショックを起こしやすくなる」という話を聞いたことがありませんか? 最初に蜂に刺された時に体内に蜂毒に対する抗体が生成され、二回目に蜂に刺されると抗体が悪さをしてアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
ただし、蜂に刺されで死に至る事故を調べたところ、複数回刺されたケースよりも、初回のケースのほうが多かった、という研究もあるそうです。
つまり、「蜂に刺されたのは初めてだから、アナフィラキシーショックの心配はない」というのは間違いです。
 
 
さて、ヒアリの話です。
ヒアリは攻撃性が高い上、スズメバチ並みの強毒を持っています。さらに、ヒアリの毒成分は、一部が蜂毒成分と共通しているため、蜂に刺され、体内に蜂毒抗体を持った人の場合は、ヒアリに刺されることでアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
 
ただし、ヒアリの脅威については、報道されているほど怖くはないよ!、というヒアリ在住国出身(もしくは生活していた)の人の声もあることは知っておくべきでしょう。
いわく、ヒアリの巣はすり鉢状に土が盛り上がっていて特徴的だからすぐ分かるという声。ヒアリに刺されるのは、巣を踏んづけてしまったときくらいだから、地道を歩く時に気をつけていれば大丈夫!、と言うものです。
また、筆者がネットを探したところ、ヒアリに何度も刺された経験がある人のブログが見つかりました。その方が言うには、刺されると確かに痛いし、なかなか治らないけれども、でも私は何度も刺されているけど生きてるから平気です、というものでした。
痛くて、なかなか治らない時点で、筆者は「嫌だなぁ…」と思ってしまうのですが…
 
 
最近の報道では、ヒアリが怖いので港そばの公園では子供を遊ばせないというお母さんや、過去に蜂に刺されたことがあるので、アナフィラキシーショック対策としてアドレナリン自己注射薬(※ショック症状を一時的に緩和する作用がある)を持ち歩いている人を紹介していました。
やりすぎ感もありますね。
 
注意を怠らないことは大切でしょうが、むやみに恐れること、ましてやそのために日頃の生活をスポイルするようなことはもったいないです。正しく広い知識を身につけることも、大切なことだと思います。
 
 

注記

 
・ポイズンリムーバー

これがポイズンリムーバー。安いものであればアウトドアショップなどで1000円程度から購入可能。

これがポイズンリムーバー。安いものであればアウトドアショップなどで1000円程度から購入可能。

虫さされの毒などを吸い出すことを目的とした注射器のような形をした道具。
ちなみに筆者は、アブやブヨなどに刺された時のために、登山やサイクリングなどの際には必ず持参します。刺された直後にこれを使うかどうかで、その後の痛みやかゆみがまったく違います。ただし、筆者の経験上、蚊程度にはまったく効果がありません。
 
・アドレナリン自己注射薬
アナフィラキシーショックを起こした経験のある人は携行すべきとされています。ただし、蜂やヒアリが怖いから、という理由で持ち歩くのは行き過ぎだという意見もあります。
どちらにせよ、お医者さんに相談した上で、処方を受けましょう。
 
 

参考

アナフィラキシーってなあに.JP
http://allergy72.jp/
 
アナフィラキシー(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%BC
 
「ヒアリ」の疑問を専門家が答える…覚えておきたい合言葉は“ひありおくやみ”
https://www.houdoukyoku.jp/posts/14941


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