秋元通信

Googleやメルカリが活用!目標管理手法「OKR」とはなんぞや

  • 2019.8.9

「OKR」という言葉をご存知でしょうか?
 
OKRとは、「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったものであり、Googleやメルカリなどが取り入れて話題となりつつある、目標管理手法のひとつです。
 
今回は、聞き慣れない方も多いであろう、OKRについて、秋元通信流に解説いたします。
 
 

OKRとは

 
OKRとは、(誤解を恐れずに、端的にまとめれば)あえて挑戦的な目標を掲げることで、個人と組織の成長を促す、目標管理手法であると同時に、組織マネジメント手法でもあります。
 
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称であると申し上げました。
OKRの肝は、「Objective」と「Key Result」の設定にあります。
 
 
Objective とは、目標のこと。
ただし、「やるべき目標」と言うよりは、「成し遂げたいゴール」をイメージしてください。
「達成できたらスゴイよね!」という挑戦的で魅力的なテーマこそが、Objective にふさわしいとされます。
 
 
例を挙げましょう。
 

「10年以内に月面に人類を着陸させ無事に地球に帰還させる」

 
これは、ジョン・F・ケネディ大統領が、1961年5月に発言したもの。
もちろん、月面着陸は人類史に残るチャレンジであり、当時は無謀であるとの批判も多くありました。しかし8年後、皆さま御存知の通り、アメリカは人類初の月面着陸を成し遂げました。
 
このエピソードは、OKRにおけるObjective の精神性を伝えるものとして、「ムーンショット」と呼ばれ、引き合いにされます。
 
 
Key Result とは、「重要な結果指標」と日本語訳されます。
ひとつのObjective に対し、3つ程度のKey Result を設定します。
 
Key Result は、Objective を達成するための戦略です。
先に例を挙げた方が理解しやすいでしょう。
下記は、あるお菓子メーカーにおけるOKRとします。
 

会社レベルのOKR
Objective:業界シェアNo.1を獲得する。
Key Result #1:売上 1000億円達成
Key Result #2:製品認知度 90%達成
Key Result #3:利益率 40%実現

(会社レベルのOKRに基づき)営業部レベルのOKR
Objective:キャンペーン営業による、全国の縦断爆撃実施。
Key Result #1:キャンペーン参加者数 8000万人を実現
Key Result #2:キャンペーン参加者の購入率50%を実現
Key Result #3:当該商品(お菓子)の満足度70%を達成

(会社レベルのOKRに基づき)広報部レベルのOKR
Objective:商品名を盛り込んだCMソングで紅白出場を実現。
Key Result #1:商品CMのYoutube再生回数1億回を達成
Key Result #2:商品のSNSアカウントに対するフォロワー 5千万人を達成
Key Result #3:主要都市における街頭サンプル配布キャラバン 5千回を実現

Key Result に必要な要素を列記します。

  • Objective と結びつき、一貫性があること
  • 計測可能であること
  • 容易ではないが、達成可能な水準を目指すこと
  • 「行動」指標ではなく、「結果」指標であること
    (行動をKey Result にすると、行動そのものが目的になってしまうため)

 

OKRの進め方

 
OKRを実施するためには、まず会社のビジョンが必要です。
例えば、メルカリでは以下のようなビジョンを掲げています。
 

「Go Bold」 大胆にやろう
「All for One」 全ては成功のために
「Be Professional」 プロフェッショナルであれ

 
会社は、ビジョンと一貫性のあるObjective とKey Result を設定します。
次に、組織であり社員は、会社もしくは上位組織のOKRを元に、自分たちのOKRを決定します。ここで興味深いのは、「上位組織のOKR」とは、必ずしも直属の組織でなくとも良いのです。
 
例えば、広報部が掲げた「商品名を盛り込んだCMソングで紅白出場を実現」というObjective に対し、営業部社員が「素人だけど、ギターを持って、最寄り駅前でCMソングの街頭ライブを100回行う」というKey Result で、関係性を持つこともアリです。
 
さらに、「営業の◯◯さんと私は最寄り駅が同じだから、だったら私は、『◯◯さんの街頭ライブ中に、無料サンプルを1万個配布する』をKey Resultにします!」という経理部の社員がいても良いわけです。
 
OKRでは、所属組織、人員の垣根を飛び越えたチームを作ることも推奨されています。これは、Googleでは日常的に行われているそうです。
 
ただし、こういったことを実現するためには、全社全社員のOKRが公開され、共有されていることが必要です。これもOKRの重要な要素のひとつです。
 
OKRでは、フィードバックと呼ばれる進捗会議を頻繁(週一程度)で行います。
フィードバックでは、Key Result の障壁を洗い出し、迅速に立て直しを図ります。
もうひとつ、フィードバックで大切なのは、チームメンバーの状況や取り組みに対し、承認と賞賛を行うことです。
ポイントは、「できなかったこと」に注目するのではなく、「できたこと」に注目すること。
もともと、挑戦的なObjective を掲げているわけですから、コトが順調に進むわけではありません。「できなかったこと」をチクチクと突き合っていたら、気持ちがめげてしまいます。
だから、できたことを認め、称賛することが必要なのです。
 
OKRは、60~70%程度の成果を上げたら、成功とみなします。
100%を求めないのは、旧来の目標管理手法と大きく異なります。
そして、3ヶ月から半年程度のスパンで、次の新たなOKRへと移っていくのです。
 
 

OKRが目指すもの

 
OKRが目指すのは、成果の最大化です。
成果とは、個人のチカラの集合体です。
 
そして、個人のチカラとは、以下のように表現が可能です。
 

個人のチカラ=最大出力×発揮率

 
最大出力とは、個人の能力における最大値のこと。
発揮率とは、モチベーションと言い換えることができます。
いくら能力が高くても、本気を出さない人に対し、良い仕事を求めることはできません。
 
従業員のひとりひとりが、企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分のチカラを発揮するするためにはどうしたら良いのか。
 
OKRは、社員個人、組織の成長を促し、高い目標を実現することを、目的としているのです。
 
 

まだまだ熟成が足りないOKR

 
本記事を書くにあたり、私はいくつかの文献をあたりました。
調べて分かったのは、「まだまだOKRは、未成熟であり、完成された手法とは言い難い」ということです。
 
OKRに関しては、まだ文献も少なく、内容についても、少なからず違いがあります。そもそも、OKRに関する解説書も、まだまだ少ないです。
 
OKRそのものにも、課題があります。
一番の課題は、OKRはどの企業でも導入できる方法とは言い難い点だと、私は考えています。
例えば、秋元運輸倉庫でOKRを実践できるかと言えば…、OKRを行う下地作り(社内文化の醸成)のために、1~2年は必要でしょう。
 
また、本記事ではざっくりとOKRの方法、考え方をまとめましたが、解説書に書かれている内容は、かなり複雑で煩雑です。実践するのは、骨が折れます。
 
OKRは未完成で未成熟です。
しかし、学ぶべきヒントが多いことも確かです。
将来的には、より手法が確立され、そして成熟することで、従来型の目標管理手法に取って代わる可能性も高いのではないでしょうか。
 
OKRというキーワード、覚えておいて損はないと思いますよ!
 
 
 

参考および出典

 
「ヒューマン・ディベロップメント 目標管理制度(MBO)の限界 : OKRに学ぶ発想の転換」 松丘 啓司
経営センサー : 産業と経営の情報誌 2019.5
 
「2枚の評価シート」をメディア初公開! OKRで個人の目標を設定 年12回以上の面談で「必達」を支援 (巻頭特集 創業4年で”時価総額1000億円”の秘密 あなたにもできる! メルカリ流の働き方 ; 評価制度は働き方の「教科書」)
日経ビジネスassocie  2017.10
 
「本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR : OKR for LEADERS」 奥田和広
ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2019.4
 
「OKR : シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」 クリスティーナ・ウォドキー 著, 二木夢子 訳
日経BP社, 2018.3


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