秋元通信

雑談ネタを作るコツ

  • 2016.9.30

こうやって毎月二回、メルマガ「秋元通信」を発行していると、よくこんなお声を掛けていただきます。
「毎回毎回、ネタを探すのも大変だね!?」

はい、その通りなんです…
とは言っても、ネタ探し、ネタ作りも、闇雲に行っているわけではないんです。実は、ちょっとしたコツがあります。
今回は、筆者なりの「ネタ作りのコツ」をご紹介しましょう。

世の中には、人気ブログを運営する、Blogger(ブロガー)と呼ばれる方々がいらっしゃいます。人気ブログの傾向、Bloggerさんのネタ作りを診ていると、大きく3種に分類されます。

1.メーカー型
自らネタを作り出すタイプです。芸人さんや、コンサルタントなどに多くあるタイプで、自らの行動をネタにする、もしくは自分の考えを文章にする方々が、このタイプにあたります。
自らの考え、感じたことや行動(生活)を文章にすることは比較的容易ですが、それが世間に受け入れられるかどうかは、まったくの別問題です。そこが、このタイプの難しさと言えます。

2.バイヤー型
世の中にある情報を自らセンスでセレクトして、再発信するタイプです。IT系の有名ブログ「100SHIKI」には、「世界のアイデアを日替わりで」とキャッチコピーが添えられていますが、まさにバイヤー型ブログを象徴するような言葉です。
バイヤー型を真似て、自ら決めたテーマのニュースやトピックを片っ端から垂れ流す方もいらっしゃいます。特に、Twitterに多いのですが、これはセンスがないです。
ワインのソムリエが、玉石混淆で良いワインも悪いワインも区別なしにお客さんに提供したら、どうなりますか?そんなソムリエ、あっという間にお払い箱です。
価値のある情報をセレクトする審美眼が求められるタイプであり、ある意味、もっともセンスが求められるタイプと言えます。

3.評論家型
世の中にある情報に対し、自らの評論を添えて文章にまとめるタイプです。元ネタがあるわけですから、比較的文章は作りやすく、ネタ作りの取っ掛かりとしては、とても馴染みやすいタイプです。
反面、評論は「良い/悪い」といったふたつに単純化されやすく、文章が単調にもなりがちです。また単調な文章を避けるために、尖った評論に傾倒してしまう方もいます。行き過ぎると世間からの批判を浴び、炎上へとつながってしまいます。

例を挙げてみましょう。
前回の秋元通信では、枕文に以下のようなニュースを取り上げました。

スピルバーグ監督が「あの頃にCGがあったら『ジョーズ』は駄作になってた」と語る

名作「ジョーズ」を制作した時、もし仮に今と同じCG等の技術があったら…、という問いに対して、スピルバーグ監督の答えがとても興味深いです。

「駄作になっていただろうな。なぜって、9倍はサメを見せていただろうから。あの映画が評価されているのは、サメがほとんど出てこないからだと思うよ」

技術の発展が、コンテンツの優劣に関する決定的な要素とは成り得ないということでしょうか。
映画のみならず、音楽や絵画、そしてビジネスの世界でも、それは同じなのでしょうね、きっと。

この文章の書き方は、(文章は短いものの)評論家型の例です。後半の「技術の発展が…」というのが筆者の評論部分にあたります。
このニュースをセレクトして紹介するのが、バイヤー型。そして、ニュースを作った、つまりスピルバーグ監督を取材したライターさんは、メーカー型ということになります。

 

実際はここに挙げたみっつの要素を、お好みに合わせて調合するとよいかと...

実際はここに挙げたみっつの要素を、お好みに合わせて調合するとよいかと… ※クリックで拡大します

実際には、この3種に厳密に分類されるのではなく、メーカー型、バイヤー型、評論家型を意識しながら、それぞれの要素をどのくらいの割合で配合するのかを考えます。例えば、本記事は(少なくともここまでの文章は)メーカー型となっています。しかし、基本的に秋元通信においては、メーカー型の記事を書くことは少なく、ほとんどの記事はバイヤー型6割+評論家型4割のイメージで作成しています。

記事ごとのテーマに沿って、既知の情報(多いのは心理学や統計データ、ニュースリリースなど)を複数組み合わせ、紹介します。最後に、ちょこっと私の一言感想を付け加えるイメージですね。

また、テーマに添った私の意図は、どのような “既知の情報”の組み合わせをセレクトするのかによって間接的に表現することを心がけています。秋元通信は、筆者を表現する場ではなく、ちょっとした小ネタ(社内では「井戸端会議ネタ」と呼んでいます)を提供することを目的としているため、メーカー型はそぐわないと考えています。
複数の既存の楽曲をサンプリングして、ひとつの新しい曲へと作り変える手法をマッシュアップと言います。秋元通信で行っているような、既知の情報を複数組み上げてひとつのテーマを表現する方法は、マッシュアップ型と言っても良いかもしれませんね。

ネタを作る、もしくは文章を書こうという人の中には、最初からメーカー型の文章を目指す人がいらっしゃいますが、これはしんどいです。
ネットなどのさまざまな情報を読んで、自分が興味のある情報を日頃からいくつもストックしておく習慣をつけましょう。ネタを作る必要に迫られたときには、ストックした情報から使えそうなモノをいくつかピックアップして並べます。最後に自らの評論をちょこっと付け加えます。
これだけで、わりと見栄えの良いネタ(文章)ができあがったりします。

 

ずっと前に何かの本で、レイモンド・チャンドラーが小説を書くコツについて書いた文書を呼んだことがある。
まず、デスクをきちんと定めなさい。そしてそこに原稿用紙やら、万年筆やら資料やらを揃えておく。きちんと整理しておく必要はないけれど、いつでも仕事ができるという態勢はキープしておかなくてはならない。
そして毎日ある時間を ---例えば二時間なら二時間を--- そのデスクの前に座って過ごすわけである。たとえ一行も書けないにしても、とにかくそのデスクの前に座りなさい、とチャンドラーは言う。
その間ペンを持ってなんとか文章を書こうと努力したりする必要はない。何もせずにただぼおっとしていれば良いのである。その代わり、他のことをしてはいけない。
こうしていれば、たとえそのときは一行も書けないにせよ、必ずいつかまた文章が書けるサイクルが回ってくる。

出典
「村上朝日堂 はいほー!」 村上春樹
「チャンドラー方式」から、抜粋して紹介

 

ネタは「思いつくもの」ではなく、「作り出すもの」です。

ネタは「思いつくもの」ではなく、「作り出すもの」です。

先に述べたようなコツはあるにしても、ネタが天啓のように舞い降りてくることはほとんどありません。

先日、某音楽番組において、槇原敬之さんが「世界に一つだけの花」は、天啓が降りてきた結果、わずか20分で書き上げることができたと言っていました。ただし、それは槙原さんが数多くの作詞作曲を行ってきた中で、「世界に一つだけの花」だけであったと。

村上春樹さんのエッセイにあるとおり、やはり文章を書こうとするのであれば、きちんと文章を書くということに向き合う時間、文章を書くということに真摯に向き合う態勢をキープする時間というのが必要です。
ちょっと考えて、「あ~~、思い付かないや!」ではネタなど見つかるわけもなく、文章を作り上げることも難しいということですね。

「雑談ネタを作るコツ」、参考になりましたでしょうか。
いくばくなりとも、皆さまのお役に立てれば幸いです。


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