秋元通信

大卒者および高卒者の就職状況と最新採用事情

  • 2019.2.21

圧倒的な売り手市場と言われる今。
人不足が叫ばれる中、私ども物流業界における採用事情はさらに厳しい状況に追い込まれています。
今回は、2019年3月卒業予定の大卒者、高卒者の就職データを確認しつつ、最近注目されている新たな採用手法をご紹介しましょう。
 
 

大卒新卒者の状況

 
2019年3月卒業予定の大学生における求人倍率は、1.88倍。
昨年が1.78倍なので、さらに上がったことになります。
 
採用する企業側を診ると、いわゆる勝ち組企業と負け組企業の格差がますます大きくなっています。
従業員300人未満の企業における求人倍率は9.91倍。対して、従業員5000人以上の企業における求人倍率は0.37倍となっています。昨年実績が、300人未満:6.45倍、5000人以上:0.39倍、さらに一昨年実績では、300人未満:4.16倍、5000人以上:0.59倍ですから、学生たちの大企業志向が高まっていることが分かります。
 
 

高卒新卒者の状況

 
2019年3月卒業予定の大学生における求人倍率は、2.71倍。
ただし、この数字は都道府県によって大きな差があります。例えば、沖縄:1.45倍、鹿児島:1.5倍に対し、大阪では4.59倍、東京ではなんと8.32倍になっています。
 
 

3年以内離職率

 
2015年3月卒業者の3年以内離職率は、大卒者:31.8%、高卒者:39.3%となっています。
3年以内離職率は、ここ5年~6年ほど、ほぼ同じ水準で推移しています。
 
 
 
企業側にとっては、難しい時代です。
だからでしょうか、新たな採用手法が注目され始めています。
 
 

リファラル採用

 
リファラルとは「推薦」のこと。簡単に言えば、社員の紹介による採用です。昔からある手法ではありますが、外資系企業を中心に、積極的に活用する企業が増えています。
企業側がリファラル採用を行うメリットは、採用コスト削減の他、企業文化にマッチした人材を獲得できる確率が上がることです。確かに、社員が「この人と一緒の職場で働きたい」と思う人を紹介するわけですから、企業文化へのアンマッチングは起こりにくいのでしょう。
このリファラル採用、中途だけではなく、新卒採用にも対象が拡大しつつあるそうです。
 
 

タレントプール

 
採用活動の過程で、不採用とした人、どの企業でもいるはずです。タレントプールは、そういった不採用にした方々を採用する手法です。
 
「うちには合わないから不採用にしたのに、そういった人を採用してどうするの?」
 
確かにそのとおりですね。
しかし、不採用の理由が、お互いの時期とタイミング、都合などがあわなかったケースだったらどうでしょうか。もしかすると、今だったらお互いに納得のいく雇用関係が結べるかもしれません。
なお、本手法を実施する場合、不採用とした人と継続的にコンタクトを保っておく必要があります。タレントプールとは、そういった人材を文字通り「プール」しておく手法です。
 
 
目新しい手法ではありませんが、通年採用を行う企業も増えています。
また、ダイレクトリクルーティングと呼ばれる、お目当ての学生に対して直接企業からアプローチをかける方法も注目され始めています。
 
 
以下私見です。
限られた人数ではありますが、当社ではインターンシップ実施を通して、高校生や大学生と話す機会があります。
 
彼ら彼女らと話していて、まず思うのは、学生たちの中にある矛盾です。
彼ら彼女らの多くは、就職先を産業や会社ではなく、職種で選びます。
例えば、これは「自動車メーカーに行きたい」ではなく「マーケティングに就きたい」という形で現れます。なので、自動車メーカーと商社に同時に応募するといった、考えてみると少し不思議な状況が発生します。
この職種で選ぶ傾向は、高校生の方がより顕著です。(※高校生は一次応募では複数社に応募できないことを、念のため付記いたします)
 
にもかかわらず、彼ら彼女らの大企業志向は、以前よりも高くなっているのではないでしょうか? 先の企業間求人倍率の違いが、これを示しています。
大企業に入れば、異動させられることも多いしょう。
ジョブローテーションを採用している企業も多くあります。
 
仮に大企業に入ったとして、自分のやりたい職種にこだわるは自身の可能性を狭めているだけです。
それでも、大企業を志望する学生が多いのは、やはり売り手市場が彼ら彼女らの「欲」を刺激しているのだと、私は考えます。
 
もうひとつ。
現在の採用マーケットは、学生たちに過剰な自分探しを求めすぎていると、私は考えます。
これは、採用を指導する先生方、就職情報サイトや、もしかしたら企業側もそうなのかもしれません。
「自分は何をしたいのか?」「自分がなりたい社会人像とは?」、そんな追求が、結果としてとてもミクロで偏狭(とあえて言いましょう)な職種志望へと、学生たちを追い込んでいるのではないでしょうか?
 
「自動車が好きだから、自動車関連メーカーに就職したい」
「洋服が好きだから、小売店やアパレルメーカーを目指したい」
 
結果的に、緩い動機で就職先を探すほうが、後々の彼ら彼女らにとっても、また彼ら彼女らを迎える企業側にとっても、幸せな気がするのは私だけでしょうか。
 
当社では学生・生徒を対象にインターンシップを定期的に開催しています。
限られた人数であり対象ではありますが、彼ら彼女らが少しでも広い視野を知ることができるよう、カリキュラムにも工夫していきたいと考え、毎回実施しております。
 
では、最近開催したインターンシップについて、ご紹介しましょう。
 
 
 

大学生物流一日体験

 
物流ウィークリー様の依頼を請け、大学生4名を迎えて大学生一日物流体験を実施しました。
本企画は、物流ウィークリー2019年1月1月号で報道されましたので、既にご覧になっている方もいらっしゃることでしょう。
普段のインターンシップと違い、純粋に物流業界を体験してもらうことが目的であり、また物流業界に興味を持っている大学生が対象なので、カリキュラムも普段とは少し変えて実施しました。
 
 


 
 
 

都立芝商業高校インターンシップ

 
2018年12月には、都立芝商業高校の男子生徒2名、女子生徒3名の計5名を迎えてインターンシップを実施しました。
当社の高校生向けインターンシップでは、この春に高校を卒業して当社に入社したばかりの新入社員がカリキュラムを担当するが恒例となっています。
自分たちとごく近い立場の先輩から聞く、就職活動の苦労、社会人と学生の違いと言ったカリキュラムは、高校生の皆さんにとって一番心に残るものとなっています。
 
 


 
 
 

都立第三商業高校インターンシップ

 
2019年2月(先週ですね)には、都立第三商業の男子生徒1名、女子生徒7名の計8名を迎えてインターンシップを実施しました。女子7名ですからね、高校側からオファーを受けたときにはちょっと戸惑ったのは本音です。
今回は、少しカリキュラムを変え、配車ゲームを排除、倉庫体験の時間を減らし、働き方に関するカリキュラムを新規に追加しました。
就職活動も始めていない皆さんに、退職理由などを考えさせるカリキュラムは少し冒険だったのですが。何故か先生までご参加いただきご好評をいただきました。
ただし、もっと評判が良かったのは、当社西田が担当した営業職に関するカリキュラム。以前働いていた某夢の国における彼の裏話は、特に女子高生たちにとってはとても興味深かったようです。
 
 
 


 
 
 

出典

 
大卒求人倍率調査(リクルートワークス研究所)
http://www.works-i.com/surveys/graduate.html
 
 
平成30年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190978_00001.html
 
 
新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00001.html
 
 


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