秋元通信

「答えの大きさを推定する能力」 フェルミ推定の話

  • 2018.8.30

以前お届けした、『我々は何故、宇宙人に会えないのか?』で登場した物流学者:エンリコ・フェルミは、「答えの大きさを推定する能力」にとても長けていたそうです。
「フェルミ推定」と呼ばれる、この能力についてご紹介しましょう。
 
フェルミ推定とは、ある事象について、ざっくりとした計算を行い、そのスケール感を把握するための方法論です。
例を挙げましょう。
 
 
「シカゴには、ピアノの調律師が何人いるのか?」という問いがあります。
この回答を導く考え方(フェルミ推定)をご紹介しましょう。
  

  • 仮定1
    シカゴの人口は300万人とする。
  • 仮定2
    ピアノを所有するのは、世帯のみと前提する。一人暮らしの人が所有するピアノや、学校、オーケストラやレストランなどが所有するピアノは無視して試算する。
  • 仮定3
    家族の平均人数を5人とする。つまり、シカゴには60万世帯が存在する。
  • 仮定4
    すべての世帯がピアノを所有しているわけではない。
    仮に、20世帯に1台のピアノが所有されているとする。つまり、シカゴには3万台のピアノが存在する。
  • 仮定5
    ピアノはどれくらいの頻度で調律を必要とするのか?
    仮に、年に1回の調律が必要だとしよう。すると、ピアノの調律は年間3万回、シカゴで行われている。
  • 仮定6
    ピアノ調律師は、一日に2台のピアノの調律をするとし、また1年間に200日働くとする。
    つまり、一人の調律師は、年間400台のピアノを調律する。
    シカゴにおける、年間3万回の調律需要を満たすためには、3万回/400台=75人のピアノ調律師が必要となる。
  • 結論
    働き者の調律師もいれば、怠け者の調律師もいる。
    つまり、シカゴにはおおよそ100名位の調律師がいると予測される。

 
さて、皆さんはこの推定をどう思いますか?
すごく適当な数字で仮定に仮定を積み重ねていますが、結論の「100名」という数字は、なんとなく説得力があります。フェルミ推定で大切なのは、「10名でも1000名でもなく、100名程度と思われる」というざっくりとした推定です。
フェルミ推定においては、確実な知識がない上で、あえて明解な推定をする能力が大切であるとされています。例えば、シカゴの人口を300万人と推定したところ、これは「シカゴは大都市だが、ニューヨークほどの都会でもなく、もちろん田舎でもない」というところから推定した数値です(実際のシカゴの人口は、約270万人)。
 
このように、「ざっくりとした明確な推定」(矛盾する表現ですが、これが要です)の積み重ねで、「答えの大きさを推定する能力」は、実社会におけるさまざまなシーンで有効となります。
 
 
今回メルマガのメイン記事『配送運賃はどこまで上がるのか??』もある意味、フェルミ推定を拡大したものと言えます。
そもそも、(詳しくは同記事をあらためていただきたいのですが)トラックドライバーの給与が増え、運賃売上も上がるのに、他の販管費が変動しないことはありえないです。さらに言えば、ドライバーの給与は上がっても、事務員他ドライバー以外の社員たちの給与は据え置き前提で算出しているわけでして…
そんな薄情な会社、ダメですよね。
 
 
例えば、コンサルティング業務においてデータ分析を行う際に、おおざっぱな概算として値の目安をつける計算を行うことがあります。データ分析において、すべての値を正確に計算(試算)するのは現実的ではありません。あまりに時間と手間がかかりすぎるからです。しかし、当てずっぽうや過去の経験に頼り過ぎたデータ分析は、新たな発見や違うものの見方を逃す可能性があります。
そのため、フェルミ推定のような試算を繰り返し行い、ポイントの在り処を探る必要があるわけです。
 
 
フェルミ推定の要は、当たらずとも遠からずのざっくりとした推定値を仮定すること、そして仮定の積み上げによる算出ロジックを生み出す点にあります。
簡単なようで、なかなか難しいんですけどね…
 
 
フェルミ推定は、洞察力を鍛え、数字のセンスを磨くのに必ず役立ちます。
皆さまもぜひチャレンジしてみてください!


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