秋元通信

オンラインの時代だからこそ大切にしたい言語外コミュニケーションとは

  • 2021.9.13


  
新型コロナウイルスの影響、もしくはテレワークの普及により、Zoom、Teamsなどを用い、オンラインミーティングを行う機会も多くなりました。
 
オンラインで打ち合わせをすると、自分の顔、表情を確認することができます。
リアルの打ち合わせでは、ほぼ無理なことですが、あらためて自分の顔やら表情やらを確認し、いろいろと気が付く方もいらっしゃるようです。
 
「老けたなぁ」「太ったなぁ」「顔色が悪いなぁ」── 日頃は感じていない、自分自身の変化を感じる方もいらっしゃることでしょう。
私が感じたのは、「あれ!、自分って、こんなに怖い顔をして話しているんだ!?」でした。
 
ちょっと…、いや、だいぶショックでした…
 
というのも、私は、デフォルトの表情がにやけ顔だったはずなんです。
子供の頃から、「何をニヤニヤしているんだ!」と因縁をつけられることが多くありました。本人はマジメな顔をしているつもりなんですけどね。
社会人になってからも、私のニヤケ顔体質は、ときおりトラブルを招きました。
「お前、俺が真剣な話をしている時に、なに笑っているんだ! 俺のことを小馬鹿にしているのか!」と全社会議の場で、社長から名指しで怒られたこともありました。
 
とは言え、特に社会人になってからは、自身の表情に自負を持つようになっていきました。
営業として活動する上では、相手がどういう態度であろうと、にこやかな表情を保つことは、大きな武器となります。
 
ニヤケ顔というコンプレックスは、アドバンテージへと変わったのです。
 
 
「そりゃ、横でニコニコしていれば、相手は俺じゃなくて、お前を見るよな!」── これは、お客様との打ち合わせが終わった後で、同行した上司が吐き捨てるように、私に放った言葉です。
 
その打ち合わせは、新規の取引が決まったお客様との実務に関する調整と、ご挨拶を兼ねた打ち合わせでした。もちろん、取引ですから、すべてお客様のご希望どおりに進むわけではありません。受け入れられることと、できないことの境界を確認しつつ、しかし取引そのものは友好かつ円滑に行うべく握手を行う、とてもセンシティブな打ち合わせです。
 
私は上司の隣で置物になっていたわけではありません。
むしろ、打ち合わせの主導は私が行い、にこやかな表情を崩さず、しかし伝えるべきことは、しっかりと伝える打ち合わせを行ったつもりでした。
上司を差し置いて話をすすめる私と、それに呼応するお客さまの双方に対し、当の上司はおもしろくなかったのでしょう。
 
ちなみに、その上司は、お世辞にも尊敬できる方ではなかったので、私としては上司の言葉に落ち込むこともなく、むしろしてやったりの気持ちを感じたのですが。
 
 

言葉以上に大切。ノンバーバルコミュニケーションとは?

 
昔から、「目は口ほどにものを言う」と言います。
仕草や表情など、言語以外によるメッセージのことを、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)と呼びます。
 
「それは駄目です」と相手に言う場合でも、険しい表情で言う場合と、笑いながら言う場合では、相手に対する伝わり方が変わります。
 
また、相手に手のひらを向けながら、「それは駄目です」と言う場合と、顔の前で手のひらをひらひらと横に振りながら、「それは駄目です」と言う場合でも、相手への伝わり方は変わってきます。
 
それぞれ、前者はより厳しく、後者は「駄目です」という言葉の厳しさを弱める効果を持ちます。
 
私は、その場その時における自らの気持ち以上に、表情がにやけてしまうことで、相手に対し、本心とは異なるノンバーバルコミュニケーションを行ってしまっていました。
だからこそ、そのことに気がついてからは、意識して表情をコントロールしているつもりでした。
 
しかし、オンラインミーティングを行った際、自分が考えている以上に、怖い・険しい表情で話していることに、ショックを受けたのです。
 
なお、ノンバーバルコミュニケーションでは、先に挙げた表情、手の仕草の他にも、声の張り、イントネーション、話す速度、外見、身だしなみ、姿勢、視線、対人距離、呼吸などがコミュニケーション手段として考えられています。
 
 

オンラインミーティングだからこそ大切にしたい、パラ言語とは

 
ノンバーバルコミュニケーションは大切ですが、オンラインミーティングの場では、十分に発揮されない可能性もあります。
 

  • 全身が映らない。
  • 画面が小さい。

 
上記に加え、そもそもオンラインミーティングでは、資料等を投影し、参加者の姿が閲覧できないケースもあるからです。
 
前項でも取り上げた、イントネーションや話す速度、もしくは声質、あるいは相槌などを、パラ言語(周辺言語)と呼びます。
 
パラ言語は、コミュニケーションを補足する役目を果たします。
ただ、気をつけなければならないのは、相手の文化的背景や、パーソナリティによって伝わり方が変わることです。
 
明石家さんまさんは、よく「なんでやねん」と言います。高い声で、最初の「な」を強く発する「なんでやねん」です。
この「なんでやねん」は、関西の方々には親近感のあらわれかもしれませんが、関西以外の方々には、査問されているかのような、強すぎる追求を感じる方もいます。
 
私は幼少期を大阪で過ごし、小学3年生のときに千葉に引っ越してきたのですが、引っ越した当初、コミュニケーションに支障をきたした経験があります。関西弁は、どうしても言葉が厳しく、強く聞こえてしまうからです。
当時は今と違い、まだ関東のTVなどでも大坂芸人を始めとする関西弁を使う人が少なく、関東の方々が関西弁に慣れていなかった背景もあったのでしょう。
 
先生から、「言い方がキツイ」「もうちょっと優しい言い方ができないのか」と言われ、困惑した覚えがあります。
 
日本女性の中には、対外的な、つまりお客様などに対する、電話やリアルコミュニケーションにおいて、声を一段高くして話す方もいます。
当人は、それがコミュニケーション上、良いことだと考えているのでしょうが。欧米の方々の中には、「この人は子供っぽいなぁ、大丈夫かなぁ」と不安を感じる方もいるそうです。
 
私自身が、特に気を使っているのは、話すスピードであったり、間を取ることです。
 
取材で相手をインタビューする際、相手が早口で話す方の場合には、自分の話すスピードも早くします。そうしないと、相手は無意識のうちに、「会話のリズムが合わない」と感じ、本音が引き出せなくなることがあるからです。
 
逆に、交渉の場において、相手が早口の場合には、わざとゆっくりと、しかも間をおきながら話すこともあります。これは、相手のペースにのらず、こちらのペースに相手の引き込むためのテクニックです。
 
また、セミナー等、大勢の方の前で話すときには、話すスピードとイントネーションに緩急をつけること、そして間を取ることを心がけます。
 
「****というような状況にあるときには…(※間を取って)、????という対策を取ることで、課題解決に繋がります」
 
そして、間を取るタイミングで、プレゼンテーションを映し出しているスクリーン前に移動し、該当する文字列や図などを、コンコンコンと拳で叩くのが、私の常套手段です。
 
話し方に緩急をつけることで、退屈になりがちなセミナーに刺激を与え、また間を取ることで、「ここが大切ですよ」と強調する効果を生み出すのです。
 
 

コミュニケーションで損をしないために

 
コミュニケーションは、国語の教科書的な、つまり発する言葉の選択や、文章の良し悪しだけで決まるものではありません。
もちろん、使うべき敬語をきちんと使えないのは論外ですが、その他にも、今回取り上げたノンバーバルコミュニケーション、パラ言語といった、言葉外のコミュニケーション手段もとても大切です。
 
せっかく良いことを言っていたとしても、もしあなたの表情や仕草、話し方が、阻害要因になっていたとしたら、それはとても残念なことです。
 
逆に、「なぜ、皆、私の言うことを聞いてくれないのだろう?」「私の伝えたいことを、周囲は理解してくれていない気がする」といった悩みを抱えている方は、ノンバーバルコミュニケーションやパラ言語を意識するようにすることで、悩みが解決するかもしれませんね。
 
 
 


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