秋元通信

「ペルソナ」で差をつける! 遠足作文にならないために

  • 2021.1.29

以前、こんな記事をお届けしました。
 
「プロットで差をつける! 遠足作文にならないためのマインドマップ活用法」
 
遠足作文とは、時系列に沿って発生した出来事と感想を羅列した文章のことです。メリハリがなく、退屈な文章になりがちであることが、遠足作文の課題です。
 
ですが、例えば、業務で行った、視察を含んだ研修旅行のレポートなどは、ついメリハリのない遠足作文になりがちです。
プライベートでブログを書いていたり、もしくはSNSに投稿する際にも、お出かけの記録を書くことも多いでしょう。
 
前回は、マインドマップを活用し、プロットで工夫して、文章にメリハリを付ける方法を考えました。今回はマーケティングなどでもよく登場する「ペルソナ」を利用して、メリハリのない遠足作文を避け、一皮むけた文章を書く方法を考えましょう。
 
 
 

ペルソナとは

 
本来の「ペルソナ(persona)」とは、仮面や役柄の意味です。
それが転じて、マーケティングの世界では、商品やサービスを企画開発する際に、仮想の購入者を想定する手法があります。仮想の購入者を具体的かつリアルに想定・想像することで、商品・サービスの短所を解消し、より魅力のあるモノへと磨き上げるのです。
 
文章を書く上でも、ペルソナを想定することはとても大切です。
「この文章の、ココのところで、読者さんは笑ってくれるかな?」などと想像しながら書くわけですね。
 
 
 

ペルソナによって、書くべき文章は異なる

 
一例として、以下の場所を訪問した際のレポートを書くときのポイントを、ペルソナごとに考えてみましょう。
 

訪問した場所:
倉庫をリノベーションした展示型アミューズメント施設

 

お客さま候補を読者に想定した場合

 
この場合、お客さまとなるのは、子供を含めた家族となります。
ただし、子供がネット検索してアミューズメント施設を見つけることを想定するよりも、お父さん&お母さんがネット検索した結果、記事にたどり着くことを想定することが現実的でしょう。

  • アミューズメント施設において、どのように子供が楽しめるのか。
  • どんなところに子供が興味関心を感じるのか。

 
心がけたいのは、「あなた(筆者)が楽しかったこと」ではなく、読者が求める情報を書くこと。
例えば、子供が楽しめるポイントを中心に、アクセス方法、平均的な滞在時間、料金などの情報が大切になります。昼食が施設内で食べられるのか否か、お弁当の持ち込みに関する情報も欠かせないかもしれませんね。
 
 

教養や知的好奇心を求める読者の場合

 
「物流業界の井戸端会議」をコンセプトにする当メルマガは、このパターンです。
この場合、大切なのはバランスです。「Fan」(楽しい)と「Interest」(関心、興味)のバランスです。
何故、「倉庫をリノベーションして展示型アミューズメント施設にリノベーションしたのか?」といったビジネス的な要素(物流不動産の要素)も盛り込みながら、展示内容の魅力、見どころも伝えることで、知的好奇心をかきたてるような文章構成を心がけます。
 
難しくなりすぎず、かと言って軽くもなりすぎない、そんなバランス感覚が大切になります。
 
ちなみに、筆者は街歩き記事に、訪問した場所(お店など)の紹介だけでなく、街の歴史や背景などを加えるようにしています。これも同様の理由からです。
 
 

ビジネス目線で情報を求める読者の場合

 
例えば、ビジネス誌や専門誌などに、記事を書くことをイメージして書く場合です。ビジネスレポートも、このパターンに近いです。
この場合、物流不動産の目線から、倉庫を展示型アミューズメント施設にリノベーションするケースにおける、ビジネス上のメリット/デメリットや、ビジネスモデル評価などが記事の主軸となるでしょう。
 
このパターンにおいては、より具体的に、ペルソナを想定することが求められます。
技術、ビジネスのスキーム、経済合理性など、フォーカスするポイントについては、ペルソナに応じて工夫をこらしましょう。
 
 
 

ペルソナごとに、読後の感想は異なる

 
先に挙げた3種のペルソナにおいて、記事を読んだ後の感想は、どのようなものが想定されるでしょうか。
簡単にまとめましょう。

  • お客さま候補を読者に想定した場合
    → 行ってみたい。
  • 教養や知的好奇心を求める読者の場合
    → おもしろそうだ。
  • ビジネス目線で情報を求める読者の場合
    → (ビジネスモデルとして)優れている/優れていない。

 
読者のペルソナを想定した後は、記事に掲載すべきポイントを選別し、その上で、読後の感想を想定します。
 
ここまで行えば、自ずと記事の方向性は固まってくることでしょう。
遠足作文のように、メリハリのない文章を書くことは、むしろ難しいはずです。
 
 
 

誰かのために書くということ

 
自分が書きたいこと(≒感じたこと)と、読者が読みたいことは異なります。想定する読者のペルソナによって、その差は大きいこともあれば、さほど差がないこともありますが。
読者をペルソナとして想定、文章を書くということは、自分起点で文章を書く姿勢から脱却し、読者起点で書く姿勢を身につけることです。
 
もうひとつ、大切なことがあります。
それは、情報の取捨選択です。
 
例えば、旅行記や研修レポートなど、遠足作文になりがちなテーマが難しいのは、ついつい自分の体験、つまりインプットをそのままアウトプットとして文章にしてしまうからです。
極論ですが、インプット=アウトプットを目的とするのであれば、記録映像にはかないません。
 
あなたが体験したインプットに、あなたという存在のフィルターをかけることで、生まれた化学反応が、ほんとうの意味での「あなたの文章」なのです。
 
物流業界の皆さまには、ぜひ倉庫をイメージしていただきたく思います。
倉庫も、ただ保管するだけではなく、包装や流通加工といったプロセスを経ることで、入庫前より出庫後の方が、製品の価値が高まります。文章も、同じです。
 
あなたが体験したインプットから、想定するペルソナに応じて、まずは引き算をすること。
引き算の結果、残ったポイントとなる情報を見極めたら、あなたの考察や感想を足し算してください。
 
きっと、相手に伝わる、一皮むけた文章になっているはずです。
 
 
 

参考:「倉庫をリノベーションした展示型アミューズメント施設」訪問記

 
参考として、前述の「教養や知的好奇心を求める読者の場合」にて執筆した記事をご紹介します。
当社社内報にて、実は「倉庫をリノベーションした展示型アミューズメント施設」を訪問しております。
当該記事では、記事本文では簡単な施設紹介と、施設ご担当者からヒアリングした、ビジネス上のポイントをご紹介し、「FAN」(楽しい)部分は記事画像とキャプションで扱うことで、情報の優先順位を下げています。

※以下画像をクリックすると、拡大表示されます。


 
 
 

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