秋元通信

「こんな時」だからこそ、デマに踊らされないために

  • 2020.3.31

秋元通信では、過去にもデマをテーマに記事をお届けしてきました。
 
『デマに騙される人の心理』
 
『”拡散希望”という落とし穴』
 
 
現在、新型コロナウイルスによって、日本のみならず、世界中に不安が蔓延しています。
こういう時に、デマは拡散します。
実際、以下のようなデマが、既に出回っています。

  • 『新型コロナウイルスは、高温に弱い。従って、ぬるま湯を飲むと、感染予防になる』
  • 『5Gの電波は、新型コロナウイルスの活動を活発化させる。その証拠に、5Gサービスの開始エリアと、新型コロナウイルスの発生エリアがピッタリと重なっている』

そして、例のトイレットペーパーやティッシュペーパーが不足するというデマ。
これは、「嘘から出た真」となり、今も品不足が継続している地域があります。デマが大きな社会不安を引き起こし、経済や人々の生活にまで悪影響を与えた、とても悲しい事例でしょう。
 
デマは、東日本大震災、熊本地震、昨年の台風15号・19号のような、社会不安が発生している状況で、たびたび拡散されます。
 
以前お届けした『デマに騙される人の心理』では、デマの共通点として、以下を挙げました。

  • 「危険」や「危機」に関するものであり、読み手の感情を揺さぶられる内容であること。
  • 「緊急性が高い」情報であること。

また同記事では、これは典型的な詐欺の手法とまったく同じであることも申し上げました。
 
 
が、しかし…
今回は、以下のようなデマ記事も増えているそうです。
 
『新型コロナ厳戒下の副作用? 動物フェイクニュースの拡散相次ぐ』
(ナショナル・ジオグラフィック)
 

  1. 人のいなくなったベネチア(イタリア)の運河に、白鳥やイルカが戻ってきた。
  2. 中国雲南省の茶畑で、とうもろこし茶を盗み飲みした象たちが酔いつぶれて寝てしまった。

両方とも、もちろん嘘のニュースです。
これらのフェイクニュースはあっという間に世界中に拡散しました。
 
興味深いのは、このフェイクニュースを発信した当事者の言葉です。
1.のフェイクニュースを発信した、インドに住む女性、カヴェリ・ガナパシー・アフジャ氏は、このように語っています。
 

「あのツイートはただ、このところの暗い雰囲気の中で、自分の気持ちを明るくさせてくれたものをシェアしようとしただけなんです」

 
そして、フェイクニュースによって得た、膨大な数の「いいね!」とリツイートについて、「これはわたしにとって新記録ですし、削除したくありません」と語り、問題の投稿を削除することを拒んでいます。
 
先ほど、デマの共通点として、以下を挙げましたが。

  • 「危険」や「危機」に関するものであり、読み手の感情を揺さぶられる内容であること。
  • 「緊急性が高い」情報であること。

現在は、新型コロナウイルスによって、社会全体が不安のただ中にある状態です。
動物フェイクニュースは、危機や危険を煽るものではありません。むしろ、不安な心に対する清涼剤として、人の心を和ませてくれるものです。
つまり、安心という作用によって、読み手の感情を揺さぶったことから、広く拡散される結果となったのではないでしょうか。
 
 
断言しますが、人の心を和ませようが、フェイクニュースはフェイクニュースです。
断じて許されるものではありません。人の心を和ませるフェイクニュースが、良い影響しか社会にもたらさず、悪い影響などまったく発生させない保障はまるでないからです。
 
では、デマに騙されないためには、どうしたら良いのでしょうか?
 
まずひとつは、「自分で考えるチカラ」でしょう。
「これこれこういう情報はあるけれども…、これは本当だろうか?」と、情報を審議できる心を持ち続けることです。
 
デマは、人が持つ信じる心の隙間をたくみに突いてきます。
例えば、先の『ぬるま湯を飲むと、新型コロナウイルスの感染予防になる』というデマは、「新型コロナウイルスに対抗できる予防方法があればいいのに…」という心の隙間を突いたデマです。
 
余談ですが、SNSにて、著名な物流コンサルタントすらも、このデマを拡散していました。
その方は、「念のため…」と言ってデマをシェアしていました。
「ホントかどうかは分からないけど、ホントだったら良いですね」という心の隙間が、「念のため」という表現に現れたのでしょうね。
 
もうひとつ、デマに騙されないために必要なのは、知識と論理思考能力ではないでしょう。

  • 『ぬるま湯を飲むと、新型コロナウイルスの感染予防になる』
    体温程度のお湯を飲んで新型コロナウイルスが死滅するのであれば、そもそも新型コロナウイルスに罹患するわけがないよね?
  • 『5Gサービスの開始エリアと、新型コロナウイルスの発生エリアがピッタリと重なっている』
    人口集中地域から5Gサービスは開始されている。だから、新型コロナウイルスの発生エリアが重なるのは当たり前!

知識があって、それを事実に照らし合わせて検証する論理的思考能力を備えていれば、多くのデマは、笑って聞き流せるはずです。
 
特に、知識は大切ですよ…
「腸チフスのメアリー」というエピソードをご紹介しましょう。
 
『元祖スーパースプレッダー”腸チフスのメアリー”が残した教訓』
(ナショナル・ジオグラフィック)
 
 
1900年から1907年にかけて、料理人であったメアリー・マローンは、自身を雇ったニューヨークの富裕層22人に腸チフスを感染させました。彼女自身が、腸チフスの保菌者だったのです。
その事実を突きつけられたメアリーは、しかし、医者からの言葉を聞き入れず、検査を拒み続けました。結果、警察官に強制連行された病院で、腸チフスの保菌者であることが判明しました。
数年間、隔離されていたメアリーですが、1910年に自由を得ます。
当時、腸チフスの治療方法は、胆のうの摘出しかありませんでしたが、彼女はそれを拒み…、つまり腸チフスの保菌者である状態のまま、社会へ復帰したのです。
そして、最悪の選択として、彼女は、再び料理人として働き始めます。
 
結果、彼女は1915年に再び逮捕されるまでに、判明しただけでも、合計51人に腸チフスの感染させ、うち3人が死亡しました。
しかし、それだけのことをしたにも関わらず、彼女は生涯、自身が腸チフスの保菌者であることを認めませんでした。
原因のひとつは、彼女自身に腸チフスの症状が現れなかったため。
そして、感染という概念を理解できるだけの教育を受けてこなかったため、自身がしでかしたコトの重大さを理解できなかったためと言われています。
 
悲劇的な話ですよ、メアリー本人にとっても、彼女から腸チフスを感染させられた人々にとっても。
 
知識は身を助けます。
特に今、新型コロナウイルスの封じ込めは、私ども一人ひとりの行動が鍵となります。
正しい知識を身に付け、くれぐれも自分の大切な人たちを傷つけることなどないように、心がけましょう!


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