秋元通信

暗雲垂れ込む!?、倉庫ビジネスの今

  • 2018.6.22

今月初頭の日経新聞記事が、倉庫ビジネスを騒がせています。
 

『物流施設に過剰懸念 商社も参入、迫る2020年問題 首都圏で面積7割増』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31521160X00C18A6TJ2000/

 
記事では、ここ数年活況を呈してきた物流不動産ビジネスの結果、メガ倉庫に供給過剰のリスクが生じていることを報じています。
 

「2020年に合計の延べ床面積が首都圏で現在より7割増える」

 
2020年問題とは、これを称しています。
 
 
国土交通省が今年3月に発表した、「平成28年度 倉庫事業経営指標(概況)」をかいつまんでご紹介しましょう。
http://www.mlit.go.jp/common/001224268.pdf
 
同統計によれば、普通倉庫事業者の32.1%が赤字とのこと。過去10年の統計において、赤字企業の割合は最大でも15.1%(平成19年度)であり、急激に赤字企業が増えたことを示しています。
 
赤字の原因は何か?
ひとつ考えられるのは、貨物自動車運送事業の落ち込みです。収益構成で診ると、前年(17.4%)に比べると、半分以下の8.0%まで落ち込んでいます。
一方で貨物利用運送事業は、前年よりも4%ほど上昇しています。自社トラックを抱える倉庫屋が割りを食っている様子が伺えます。
 
もうひとつ考えられるのは荷役です。
同統計における荷役の營業収支率平均は97.2%、つまり赤字です。しかし、同統計によればここ10年間、荷役はずっと赤字であり、プラスに転じたことはありません。
一方で、保管に関しては、107.1%と黒字を出しています。保管については、ここ10年間多少の上下はあるものの、ずっと黒字をキープしています。
 
しょうがないのかもしれませんが…
保管で稼いでつじつまを合わせようとする、倉庫事業の危うさが構造的に定着していることが分かります。
 
 
日経新聞の記事は、まさに今ここに迫る危機を指摘しています。対して、国土交通省の統計は平成28年度のものです。つまり、一概に比較することができないことを付記しておきます。
 
私見ですが、平成28年度、つまり2年前の統計が今頃にならないと発表されないこと自体、危機意識が足りないように感じます。倉庫ビジネスには、運送ビジネス以上に敏感なアンテナが必要なのかもしれません。
 
 
 


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