秋元通信

トラックドライバーと大動脈解離

  • 2017.4.27

つい先ほどまで、普通に生活をしていた人が、唐突に帰らぬ人となってしまう突然死。
最近では、18歳のアイドルが突然死したことも記憶に新しいところです。
ドライバーが突然死してしまった場合は、第三者を交通事故に巻き込み、悲劇を拡大する可能性があることから、特に注意する必要があります。

昨年2月、大阪/梅田で発生した交通事故では、暴走した乗用車が11人を死傷させました。
今年2月に兵庫県尼崎市で発生した交通事故では、デイサービス施設の送迎用ワゴン車が急発進、電柱に衝突し、4人が死傷しました。
どちらの事故においても、ドライバーは死亡しています。原因は、事故直前にドライバーを襲った大動脈解離でした。

大動脈解離による併発症状。日本血管外科学会の「解離性大動脈瘤(大動脈解離)」から出典。クリックで、日本血管外科学会の「解離性大動脈瘤(大動脈解離)」のWebサイトに遷移します。

大動脈解離とは、大動脈の内側に裂け目ができることで、血管の膜が剥がれていく疾患です。剥がれた血管の膜は、時に動脈を塞ぎ、時に血管を破裂させることで、生命活動に極めて深刻なダメージを与えます。
 
 
 
実は、筆者の元上司が大動脈解離に見舞われたことがありました。
昼前くらいからひどい腹痛を訴え、そのうち痛みのあまり席に座っていることもできなくなってきました。病院に行けと言う周囲に対し、「大丈夫…」としばらくは言い張っていたものの、ついに耐えきれなくなり救急車で運ばれたのが痛みを感じ始めてから4時間ほど経った頃でした。
お医者様からは、「後1時間、病院に来るのが遅かったら死んでいたぞ!!」と大目玉を食らいました。命あっての後日談です。

通常とは違うカラダの不調、痺れや痛みなどを感じたら、病院へ行くべきですね。
クルマを運転している最中は心拍や血圧が上がるという研究もあります。つまり、運転をきっかけに、突然死の危険因子が活性化する可能性があるということです。カラダに不調を感じたら、運転するべきではありません。
 
 
以下、余談です。
ある運送会社で、運行中に連絡が取れなくなったドライバーがいました。電話をしても出ず、また次の配送先にも来ていないとのこと。
同社では、GPS付きのデジタコを導入していたため、車両位置を特定することができます。調べると、問題のドライバーは海老名SAにいるようです。近くを走る他のドライバーに立ち寄らせたところ、件のドライバーは吐瀉物を吐き、ハンドルに突っ伏した状態で意識を消失していたそうです。

幸い命に別状はなかったものの、そうなった原因は分かりません。突き止めるためには精密検査を行う必要がありましたが、ドライバーは精密検査を拒んだそうです。それだけが原因ではなかったそうですが、結局、会社はそのドライバーを解雇しました。

突然死は悲劇ですが、突然死によって被害者と同時に加害者にもなってしまうのがドライバーという職業です。
自らの体調不良を認める勇気は、絶対的に必要です。

皆さま、ご安全に!

参考

解離性大動脈瘤(大動脈解離)って? (日本血管外科学会)
http://www.jsvs.org/common/kairi/index.html

大動脈解離 (Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E8%A7%A3%E9%9B%A2

なお、本記事は医療に関しては素人が書いていますので、自身の体調に不安を感じたり、病気に対して質問や疑問がある場合は、必ず専門のお医者様にご相談してくださいね。


関連記事

■数値や単位を入力してください。
■変換結果
■数値や単位を入力してください。
■変換結果
  シェア・クロスバナー_300