秋元通信

【秋元通信】 ルールが守れない 

  • 2015.6.17

こんにちは。

沖縄では、例年よりもとても早い梅雨明けを迎えましたが、それ以外の地域でも、梅雨明けが遅れる可能性があるそうです。
世間では、再び飲酒に起因する悲惨すぎる交通事故が発生し、話題を集めています。
物流に関わり、交通のプロたるわたくしどもは、より一層、世間の模範となるべく頑張らないといけませんね。

今回は、ある物流センター長のお嘆きを、「ルールが守れない」と題してお届けします。



■ 今号のメニュー ■
1.ルールが守れない
2.物流関連ニュース
3.求荷求車情報ネットワークWebKIT成約運賃指数(2015年5月度)
4.トラックドライバーの人材育成に向けて



■ ルールが守れない  ..。..。..。..。..。..。..。

某所で聞いたお嘆きです。

その方は、物流センター運営に従事、センター長を務めていらっしゃいます。
3PLを経営されている物流企業の社員であり、立場的には荷主に近い側に位置します。

センター長のお悩みは、「ルールはどこまで決めればいいのか?」ということ。

例えば、禁煙。今でこそ、物流センターとその敷地内は、指定場所以外全面禁煙なのですが、これを徹底するまでには、相当のご苦労があったそうです。

くわえタバコのまま、トラックからおりてくるなんていう光景は日常で、ひどいドライバーだとバース上、倉庫内でタバコを吸う人もいたとか。
また、当初はトラックの運転席でタバコを吸う分には黙認していたのですが、窓を空けて灰を地面に落とす、吸い殻をポイ捨てするドライバーが頻発。さらには、荷台上でタバコを吸い、「荷台は、トラックの『中』でしょ?」と開き直るドライバーを見るにつけ、致し方なく、物流センター内の全面禁煙を宣言したとのこと。

「うちの荷物を運んでくれるドライバーさんに、こんな杓子定規なルールは適用したくなかったのですが…
ルールの抜け道を探すような振る舞いや拡大解釈、重箱の隅をつつくような指摘をされると、どうしてもルールを厳しくせざるを得なくなってきます」


話は大きく変わりますが、「合意性推定」という心理学の言葉をご存知でしょうか。
合意性推定とは、「自分と同じ意見がどれくらい一般性を持っているか推測すること」を指します。性分として、人は合意性推定を過大に評価する傾向があるそうです。自分の考え方=多数派意見、と考えてしまい、「普通、みんなそう思うよね。これが普通でしょ!」と自らの考え方や感じ方を正当化する傾向がある、ということですね。

ルールを守らない人の心理傾向を、交通ルールを例に研究した論文※があります。
この論文によると、交通ルールを守らない人は、合意性推定を普通の人(交通ルールを守る人)よりも多めに判断してしまう傾向があるそうです。

「赤信号? まじめに守っている奴なんて、どれだけいるのさ? 信号無視? みんなやっていることだろう!!」と身勝手な判断を下してしまうわけです。

こういう人、つまりルールを守れない人に対しては、どのように対処すればよいのか。

まずひとつは、
「あなたが、『普通、○○だよな』と思っていることは、普通じゃありませんよ。皆が、あなたと同じように感じ考え、行動しているわけではありませんよ!」
と納得させることが大切です。

そして、
「決められたルールは守らなければなりませんよ!」
というルール遵守意識を育てていくことが、効果的なんだそうです。

ルールを守らない傾向の強い人に対しては、「なぜルールを守らないんだ!!」という説教よりも、「ルールを守るほうが『普通』なんだ」と懐柔し、納得させるほうが効果が高いということになります。


さて、先のセンター長のお悩みに、話を戻しましょう。
先日、物流センター内、車両待機場所のはしっこで、立ち小便をしたドライバーがいたそうです。
当人いわく、「俺は糖尿病で頻尿なんだ。仕方がないだろう?」とのこと。

「そこまでルールで決めないとダメなんですか!?」
これも合意性推定なんでしょうか…ね?

センター長のお悩みは続きます。


※出典
東海心理学研究 2013年3月 第7巻 東海心理学会刊
「ドライバーの交通ルールやマナーに対する意識が合意性推定に及ぼす影響」



■ 運送関連ニュース ..。..。..。..。..。..。..。
 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
 「物流ウィークリー」から、運送関連ニュースを
 ピックアップしてご案内いたします。
 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

◇ 10年後にドライバー22%減 国政研まとめ
◇ 荷主の理解得難い現状 労働時間改善へ何度も交渉
◇ 信用できる運送会社 初取引の判断材料は?
※記事本文は物流ウィークリーWebサイトをご覧ください。




■ 求荷求車情報ネットワークWebKIT成約運賃指数(2015年5月度) ..。..。..。..。..。..。..。

全日本トラック協会Webサイトにて、昨月のWebKIT成約運賃指数が公開されています。
http://www.jta.or.jp/kit/kit_release/kit_release_201505.pdf

成約率、案件の登録件数、運賃指数のいずれも堅調に推移しています。下記に2013年12月からの推移をまとめていますが、今年に入ってから、各指標が安定しつつあるように見えます。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1xc1sVLQdAoNJyIGjsRQbo_6pDYQE0BMl9XPnp3Tetjc/edit?usp=sharing

一時の異常なクルマ不足から脱却し、案件とクルマの需要供給のバランスが取れつつあること。
また、WebKITの利用が進み、有効に活用する運送会社が増えていることも、このような堅調な傾向に反映されていることと考えられます。



■ トラックドライバーの人材育成に向けて ..。..。..。..。..。..。..。

昨今のトラックドライバー不足に関し、国土交通省と厚生労働省が、「トラックドライバーの人材確保・育成に向けて」に関する公表を行っています。

国土交通省、厚生労働省連名 「トラックドライバーの人材確保・育成に向けて」
http://www.mlit.go.jp/common/001090803.pdf

トラック運送業界の現状は、以下のようにまとめられています(1ページ)。

「トラック運送事業者のほとんどが中小事業者であり、荷主に比べ立場が弱く、手待ち時間の負担を押しつけられている、また、適正な運賃収受がなされていないといった課題がある。
その結果、トラックドライバーの労働環境は、長時間労働であり、かつ給料も低い状況にあるため、ドライバー不足が懸念される」

同資料中で語られる両省の取り組みは、「魅力ある職場づくり」と「人材確保・育成」。
その指導とサポートの対象は、運送会社に限られています(7ページ)。

「荷主に比べ立場が弱く、手待ち時間の負担を押しつけられている、また、適正な運賃収受がなされていない」というのであれば、なぜ荷主企業に対する指導をうたわないのか。
下請法の摘発強化など、やれることはあるはずなのですが。

多くの荷主企業において、物流企業の苦境が理解が浸透されつつある傾向は、肌感覚としては感じています。しかし、いじめっ子を指導せず、いじめられっ子に「もっと強くなりなさい!」と言うばかりでは、根源的な対策にはならないと感じます。

なお、厚生労働省では、運送会社が利用しやすいと考えられる、人材確保、育成、定着のための各種助成金の案内も行っています。
http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/jinzai/jinzai_pnf201505.pdf

運送会社において助成金を活用した場合の、支給金額の例もあがっていますので、ぜひご参考にしてください。
秋元運輸倉庫子会社:アルケミートレードでは、このような助成金制度に詳しく、申請サポートのできる人材、会社のご紹介も行うことができますので、ご相談ください。




最後までお読みいただきありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。


関連記事

■数値や単位を入力してください。
■変換結果
■数値や単位を入力してください。
■変換結果
  シェア・クロスバナー_300