秋元通信

経営学ワード:プラットフォーム・ビジネスとは

  • 2021.3.25

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に共通することは何でしょう?
 
IT企業? ワールドワイドで活動している?
 
それも正解ですが、今回は、GAFAのビジネスに共通するキーワード、「プラットフォーム・ビジネス」について解説しましょう。
 
 
 

プラットフォーム・ビジネスとは

 
プラットフォームとは、もともと、水平な高台を指す言葉です。
鉄道駅におけるホームは、プラットフォームと呼ばれることもありますよね。これも、鉄道に乗降するための「水平な高台」です。
 
転じて、プラットフォームは、何かを行うために整備された環境、基盤などを指すようになりました。
 
 
プラットフォーム・ビジネスとは、人やビジネスが集合する場(プラットフォーム)を設けることで、ビジネスを活性化させる戦略のことを指します。
 
この、プラットフォーム・ビジネスを仕掛ける企業などの事業者を、プラットフォーマーと呼びます。
 
プラットフォーマーが、収益を得る方法は、基本的にふたつです。
 

  • プラットフォームを利用する人、もしくは企業などから利用料を徴収する。
  • プラットフォーム上で、サービスや製品が購入された場合、その手数料を徴収する。

 
「要は、みかじめ料をもらうだけでしょ? プラットフォーマーって美味しいよな!」
 
このように説明をすると、プラットフォーマーって楽な商売に感じる人もいるかもしれません。
でも、そんなことはないです。おいおい、説明していきましょう。
 
 
 

プラットフォーム・ビジネスの事例

 

ゲーム機のプラットフォーム・ビジネス

 
Nintendo Switch や PlayStastion5 など、ゲーム機を提供するケースだと、プラットフォーム・ビジネスは、このように階層化されています。
 

  • プラットフォーム
  • Nintendo Switch や PlayStation5 などのゲーム機(ハード)。
     

  • プラットフォーム・ビジネスに参画する企業
  • ゲームソフトの開発メーカー。
     

  • エンドユーザー
  • ゲームソフトを購入し、楽しむ個人。

 
ハードの開発および販売を行う、任天堂やソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、自社のゲーム機でソフトを作動させるための仕様を公開し、ゲームソフトメーカーからのゲームソフト開発/販売を募ります。
一方で、ハードの宣伝、ブランディングには、マーケティングを駆使し、巨額の広告費用を掛けます。
 
ハードの人気は、ゲームソフトの人気、充実度に大きく左右されます。
そのため、ハートメーカーは、ソフトメーカーとの関係構築にもチカラを注ぐ必要があります。
 
 
一般的に、プラットフォーム・ビジネスは、BtoBtoC、もしくはBtoBtoBの形を取ります。
ゲーム機のプラットフォーム戦略の場合は、BtoBtoCですね。
 
ここでは、ゲームソフトを媒介とした、直接的なプラットフォーム・ビジネスの構図を説明しましたが、実際のビジネスの現場では、別のプラットフォーム・ビジネスと、ビジネスを交錯させる事例も多く見受けられます。
 
マンガやアニメコンテンツのゲーム化は、わかりやすい例です。
例えば、週刊少年ジャンプは、それこそファミコンの時代から、人気作のゲーム化に積極的でした。
 
この場合、週刊少年ジャンプを発行する集英社が仕掛ける、週刊少年ジャンプというプラットフォーム・ビジネスと、ゲームメーカー各社のプラットフォーム・ビジネスを交錯させることで、ビジネスの相乗効果を引き出しています。
 
 
 

クックパッドのプラットフォーム・ビジネス

 
クックパッドは、さまざまな料理のレシピが投稿された、国内最大級のレシピサイトです。
クックパッドのビジネスモデルには、以下ふたつの軸があります。
 
◇ 個人課金
 
クックパッドを閲覧する個人ユーザーに課金するモデルです。
無料会員からプレミアム会員(有料会員)には、さまざまなメリットが設けられています。
 

  • 大人気レシピが分かる 「人気順検索」を利用可能に。
  • 「MYフォルダ」 にお気に入りを保存できる件数が、無料会員:20件から3000件に拡大。
  • 旬の人気レシピ 「デイリーアクセス数ランキング」を利用可能に。
  • 毎日の献立が悩まず決まる! 「プレミアム献立」を利用可能に。
  • ジャンル別の 「専門家厳選レシピ」を利用可能に。

 
他にも、さまざまなメリットがあります。
プレミアム会員は、月額308円(税込み)を支払う必要がありますが、この価格設定が絶妙なラインなのではないでしょうか。
日々、家族のために料理を作る主婦や、料理好きな皆さんにとっては、支払いやすい価格だと思います。
 
 
◇ 広告枠の販売によるビジネス
 
いわゆるバナー広告です。
ネットビジネスにおける、定石手段です。
 
これだけで言うと、Web2.0において注目を浴びた、フリーミアムモデルなどと、そう変らない気もしますが。
クックパッドでは、例えば、味の素が自社製品を活用したレシピを掲載するように、食品メーカーと、料理を楽しむ消費者をマッチングする場も提供しています。
 
 
また、クックパッドでは、新たなビジネスモデルを展開し始めています。
そのひとつが、クックパッドマートという、食材の提供販売です。
食材の提供販売は、昔からさまざまな会社が行ってきましたが、クックパッドマートが興味深いのは、レシピに合わせて食材を提供すること、そしてクックパッドマート専用の宅配ボックスを駅やコンビニなどで展開していること(宅配を行わない)でしょうか。
 
 
 

GoogleMapsのプラットフォーム・ビジネス

 
GAFAのプラットフォーム・ビジネスを語り始めると、それこそ本一冊分のボリュームになるので。
ここでは、Googleマップに限定して、お話ししましょう。
 
 
Googleマップは、2005年2月にベータ版がサービス提供開始されました。日本での開始は、同年7月です。ちなみに、ベータ版から正式版へと移行したのは、2010年8月6日のことでした。
 
Googleマップがスタートした時、筆者は、「便利なサービスがスタートしたなぁ」くらいの感想しか抱くことができませんでした。地図好きな私にとって、無料で地図が提供されることに関しては、とてもワクワクしましたけれども。
でも、地図をどのようにビジネス化するのか、そのイメージは湧きませんでした。
 
ですが、今では、Googleマップも、Googleにおける売上のひとつとして、ちゃんと収益化を実現しています。
 
 
◇ Googleマイビジネス
 
皆さんも、Google検索で店舗等を検索したことがあると思います。
検索した際に、そのお店の場所や口コミ等が表示されたり、特にAndroidユーザーの皆さんは、訪問したお店などに対し、「口コミを投稿しませんか?」といったガイダンスを受けた経験もあろうかと思います。
 
これは、Googleマイビジネスという、Googleマップ関連の広告サービスのひとつです。
 
 
◇ 地図データの提供サービス
 
私ども運送会社にはおなじみのデジタコやドラレコにおいて、地図とともに車両の現在位置を示すサービスがあります。
こういった、動態管理サービスで用いられる地図のなかには、Googleマップを利用しているケースもあります。
 
当社の企業Webサイトにおいて、当社の倉庫、営業所のご紹介ページでは、Googleマップを利用しています。
 
このように、地図を用いたさまざまなサービスを展開する上で、Googleは地図データであり、地図システムの提供を行っています。
 
 
現在、地図は、さまざまなビジネスや、社会インフラにおいて、用いられています。
もともと、地図って、とても大切な情報でした。
江戸後期に来日し、日本にさまざまな情報をもたらした、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが、国外退去を追放処分を受けたシーボルト事件も、罪に問われたのは、母国オランダへ日本地図を持ち帰ろうとしたことでした。
 
地図の重要さは明確でしたが、いざビジネス化しようとすると、Googleも、相当苦労したようです。
 
これは余談ですが。
確か、2014年頃のこと。私は、Googleからのアンケートに答え、Google Apps(現在のGoogle Workplace )おける、ヘルプ機能のお粗末さについて、指摘したことがありました。
 
アンケートに答えた数カ月後、Googleユーザー会に参加した私に、アメリカ本社から来日していた白人女性が話しかけてきました。ヘルプ機能について充実させる旨、お詫びを兼ねて、わざわざ説明にきてくれたのです。
 
その時、彼女がこのように発言しました。
 
「Googleは、どんなサービスも途中で投げ出すことはしない」
 
そこで、僕はこのように返しました。
 
「えっ!?、じゃあ、Google Latitudeは?」
 
Google Latitude は、Googleマップの有料サービスであり、位置情報の共有などができるサービスだったのですが、2013年に突然サービスが終了されたのです。
 
彼女は、一瞬ぎょっとした後、苦笑しながら、このように答えたのです。
 
「それは言わないでくれ! Google唯一の汚点だから」
 
まあ、唯一の汚点かどうか、私にはわかりませんが(笑
彼女は、その後、マップビジネス収益化の難しさを、少しだけ語ってくれました。
 
 
Googleの親会社である、Alphabetは、Googleマップ単体のビジネス収益を、正式には発表していません。ただ、Youtube、Gmail、GooglePlay、そしてGoogleマップなどを含む、広告ビジネスの収益は、96,3億ドル、Alphabet 全体の収益において、70.4%を占めていることを明らかにしています。
 
 
 
最初に、このように申し上げました。
 
「プラットフォーマーって楽な商売に感じる人もいるかもしれません」
 
ここまで説明をすれば、プラットフォーム・ビジネスが、楽な商売ではないことを、皆さま、ご理解いただけるかと存じます。
 
例えば、ゲーム機の製造・販売に取り組んだものの、撤退した会社を皆さんもご存知でしょう。これは、ソフトの販売が低迷、もしくは他社に及ばず、プラットフォーム・ビジネスが衰退した事例です。
 
かのGoogleすら、Googleマップの収益化に苦労したことは、前述のとおりです。
 
プラットフォーム・ビジネスは、既存のビジネスを活性化させ、上位のステージへと導く触媒のような役目を果たします。個々それぞれがバラバラに行っていたビジネスを、大きな潮流へと昇華させ、ビジネスのスケールアップや、新たなビジネスの可能性を生み出すのです。
 
今後も、新たなプラットフォーム・ビジネスが生み出されていくのでしょう。
経営学ワードとしても、ビジネスマンの社会常識としても、ぜひ押さえておきたいキーワードのひとつです。
本記事が、皆さまの知識を豊かにする糧となれば幸いです。
 
 
 


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