秋元通信

コワーキングスペースやシェアオフィスが注目される理由 【前編】

  • 2020.2.19


 
最近、スターバックスなどのカフェで、PCを開き、仕事をしている人を多く見かけませんか?
比較的最近開店したカフェでは、電源を備え、来客者に対して、PCやスマホの充電を行うことを認めているところが多く見受けられます。
 

「そもそも、なんでカフェでまで仕事をしなければならないのか…?」

 
そう思う人も多いでしょう。
一方で、本来の事務所以外で仕事をする手段として、シェアオフィスやコワーキングスペースなども増え、また注目を集めています。
 
利用していない方にとっては、いまいち理解がしにくい、シェアオフィスとコワーキングスペースの様子や、これらが注目される理由である、働き方の変化について、考えてみましょう。
 
 
 

シェアオフィスとコワーキングスペースの違い

 
結論から言ってしまえば、両者に大きな違いはありません。
 
「ひとりから利用可能なレンタルオフィス」と捉えていれば、おおむね間違いはないでしょう。
 
それでも厳密に言えば…
 
コワーキングスペース:
ひとりでも利用可能なワーキングスペースであり、1時間単位から利用料金が設定され、気軽に利用できることを売りにしています。
席については、ひとつの大きなテーブルを複数人で使うケース、簡単な仕切りがついた単机が用意されているケース、個室や複数人で利用できる部屋が用意されているケースなどがあります。
いずれのケースにしても、電源やWi-Fi、コピー機やプリンタなど、仕事に必要な備品を利用者が使用できるケースが多いです。
 
主な利用者としては、フリーランスや、出先で仕事をしたい会社員、副業を行う人などです。
 
 
シェアオフィス:
元来は、複数の会社で、事務所スペースを共有利用するイメージでした。1社に対し賃貸する想定の事務所スペースを、例えば、坪単位で複数の会社に、切り売りならぬ「切り貸し」するイメージです。
 
ただし、コワーキングスペースとの区別は曖昧で、あえて言えば、コワーキングスペースに加え、パーティション等で専用スペースとして区切り、提供可能な機能を持った施設を、シェアオフィスと呼んでいるケースもあります。
 
主な利用者としては、フリーランスや、法人における出先出張事務所(サテライトオフィス)です。また、追加料金は必要ですが、法人登記や、郵便等の受け取りサービスを提供しているケースもあります。
コワーキングスペースに比べれば、より継続的な利用者を想定しているのが、シェアオフィスでしょう。
 
 
とは言え、実際の施設においては、時間単位の一時利用(ドロップイン)でも利用可能な席と、月額単位で契約し、仕切られた個室を設けたオフィススペースの両方を備えた施設も多くあります。
最初に申し上げたとおり、コワーキングスペース、シェアオフィスという呼称は、ほぼ同じ意味として使われていると思って良いでしょう。
 
 
 

コワーキングスペースの様子

 
では、コワーキングスペースやシェアオフィスの様子について、ご紹介しましょう。(ここから先は、「コワーキングスペース」で呼称を統一します)
 
一般的なコワーキングスペースには、受付があります。
受付では、ドロップインの料金収受を行いますし、継続契約者(社)に対して訪問者がいた場合、取次も行います。また、多くのコワーキングスペースに備えられている、ミーティングスペースの予約管理業務も行います。受付業務も、シェアしているイメージですね。
 
コワーキングスペース内は、大きく4つのエリアがあります。
 
ひとつ目は、文字通りの共有ワークスペースです。カフェのように、大小様々なテーブルが用意されているケースもあれば、漫画喫茶のように間仕切りを立てたテーブルが並んでいるケースもあります。
 
ふたつ目は、個室スペースです。個室スペースの多くは、継続契約者(社)の占有スペースですが、ドロップインでも個室が使えるコワーキングスペースもあります。
 
3つ目は、個室で仕切られたミーティングスペースです。
余談ですが、コワーキングスペースによっては、会話や電話OKの共有ワークスペースと、NGのワークスペースを分けているケースがあります。OKの共有ワークスペースであれば、周りの耳は気になりますが、簡単なミーティングを行うことは可能です。
 
4つ目は、共有備品のスペースです。
ドリンク自販機や給湯器、電子レンジ等はもちろん、コピー機(複合機)やプリンタ、マッサージチェアやら、雑誌や本などの本棚を置いているコワーキングスペースもあります。
 
 
ふたつほど、実際のコワーキングスペースをご紹介しましょう。
 
池袋、新宿、渋谷などでカラオケ付きのレストランを展開しているパセラでは、『パセラのコワーク』というコワーキングスペースも経営しています。
ユニークなのは、既存の個室レストランフロアを、昼間だけ、コワーキングスペースとして提供している店舗です。
 
池袋店の場合、席は、カウンター席から10人程度の席まで、好きな席を選ぶことができます。大きなフロアに複数の席が並んでいるものから、布や壁で間仕切りされた席までさまざまです。
ユニークなのは、昼食等を頼むことができること。500円からオーダーできる昼食メニューは、もとがレストランですから、クオリティも高く、お得感が高いです。
利用可能時間は、平日9:30~17:00。利用料金は、1時間500円/一日1500円で、時間が限られていることもあり、他のコワーキングスペースよりも安価に設定されています。
月額契約だと、ランチ付きで15000円/月なので、さらにお得感が高いです。
 
 
WeWork』は、アメリカ発のコワーキングスペースです。ソフトバンクが出資していますが、『WeWork』への出資が仇となり、巨額の損失を計上したことは、記憶に新しいところです。
『WeWork』の特徴は、おしゃれなスペースと、都心の好立地にあること。
以前お届けした『女性のための新たなキャリア形成モデル / RPA女子が支持される理由』で取材した、MAIAさんは、六本木の『WeWork』に入居されています。他にも、渋谷スクランブルスクエア、銀座シックスなどの最新有名ビルの他、丸の内、晴海、日本橋、半蔵門、原宿、池袋、みなとみらい等の、好立地で営業しています。
私は、六本木と京橋を訪問したことがありますが、デザイナーズホテルのようなゆったりとしたエントランスが出迎えてくれます。清潔感とオシャレ感が漂う明るい空間が、『WeWork』が備える特徴のひとつです。今どきの、理想のワークスペースが実現されている印象を受けます。
 
もうひとつ、『WeWork』で興味深いのは、利用者どうし、入居者どうしの交流を積極的に勧めていることです。『WeWork』は、単なるコワーキングスペースではなく、ビジネス発信の場としての付加価値を演出しているわけです。
丸紅や三井住友銀行、SOMPOホールディングスなど、そうそうたる企業が『WeWork』に入居しているのも、違う文化の人たちとの接点を作ることで、新たな出会い、マインドセットへの刺激等を期待しているからなのでしょう。
 
 
シェアオフィスやコワーキングスペースが注目される理由は、さまざまです。
 
働き方改革?、確かにそうでしょう。
テレワークの推進も理由のひとつでしょうね。
「副業を営む人の受け皿となっている」、確かに確かに…
 
次回は、シェアオフィスやコワーキングスペースに加えて、カフェなどで仕事をする人も含め、旧来型のオフィスから離れて仕事をしたがる人たちの事情や心理について考えます。
お楽しみに!
 
 


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