秋元通信では、これまでもさまざまなニューツーリズムをご紹介してきました。
ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的な観光旅行に対して、これまで観光資源 としては気付かれていなかったような地域固有の資源を新たに活用し、体験型・交流 型の要素を取り入れた旅行の形態です。活用する観光資源に応じて、エコツーリズ ム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光等が挙げられ、旅行商品化の 際に地域の特性を活かしやすいことから、地域活性化につながるものと期待されてい ます。
※ニューツーリズムの振興 (観光庁)
今回ご紹介するニューツーリズム事例は、地下空間を利用した防災施設です。
『首都圏外郭放水路』(通称、龍Q館)をご存知でしょうか。
埼玉県春日部市の江戸川沿いにある同施設は、治水のための巨大地下施設です。
近隣河川(中川や綾瀬川など)から地下トンネルを介して、大雨などによって増水した水を同施設の地下にある巨大な貯水槽に誘導、安全を確認した上で江戸川に放水することで洪水などの水害から地域を守っています。
見学可能なのは、巨大な貯水槽です。
重量500トンの柱が59本も立ち並ぶ、巨大な地下空間は、地下のパルテノン神殿とも称され、『龍Q館』という愛称でこれまでも定期的に見学会が催されてきました。
今年2018年8月から、見学会の運営を民間企業が請け負うことにより、より気軽に見学ができるようになりました。さっそく筆者も見学会に申し込み、その様子を撮影してきました。
ぜひ、その迫力の空間をご覧ください。
また、地下空間つながりで『大谷資料館』(栃木県宇都宮市)の画像もお届けしましょう。
こちらは、大谷石を採掘した後に残った地下空間を観光資源として開放しているものです。
あわせてお楽しみください。
- 広い広場のぽつんとあるここが、地下空間への入り口です。
- 立坑は、近隣河川から溢れた水をトンネルを介して調圧水槽まで導く役目を果たします。深さは約70m、直径が約30mという巨大さです。
- 厳密には、調圧水槽と呼ばれます。参加者と比べると、その巨大さが分かるかと。
- 白く煙ったように見えるのは、霧が生じているから。撮影したのは2018年8月12日ですが、地下空間は肌寒いくらいでした。
- 調圧水槽は、幅78メートル、長さ177メートル、また高さは18メートルあります。
- 巨大な柱の重さは約500t。柱の役目は、「支える」ことよりもむしろ「抑える」ことにあります。というのも、これだけ巨大な箱を地中に埋め込むと浮力が生じ、浮き上がってしまいます。そのため、1本約500tもある柱を59本も設置し、浮き上がることを防いでいます。
- 巨大な地下空間の地上には、サッカーグラウンドが広がっています。
栃木県宇都宮市にある大谷資料館は、大谷石を採掘した跡地を見学用に開放した施設です。
一時期は米などの倉庫として利用されたこともあったそうですが、現在では音楽イベント、特撮ヒーローものの撮影や、結婚式場として利用されることもあるんだとか。
- かつてはここで大谷石を採掘していたんですね。
- 美しくライトアップされた地下空間。
- 壁には手彫りのノミの後が残っています。
- 撮影した当時は、このようなアート展示が行われていました。
- 特撮ヒーローものの撮影や、ミュージックビデオなどの撮影でも活用されているそうです。
- 肌寒かったです。
- 斜面になっているのは、一時、米などの倉庫としても活用されていたから。トラックが乗り入れられるようになっています。
- こちらは機械彫りの跡。
- 外につながった部分。つまりはランプウェイ倉庫と言えないこともない…ですかね。
- 外にはお洒落なカフェも併設されています。
首都圏外郭放水路
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/tour/index.html
大谷資料館
http://www.oya909.co.jp/