秋元通信

Gmailやポストイットを生み出した「20%ルール」

  • 2017.11.30

アイディア驚くような革新的なサービスを次々とリリースし続ける企業には、ふたつのタイプがあります。

ひとつは、ひとりの発想力豊かなカリスマが企業を牽引していくタイプ。
ソフトバンク=孫正義氏や、Apple=スティーブ・ジョブズ氏などは、その代表的な例と言えます。
一方で、特定の誰かが前面に立つことなく、新しいサービスを連発し続ける企業もあります。Googleなどがその代表でしょう。

何故、Googleは次々に独創的なサービスや商品をリリースできるのか?
その秘密のひとつは、「20%ルール」にあると言われています。

今回は、GoogleやYahoo! 、HP、3Mなどで実践されている「20%ルール」をご紹介します。

20%ルールとはなんでしょう?
簡単に言うと、労働時間の一部(20%)を「自分がやりたい仕事」に充てなさい、という取り組みです。呼び名や運用方法は、企業によって違いがあります。例えば3Mでは「15%カルチャー」と呼んでいるそうです。

この施策によって、3Mがポストイットを、GoogleがGmailを生み出したのは有名な話。Googleでは20%ルールによってその後もさまざまなアップデートやサービスを提供し続けています。筆者がEvernoteキラーの最有力と考えるGoogle Keepも、20%ルールによって生み出されたものです。

20%ルールは、自分の通常業務や組織の枠にとらわれず、自由な発想で自分が行いたいと考える研究や開発を行うものです。企業側としては、新しいサービスや商品を生み出す原動力としての期待、人材育成への期待などがあります。
「組織の枠にとらわれず」というのが分かりにくいかもしれませんので補足しましょう。これは20%ルール遂行のために、目的を同じくするチームを既存組織とは関係なく作り上げて良いということです。例えば、製造グループに所属するあなたが、20%ルール遂行のために、品質グループのAさん、総務グループのBさん、法務部のCさんと一緒にチームを組んでも良いよ、というイメージです。

20%、つまり8時間勤務であれば、一日1時間半ほどを「自分の好きなように使いなさい」というガイダンスは、「遊んでていいよ!」という意味ではありません。時間の使い方は、新しい何か(サービスや商品)を創り出すためだったり、自己研鑽に用いたり…、と企業によってガイダンスの内容は異なるのですが。

これ、実は結構厳しいです。しんどいと言う方もいらっしゃいます。
ネット上には、「20%ルールを実践してみた」という体験談がいくつかありますので興味がある方は探してみてください。少なからず、「いや一日に一時間半(※8時間勤務として)も、『新しいこと』を考え続けるなんてしんどすぎるよ!」といった趣旨の感想が見受けられます。

考えるって、しんどいですよね…

私は、提案や新サービス(商品)の立案、改善策の立案などを行うことがあります。私自身が頭をひねることもあれば、社内、もしくはお客様に対しても頭を悩ませてもらうこともあります。
慣れていない方は、あきらかにしんどそうで疲れた表情をされます。
以前お届けした「ヒトを集める企業のヒント/居酒屋「塚田農場」の話」の元ニュース記事には、『脳から血が出るくらい考えろ』という言葉が出てきますが、考えるという行為は、それくらい大変なことです。

日常生活において、脳をフル回転冴えるシーンなど、実はそれほどありません。だから疲れます。

20%ルールについては、さまざまな意見や感想、そして考え方があります。議論の対象になるということは、20%ルールの優秀さを表す証でもあるのですが。
私は、20%ルールの優秀さは、考えることを強制すること、そして日常にする(習慣づける)ことにあると考えています。考える能力を育てる筋トレ効果、と言うと分かりやすいかもしれません。
余談ですが、考えるという行為の大切や効果が認められているからこそ、世間では脳トレが流行っているわけです。

考える習慣が身についている社員、企業は強いですよ。
逆に、誰かに考えてもらうことが習い性になってしまった社員、企業は、とても悩ましいです。

20%ルールの実践は、どの企業でもできることではありません。
業務に追われる仕事では、業務時間の20%を通常業務外に使われたらたまったものではありません。Google自身でさえ、「実は20%ルールではなく、120%ルールなんだ」(※残業時間を増やしているという意味)と言っています。

今回は、20%ルールのほんのさわりのご紹介でしたが、興味のある方は調べてみてください。
業務や、自分自身の成長につながるヒントが、20%ルールにはたくさん隠されていますよ!
 
 

参考

モノ見聞録 住友スリーエム編
http://www.gooday.co.jp/mono/03/index.php

不屈の魂が生んだ世界のオフィス必需品 ポスト・イット
http://www.mmm.co.jp/wakuwaku/story/story2-2.html

Google の 20% ルールに見る失敗を良い経験にする方法
https://www.countand1.com/2016/07/google-20-percent-time-implication-for-making-failure-be-good-learning.html


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