秋元通信

5月病を知ろう。5月病に打ち勝とう!

  • 2019.4.26

今週末より、ゴールデンウィーク10連休が始まります。
10日も休むと…、休み明けの出勤が憂鬱になりそうです。今回は、5月病について考えましょう。
 
 

5月病とは

 
5月病(ごがつびょう)とは、新人社員や大学の新入生や社会人などに見られる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称です。と、言っても正確には5月病という病気は存在せず、現在では適応障害やうつ病、統合失調症として診察されます。
 
 

「5月病=ストレスに弱いダメ人間」という誤解

 
今回、本記事を作成するにあたり、過去の文献を調べていて驚いたのですが。
1990年ごろの記事では、ストレスを感じ、心の病にかかる人に対し、「ストレスに弱いダメ人間である」といった論調が少なからず見受けられます。
中には、有名芸能人や政治家などが入院することで有名な大病院の先生が、「5月病にかかるなんて、そもそも社会人失格だ。そんな弱いメンタルでは、どのみち社会人としてやっていけるはずがない」なんて暴言(とあえて言い切ります)を紹介している週刊誌もありました。
 
学生から社会人へと生活環境が変わり、約1ヶ月が経過する5月。
慣れない環境へのストレスから、気持ちが落ち込むこともあるでしょう。
実は、統合失調症は、20代はじめに発症しやすいという研究もあります。
 
病気というのは、どんな健康な人間でもかかります。
精神疾患に関する研究が進んでいなかった過去ならばともかく、偏見や根性論で精神疾患を語ることは、現在の常識では考えられません。
 
 

「ストレッサー」を知る

 
「ストレッサー」という言葉をご存知でしょうか。
「ストレッサー」とは、ストレスの原因となる物理的、生理的、心理社会的な刺激のことを指します。
 
仕事におけるストレッサーとしては、以下の7つが考えられます。
 

  • 量の問題
  • 期限の問題
  • 対人関係
  • 自由裁量の幅(仕事のやり方などを制限されることで感じるストレス)
  • 技術の活用度(自身の技量・技術を仕事に活かせているかどうか)
  • 仕事への適正
  • 働きがい

 
新人の場合、社会人経験の浅さから、「仕事への適正」について公正な判断を下すことができず、「ああ、自分はこの仕事に向いていないんじゃないか…?」と悲観的な判断に流れやすい傾向があります。
これも、新入社員が5月病にかかりやすい一因です。
 
ストレスに対する耐性には、個人差もあります。
内罰傾向が強い人、外罰傾向が極端に強い人は、ストレスに弱いと言われています。
外罰傾向とは、「自分は悪くない。悪いのは、○○だ!」と課題の原因を外部、つまり他人やもののせいにする傾向のこと。
内罰傾向とは、「悪いのは自分だし…」と課題の原因を自分自身にしてしまう傾向のことです。
 
内罰傾向の人が、ストレスを溜めやすいのはなんとなく想像がつきますね。しかし、外罰傾向が強すぎる人も、結果としてストレスを溜めてしまいます。
ストレスに強いのは、中間よりも少しだけ外罰傾向が強い人なんだそうです。
 
 

ストレスに打ち勝つ「コーピング」を身に付ける

 
「コーピング」とは、ストレスに対する対処行動のこと。
趣味などの気晴らしを行うことが、コーピングの代表となります。
 
もうひとつ、ストレスに対する対処法としては、「あるがままを受け入れる」という方法があります。これは、1900年代初頭に活躍された精神科医:森田正馬氏によって考え出された「森田療法」の考え方です。
何か心に引っかかることがあると、そのことに対するさまざまな想念がぐるぐると心をめぐり眠れなくなる、なんて経験がありませんか。これを、精神相互作用と言います。
 
「あるがままを受け入れる」とは、考えること、悩むことを止め、不安をコントロールしようとする心の動きを放棄することを指します。
悩むことを止めると、自然に不安のほうが消滅するという経験則に基づくコーピングですね。
 
「くよくよしたって仕方ないよ!」と考えることで、精神相互作用が及ぼす悪循環をストップするコーピングです。
 
新人の場合、慣れない環境で、慣れない仕事に取り組めば、不安だらけになることは当然です。この状態を、「当然である」と受け入れ、不安を抱えたままで仕事に取り組み続けることが大切です。時間が不安を解消してくれることを、経験として身に付けていくことで、社会人として必要なストレス耐性を我が物にすることができます。
 
小さい失敗を恐れる人は、心にストレスを溜め込みがちです。
また、小さい失敗を恐れるあまり、自身の成長にストップをかけてしまうこともあるでしょう。これは上司や先輩の指導にも問題があるケースも考えられます。アラ探しをするような指導は、新人の可能性を潰してしまいます。
小さな失敗は、むしろ成長の機会であること。
そのことを新人自身が理解することで、5月病を始めとする新人期のストレスから身を守り、成長することができるのです。
 
「いやいや、10連休もしたら…、仕事に向かうの嫌になるよね!? 新人じゃなくて、僕が5月病になりそうですよ (;_;) 」
 
そう嘆くベテラン社会人の皆さん、それは5月病ではなく、サザエさん症候群(ブルーマンデー)ですね。
それは、筆者も不安です(笑
ともに、がんばりましょう!
 
 
 

出典

 
『社会人の5月病はこうして防ぐ』 (東京慈恵医科大学付属第三病院精神神経科部長 中村敬)
労働法学研究会報 2005/7/15
 
『心の不調への正しい理解 いわゆる5月病ケア』 (桜ヶ丘記念病院精神科 藤澤大介)
調剤と情報 2003年5月号
 
『ライフイベント法とストレス度測定』 (夏目誠 村田浩) 
PublicHealth 1993年 ストレスと健康


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