秋元通信

当社が、配車システム導入に数年を要した理由

  • 2020.12.15

かつて私は、配車システムの営業でした。
私が秋元運輸倉庫と出会ったのは、配車システムの売り込みがきっかけです。
 
しかし、結果として、私の売り込んでいた配車システムを、秋元運輸倉庫は契約しませんでした。
今回は、配車システム営業としての経験から、物流企業がシステム導入を行う際の障害となる、「現場の反発」について考えましょう。
 
 
 

システム導入の障害となるもの

 
これは配車システムに限りません。一般論として、システム導入を図る際に、もっとも障害となるのは、現場の反発だと私は考えています。
 
社長を始めとする経営陣を説得するよりも、ある意味で、現場の反発を乗り越えるほうが、はるかに大変です。
 
経営陣を説得するためには、以下のようなストーリーが必要です。
 

  • システム導入の目的は何か?
  • システム導入による効果/メリットは?
  • システム導入による費用対効果(ROI)は?

概ね、このような要素をご提案し、ご納得いただければ、経営陣に対する説得は成功します。
つまり、経営陣向けの説得は、理詰めで行けるわけですが…
 
 
しかし、現場の方々に対しては、まるで正反対のストーリが必要になります。
現場の方々にシステム導入を納得させるため、理詰めのストーリーが不要だとは言いません。
しかし、それ以上に大切なのは、現場の方々が、「ちょっと頑張ってみるか!?」と思っていただけるような、モチベーションの向上なのです。
 
 
 

何故、現場はシステム導入に前向きになれないのか?

 
私が、秋元運輸倉庫に配車システムを売り込んだ時、経営陣の皆さまは、前向きに検討していただけました。
問題は、PoCを開始してから発生しました。
 

『PoCとは
概念実証(がいねんじっしょう、英: Proof of concept(PoC)、ポック、ピーオーシー)は、新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、簡単かつ不完全な実現化(または概要)を行うこと。あるいは原理のデモンストレーションによって、ある概念や理論の実用化が可能であることを示すこと』
Wikipediaより)

 
PoCと言うと小難しいですが、要は、導入前にお試し運用を行ったわけです。
当時、私は、3週間近く、ほぼ毎日秋元運輸倉庫に通い続けました。
本来は、毎日など通う必要はないわけですよ。にも関わらず、毎日通ったのには理由がありました。
 
当時の配車担当者は、私がいると、実際に配車システムを操作し、配車作業を試してくれました。私の前では、配車システムを操作し、配車結果に好意的な意見や感想を述べてくれます。
が、しかし、私が来ない日には、一切配車システムを触ってくれません。
 
配車システムを触ってくれるだけ、マシなんですけどね。配車システムのPoCを行ってくれた他の運送会社では、触ってくれたのは最初の2〜3回だけで、後は私が押しかけようが何を言おうが、一切テストをしてくれなかった例もあります。
 
 
ある運送会社において、PoCを行った後に、同社社長に対し提出したレポートに、私はこのような一文を記したことがあります。
 

『PoCの結果、配車システムは、貴社における配車業務の改善に十分な効果を発揮することが分かった。
だが、導入に際しては課題もある。それは、配車担当者のモチベーションである。配車担当者は残念ながらPCスキルが低く、不慣れな配車システムに慣れるまで、おそらくは数週間から数カ月掛かることと推測する。
その期間、配車担当者は、不慣れなシステムと格闘するストレスと向き合いながら、かつ旧来の方式での配車業務を並行して行うことで発生する業務量増加にも直面する。
したがって、貴社における配車システム導入成功のキーは、貴社経営陣の皆さまが、配車担当者のモチベーションを維持すべく、叱咤激励を続けていただけるかどうかにかかっている』

 
 
補足しましょう。
どんなに分かりやすく作られたシステムであっても、またどんなにPC操作に長けた人や、ITリテラシーの高い人でも、不慣れなシステムを利用すれば、ストレスを感じます。
担当者が感じるストレスとは、不慣れなシステムを操作するストレスだけではありません。
新しいシステムの導入に伴う、業務負担の増加に対するストレスもあります。
 
一般論として、新たなシステムを導入すると、現場担当者の負担は増加します。多くの場合、新システムを導入したとしても、しばらくの間は、旧来のやり方で該当業務を並行して継続する必要があるからです。
ましてや配車システムの場合、ドライバーへの影響も発生します。新システムを導入したからと言って、いきなり旧来のやり方を廃止するわけにはいかないのです。配車システムを導入すれば、基本的に配車にかかる工数は減らすことができます。しかし、それは旧来のやり方から完全に切り替えた後でのこと。
配車システム運用が起動にのるまでの間、配車担当者は、業務量が増えた状態を頑張ってこなさなければならないのです。
 
 
 

物流企業で、現場向けシステムの導入が頓挫する理由

 
私は、配車システムの営業として、いくつかの運送会社に売り込みを行ってきました。また、それ以前にも、Web系システムの営業として活動していました。
現場の反対(もしくは「反発」)は、本当に厄介です。私は、現場からの反対をクリアできず、売り込みを諦めた経験が何度もあります。
 
誤解をしないで欲しいのですが、多くの場合、現場の皆さまは、会社が示したシステム導入という方針に対し、本気で反対しているわけではありません。
 
「会社の言っていることも分かるけど。現場で実際に運用にあたる、私たちの負担も考えて欲しいよなぁ…」
 
ほとんどの方は、システム導入に前向きになれないだけなのです。
 
 
運送会社、倉庫会社といった物流企業の場合は、特に現場の反対を覆すのは難しいように感じます。
 
そもそも現場の発言力が強いことに加え、上意下達で部下に業務命令を出すことに不慣れな物流企業が多いことが理由です。
これは私の経験則によるものではありますが。
ただ、現場の発言力が強いということは、言い換えれば現場を尊重している結果でもあります。必ずしも物流企業のウィークポイントとは思いませんが、こと、システム導入などに限って言えば、マイナスに働くことも多くなってしまうのでしょう。
 
 
 

当社で配車システムを導入することができた経緯

 
昨年から、実は当社芝浦営業所では、配車システム『LogiSTAR(ロジスター)』を導入、利用しています。
今夏にはライセンスを追加、川崎営業所と袖ヶ浦営業所でも配車システムを稼働させるべく、切磋琢磨しているところです。
 
かつて失敗した配車システムを、何故今になって導入できたのか?
成功の鍵はきっと、無理をしなかった/させなかったからでしょうね。
 
繰り返しになりますが、新しいシステムを導入しようとすれば、どうしたって現場には負担が増えます。その負担を解消する方法はありません。ただ、負担を最小限にする方法はあります。
 
現在は、袖ヶ浦営業所における配車システムの稼働開始に向けて、さまざまな準備を行っているところです。ポイントは、RPAです。RPAを用いて、現配車マンの負担をなるべく減らした上で、配車システムの導入を進めようと考えています。
 
 
今週金曜日(2020年12月18日)、当社では、株式会社パスコが主催する、配車システム『LogiSTAR』オンライン事例セミナーに参加します。
当社が配車システム導入に至った背景や事情、袖ヶ浦営業所でのチャレンジなどは、ぜひオンラインセミナーでご確認いただければ幸いです。
 
※詳細確認、申込みはこちら
https://tiget.net/events/113767
 
 
ちなみに。
前職において、私は秋元運輸倉庫に配車システムを売り込むことができませんでした。
でも、その経緯がきっかけで、今こうして秋元運輸倉庫で働いているわけです。
 
人生って、興味深いですね。
何がどのように、人生における転機になるのか、分からないのですから…
 
 
 


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