秋元通信

行き当たりばったりはNG!? スケジュール作成でビジネススキルに差がつく

  • 2017.10.31

「あなたは、無計画なデートを許せますか?」
許せる:66.7%
許せない:33.3%

 
 
これはマイナビウーマンが、22歳~34歳の女性に行ったアンケートです。
3割の女性が、「行き当たりばったりのデートを許せない」と考えているんですね。
 
スケジュールを立案するスキルは、デートだけではなく、仕事においても大事なスキルのひとつです。
今回は、スケジュール作成について考えてみましょう。
 
ところで、「無計画なデートを許せない」と思う理由ってなんでしょう?アンケートに答えてくれた女性の声をご紹介します。

  • 「貴重な時間を使っているのだから、その時間を大切にしたい」
  • 「付き合ってしばらくしてからならいいけど、付き合いたてのときは大事にされていない証拠なので」

え~っと…、思い当たる男性諸氏、いらっしゃいますでしょうか?
筆者も、「『会いたい』って言うから会ったのに、顔を合わせた途端、『今日はどこ行こうか!?』って、ひどくない!?!?」と女友達から言われたことがあります。
 
マジメな話をすると、スケジュールの大切さって結局、先のふたつに集約されるんだと思います。
 

  • 時間を有効活用したいという想い。
  • 相手のことを大事にしたいという想い。

ちなみに、ここで言う「相手」とは、スケジュールに関わるすべての人を指します。
 
 
筆者の昔話です。
 
前職において、筆者は入札仕様書やRFP(Request For Proposal / 提案依頼書)の作成を依頼されることがありました。自社の…、ではありません。一般企業や官公庁などからの依頼を受けて作成するわけです。
クライアントの要求や状況などによって、入札時に必要な書類は異なりますが、私は必ずスケジュールを加えるように提案していました。入札や公募などの実務経験が乏しい担当者のなかには、少なからず「スケジュールなんて、落札者が決定してから作らせればいいでしょ?」と考える人がいます。しかし、実際に入札を行うと、スケジュールを提出させた理由、スケジュールの大切さを必ず理解してもらえます。
 
なぜか?
スケジュールの良し悪しは、分かりやすいんです。複数の入札業者が出してきたスケジュールを横並びで比較すると、良いスケジュール、悪いスケジュールの差ははっきりと分かります。
以下、ダメなスケジュールの例です。
 

  • 工程が大雑把、もしくは逆に細かすぎる(専門的すぎる)。
  • 工程の担当が不明確。
    例えば、クライアント側が行うべき工程と、落札者が行うべき工程の区別が不明確であるなど。
  • 工程に無理がある。
    よくあるのはクライアント側の工程に無理があるケース。クライアント社内の稟議/決済を1日で行わせることを強いるなど、自分勝手で非現実なスケジュールになっているなど。
  • 明らかに作り慣れていない。フォーマットが幼稚であるなど。
  • 明らかに他プロジェクトの使い回しをしている。

端的に言えば、スケジュールって、今まで行ってきた仕事のやり方が反映されるものです。丁寧な仕事を心がけ、きちんとした工程管理を行う習慣のある会社の作成するスケジュールと、自己中心的でクライアントを思いやらない仕事を重ね、場当たり的な仕事の進め方を続けてきた会社の作成するスケジュールはまるで違います。
 
では、優れたスケジュールとは、どんなものなんでしょう。
私が究極的にオススメするスケジュールの形式は、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)です。ガントチャートと言ったほうが分かりやすい方もいらっしゃるでしょう。
本来、WBSは計画(スケジュール)、工程(≒タスクと考えて良いです)、そして進捗を一枚のシート上で管理するもので、プロジェクトの進行管理を主たる目的とするものです。
 
しかし、WBSを本格的に作成するのは骨が折れますし、相当のスキルが必要です。だから、私は計画(スケジュール)と工程(≒タスク)、そして担当者をピックアップしてスケジュールとしてまとめる、いわば簡易WBSとも言うべきスケジュール形式をオススメします。
 
その具体例は、本記事下方にアップしています。よろしければご覧ください。
 
 
ここでは、スケジュール作成の基本をピックアップしましょう。

  • 横軸に時間、縦軸に工程を列記する。
  • 工程は、早く行うものから順に上から下に並べることを基本とする。
    つまりスケジュール表全体で言えば、左上から右下に向かってスケジュールが進行するイメージ。
  • 工程はグループ分けしたほうが分かりやすい。
    ただし、複雑すぎるグループ分けは逆にわかりにくくなるの、大分類、中分類、小分類等みっつくらいに留める。
  • 工程は具体的に挙げる。例えば、「準備」ではなく「**の準備」とする。
  • 各工程には担当者を明記する。

デートのスケジュール作成を例に考えましょう。男性側がデートスケジュールを立てる前提にしますね。概ね、以下のような工程に分かれるでしょうか。

  1. マーケティング
  2. プランニング
  3. 調整および確認
  4. 実施

ちなみに、今回のスケジュール作成には、デート相手の親友であるA女さんと、デートスポットにめっぽう詳しいB男くんが協力してくれるものとします。
 
「1.マーケティング」では、以下のようなことを行います。

A.「僕」が行いたいデート、行きたい場所などのピックアップ
B.「彼女」が行いたいデート、行きたい場所などの事前調査
C.今の時期に旬なスポットやイベントのピックアップ

A.は、「僕」自身が担当します。
B.はA女さんが、C.はB男くんが担当します。
 
ここまで工程をピックアップしたところで、A女さん、B男くんから以下のような意見が出ました。

A女さん:
「『彼女』は、意外と食べ物の好き嫌いが激しくて…。私も把握しきれていないから、嫌いな食べ物をちゃんと確認しておかなきゃ。だけど、やたらめったらと聞き出すのも怪しまれるから、食事はイタリア料理なのか、和食なのか、フランス料理なのか、ジャンルを『僕』に決めておいて欲しいの」

B男くん:
「『旬なデートスポット』って言われても、たくさんありすぎて困るよ。ある程度、範囲を絞って欲しいなぁ」

ふたりの意見から、工程に順番が決まったことにお気づきでしょうか?つまり、「僕」が料理のジャンルを決めないと彼女の好き嫌いに対するヒアリングはできず、「『彼女』が行いたいデート、行きたい場所などの事前調査」が完了しないと、次工程の「今の時期に旬なスポットやイベントのピックアップ」に進めないことになります。
このように、スケジュールには、「前工程が終わらないと次工程に進めない」というケースが間々あります。その関係を明確にすることも、スケジュール作成の重要なポイントのひとつです。
 
「1.マーケティング」の結果、今回のデートには以下のような要素を盛り込むことになりました。

  • インスタ映えするおしゃれカフェ
  • 適当に会話をしながらのお散歩
  • イタリア料理

「2.プランニング」では、それぞれの場所のピックアップと、どのような順番で回るのかを考える必要があります。

2-1.場所のピックアップ
2-2.デート順路の設定

 
これで大丈夫ですか?
いえいえ、良いスケジュール作成を目指すのであれば、もう少し詳細にしましょう。

2-1.場所のピックアップ

2-1-1.インスタ映えするおしゃれカフェのピックアップ
2-1-2.「適当に会話をしながらのお散歩」ができる場所のピックアップ
2-1-3.美味しいイタリア料理店のピックアップ

 

2-2.順路の設定

2-2-1.ピックアップ箇所の組み合わせを考え、順路候補をピックアップ
2-2-2.デート順路の仮決め
2-2-3.仮決めされたデート順路の比較と検討
2-2-4.デート順路の決定

スケジュール作成の目的のひとつは、プロジェクト全体をメンバー全員に理解させる情報共有です。工程が大雑把すぎると、情報共有になりませんから、全員の認識が統一できるレベルまで、工程を詳細にブレイクダウンする必要があります。言い方を変えれば、担当者各々がやるべきことがスケジュールを見れば一発で分かる状態になっていることが理想です。
 
さて、ここまでデートプランを作成しましたが、実は時間がなくなってしまいました。デートはもう明日に迫っています。ホントは、「3.調整および確認」でお店が予約可能かどうか、移動手段や経路はどうするのかなど、もっと検討しなければならないことはありましたが時間切れです。どうやら「僕」が立てたスケジュールに無理があったようです。
 
当たり前ですが、スケジュールは実現可能なものでなければなりません。だから、スケジュールを立てる際には、工程をピックアップするチカラに加え、それぞれの工程にどれくらいの時間(工数)が必要なのか、見積もるチカラが必要です。少なく見積もってしまえば、「僕」のように期限内にプロジェクトが終わりません。しかし、余裕を持って見積りすぎるとプロジェクトが間延びし、コストが上がってしまいます。
 
ここまで来て、気がつく人もいらっしゃるかと思いますが。
実は、スケジュール作成は、社員教育にも効きます。弊社では、インターンシップなどの社内プロジェクトにおいて、原則として若手社員にスケジュールを作成してもらいます。もちろん、ある程度のヒントは与えますけどね。そのヒントの具合で、若手社員の考えるチカラを加減するわけです。
 
最後に、スケジュールの大切な要素をもうひとつ。
それは、プロジェクトに参加する全員の合意を形成するための説得力=スケジュールであるということです。スケジュールというのは、各々が分担されたタスクと締切を情報共有し、そして尊重したうえで、共通のゴールに向かって突き進むための道しるべとも言えます。
 
だからこそ、皆が努力すれば実現可能なものにすることが必要です。厳しすぎるスケジュールを組む人は、皆を導く優秀なリーダーにはなりえません。
 
ところで…
先のデートプランニングスケジュールにおいて、「『下見』がないじゃないの!?」って思った方、いらっしゃいますか。
 
デートの下見って、必要ですかね?
私は以前、「デートするなら下見くらいしてきなさいよ!」派の女性とお付き合いしていたことがありますが、しょっちゅう喧嘩していました…
だって、下見したら私がつまらないじゃないですか??
 
読者の皆さんは、どう思いますか?(笑
 
 

ご参考 おすすめのスケジュール「簡易WBS」について

 
 下記は、2017年2月に第一倉庫様と行った合同インターンシップ(詳しくは、他企業と合同でインターンシップを行う意義をご覧ください)の準備段階において、実際に使用したものです。
example_wbs
シート全体をご覧になる場合はこちらをクリックしてください
 
 
本格的なWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)の書き方を覚えるのは、それだけで本になるくらい、たいへんなことです。本来、WBSは計画(スケジュール)と工程(≒タスクと考えてもあながち間違いではないです)、そしてプロジェクトの進捗を一枚のシート状で管理するものですが、上記は計画(スケジュール)と工程(タスク管理)、そして工程ごとの担当者の三要素を一元管理することに情報を絞ったもので、いわば簡易WBSとも呼ぶべきものです。
 
簡易WBSを作成する時に注意すべき5つのポイントを挙げます。

  1. X軸方向に時間軸、Y軸方向に工程を並べたら、各工程の隣に担当者を記載する欄を設ける。
    これが簡易WBS表の基本形式。
  2. 「工程」と書いたが、正確には「タスク」と考えたほうが分かりやすいでしょう。
    また、タスクなので、担当者ごとにひとつのタスクに分解して列記することが基本。
  3. 早いうちに行う工程(タスク)を上に、遅い工程は下に書くのが基本。
    つまり表全体で言えば、左上から右下にスケジュールが進行するイメージとなる。
  4. 工程(タスク)はカテゴリ分けすること。
    ただし、カテゴリ(階層)が複雑になると煩雑なので、大分類/中分類/小分類の3階層くらいを限度とする。
  5. 複雑、もしくは専門的にしすぎないように注意すること。
    見ること(読むこと)が嫌になるようなスケジュールは、既に目的を失っています。
    一部の専門的な知識を持ったプロジェクトメンバーが、他メンバーが理解できないような複雑かつ専門的なな工程を挙げたスケジュールを時折見かけるが、これはNG。
    プロジェクトに参加するメンバー全員が理解できるレベルのスケジュールすべきであって、専門的かつ詳細なスケジュールが必要なのであれば、別途用意するべき。

こうやって挙げると、特別難しいことはありません。ごくごく、常識的なことばかりです。
 
後は、工程(≒タスク)を読み解くチカラと、各工程に必要な時間(工数)を見積もるチカラがあればOK。
ただし、工数見積には、ほどよい余裕を持たせることが大切です。
 
適切なスケジュールを作成するためには、論理的思考と現場を見通す経験が必要です。そう考えると、スケジュール作成が人材教育にも効くことがご理解いただけることでしょう。
 
 

出典

無計画なデートを、あなたは許せる?⇒「許せない:○%」! (マイナビウーマン)
https://woman.mynavi.jp/article/160330/
 
 


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