秋元通信

お昼寝のススメ

  • 2015.10.28

筆者は、基本的に眠気に弱いです。
特に最近は、ちょっと夜更かしすると午後は激しい眠気に襲われ、辛いですね…

そんな筆者も20数年前、まだ現役トラックドライバーだった頃は、かなり無理をして長距離を走っていました。いろいろな意味で「ゆるい」時代でしたから、時には18時頃千葉県内で自場の配送を終え、そのまま翌朝着で九州まで走ることもあったり。
眠気に対し、必死に我慢を続けて走っていると、幻覚に襲われることがあります。前を走る某布団メーカーの看板車に描かれた羊やら布団のイラストが僕に向かって駆け出してきた(ように見えた)ことがあって、他人事のように「あぁ、これは本気でヤバイ…」と思いました。

仕事中の眠気はやっかいなもの。まして、居眠り運転は論外です。

さて、今回のテーマは、眠気を覚まし、仕事の生産性を上げる効果もある、上手な昼寝との付き合い方を考えましょう。

まず、「居眠り」について考えてみましょうか。
心理的、もしくは社会的な観点では、「居眠り=睡眠ではない」という考え方があります。居眠りをしている当人は、「眠とは異なる状況」において「社会に参加しながら」眠っている、つまり文字通り「居+眠り」をしており、これは睡眠とは異なる、という考え方です。

生理学的に居眠りを解説します。
「瞬眠(micro sleep)」という言葉をご存知でしょうか。瞬眠とは、眠った当人が自覚することが極めて困難な数秒間の眠りのこと。瞬眠は、目を開けた状態でも発生しますが、脳波を測定すると、睡眠脳波が現れているそうです。
また、居眠りが発生する前、そして居眠りの最中には、「緩徐眼球運動」が発生します。皆さんも、眠気が強い時に、眼の焦点が合いにくくなる現象を感じたことはありませんか?
緩徐眼球運動とは、睡眠レベルの初期段階において、目がゆっくりと動く現象です。自身の意思に反して眼球が動くので、目の焦点が合いにくくなるわけですね。

ある研究において、高速道路を走行中のドライバーにおける脳波(瞬眠の有無)と緩徐眼球運動を測定したところ、いわゆる居眠り運転の状態で、時速100km/hを維持したまま、20分運転を続けた例があるそうです。
冒頭筆者の例を挙げるまでもなく、「寝たまま運転していた」という状態は、比喩や誇張ではなく、現実に発生することが実証されています。

居眠りを防止するためには、瞬眠を防止する必要があります。
しかし、眠気に襲われた当人が、緩徐眼球運動や瞬眠に気がつくことは極めて困難です。そのため、この段階で「居眠り運転を起こしかけている極めて危険な状態」であることを、ドライバー本人に知覚させるためには、外的な居眠り検知システムなどを利用する以外に方法がありません。
こういったシステムに関しては、車載機器メーカー各社が研究を重ね、また実用化されているシステムもありますので、ご存じの方もいらっしゃることでしょう。

居眠り=「居+眠り」、つまり「社会に参加しながら眠っている」という説を挙げましたが、周囲からしたら迷惑でしかありません。ましてや居眠り運転は、何をか言わんや…ですね。

では、居眠りを防ぐためにできる自己防衛策は何か?
結論から言ってしまえば、規則正しい生活を送り、また居眠りを防ぐための積極的な昼寝を行うこととなります。

健常者(※無呼吸症候群などの睡眠障害を除く)の眠気にもっとも強く影響する原因は、睡眠不足とサーカディアンリズムと言われています。
サーカディアンリズム(概日リズム)は、分かりやすく言えば体内時計のこと。地球上に生息する生物の多くは、24時間を周期として活動を行いますが、この周期のことですね。
不規則な生活、もしくは人間本来のサーカディアンリズムとかけ離れた深夜労働などは、どうしても眠気を誘発してしまいます。

平均睡眠時間

先進28か国の平均睡眠時間の統計。ただし、別の調査では、日本人は他国に比べて昼寝をよく行うという結果も出ているそうだ。

 

また、日本人は睡眠時間がとても短いと言われています。
2011年、28カ国を対象に行われた調査では、調査対象国中、日本国民の平均睡眠時間は7時間41分で、調査国中もっとも短時間でした。一番長い睡眠をとる国は南アフリカの9時間22分。以下、中国:9時間2分、フランス:8時間49分、インド:8時間46分、アメリカ/スペイン:8時間36分と続き、調査国中8時間を割ったのは、日本と韓国(7時間41分)のみでした。

 

 

ただし、長時間の睡眠を取れば、眠気に襲われないかといえば、そうではありません。
眠気発生のタイミングには、諸説あります。
例えば、10時半、12時半、14時半など、2時間周期で眠気に襲われるという説。
例えば、正午を挟んだ昼ごろなど、12時間周期説。
また、眠気は体温と密接な関係にあり、一日の中でもっとも体温が低下する早朝3~5時ごろに眠気がピークに達するという説。

ちなみに、居眠り運転事故の発生率を見ると、午前2時から5時、午後15時にふたつのピークがあります。交通事故全体の発生率ピークは、午前8時と午後17時にありますので、概ねこれらの説を裏付けているものと考えられます。

ではそろそろ、本題の「上手な昼寝との付き合い方」を挙げましょうか。

10分から20分の短時間の昼寝を積極的にとること。
30分以上の昼寝は、むしろ逆効果なので避けること。

これだけ。シンプルですね。

人間は眠りに入ると、まずノンレム睡眠に入ります。ノンレム睡眠は、いわゆる「深い眠り/夢を見ない眠り」であり、ホルモンを分泌、ストレスを消去し、蓄積した睡眠物質を分解してくれると言います。
30分以上の睡眠は、ノンレム睡眠から次の段階へ移行してしまうことから、起床しにくく、寝起きにぼーっとしてしまうそうです。

お昼休みの空き時間など、合間を見つけて積極的に昼寝を取ることで、居眠りを起こすリスクを下げ、作業の効率性を高め、運転時の注意力なども回復させることができるということですね。
皆さまも、ぜひ積極的に昼寝を行うことで、居眠りを回避し、眠気とうまく付き合う術を試されてはいかがでしょうか。

 

おまけ:職業ドライバー健康管理ツールの切り札となる?「活動量計」について
fig1

筆者の活動量計は腕時計タイプ。中央に表示されている数値は、筆者の心拍数。

活動量計とは、歩数や心拍数などを記録することで、装着している人の健康増進やトレーニングに役立てることを目的としたツールです。

もっとも有名な活動量計は発売されて間もない「Apple Watch」でしょう。
その他にも、SONY、EPSONなど、さまざまなメーカーから、さまざまなタイプのものが発売されています。

 

 

activity

専用Webサイトの画面。歩数、心拍数、睡眠時間などが並んでいる。

 

多くの活動量計は、取得したデータをスマートフォン経由でWeb上のクラウドサービスに送信することができます。
専用Webサイトにまとめられた自身のデータは、トレーニングや健康管理などに有効に活用することができます。

 

 

 

 

sleep

筆者の睡眠時間ログ。青い縦線が寝返りの回数。赤い縦線は眠りから覚めた状態を示す。活動量計では、心拍数から睡眠時間を自動記録することができます。

内蔵された加速度センサーから、寝返りの回数も記録。
睡眠の質を、定量的に判断することが可能です。

冒頭に書いたとおり、昼間に眠気に襲われることの多い筆者でしたが、活動量計を身に付けるようになってから、そもそも睡眠時間が短すぎることに気が付きました。

活動量計により、睡眠時間を記録することで、睡眠時間の確保を意識するようになり、以前よりも日中の眠気に苦しむようなことは少なくなってきています。

 

筆者の活動量計は、身体の活動を記録することを目的としたツールであり、居眠り運転の防止を主目的としたものではありません。
居眠り運転の防止を主目的としたツールでは、心拍を測定することで、瞬眠などの居眠りの兆候を感知、ドライバー本人への警告を行い、同時に事務所にいる運行管理者に警告メッセージを通知することができるものもあります。

眠気に襲われた当人が、緩徐眼球運動や瞬眠に気がつくことは極めて困難です。
そのため、この段階で例えば、居眠り運転を起こしかけている極めて危険な状態であることを、ドライバー本人に知覚させるためには、外的な居眠り検知システムなどを利用する以外に方法がありません。

前述のとおり、「外的な居眠り検知システム」として、活動量計は期待されています。

また、日常的に活動量計をドライバーに身に付けさせることで、十分な睡眠を含めた規則正しい生活を送っているのかどうかを、会社側が把握することを検討している研究もあるようです。

もっとも、倫理的にそのような方策が許されるのかどうか、はなはだ疑問ではありますが…

 

職業ドライバーであるかどうかによらず、睡眠に問題を抱えている方は、活動量計を試してみるのも良いかと思います。
値段もさまざま、タイプもさまざまなモノがありますので、ご興味のある方は大手量販店などに足を運ばれてはいかがでしょうか。


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