秋元通信

鈴木清が振り返る2021年 「物流企業の将来を憂う」

  • 2021.12.27

こんにちは。
秋元運輸倉庫 常務取締役、そしてイーカーゴ代表取締役の鈴木です。
 
 
2021年はこれからの物流ビジネス、特に弊社も含めた中小物流企業の未来について、いろいろと考えさせられる一年でした。
 
社会は、アフターコロナ・ウィズコロナを合言葉に、大きく変化しつつあります。
企業も、これまでの成長戦略から、大きく舵を切らざる得なくなってしまいました。社会の流れをうけ、物流業界も、大きな変化を求められた年だったのではないでしょうか?
 
「新たな生活様式と経済環境を踏まえつつ、物流ビジネスのあるべき姿とは?」──私にとっては、あらためて考え直さなければならないと気付かされた一年でした。
 
ワクチン接種が大きく功を奏したのか、日本では2021年の後半から、新型コロナウイルスの感染状況が大きく改善されています。しかし、特効薬の開発には数年単位の年月が必要とも言われておりますし、依然として予断を許さない状況にあることは変わりありません。
 
 

物流ビジネスにも訪れる、ニューノーマルの潮流

 
経済活動は徐々に再開され、ウィズコロナを見越した、ビジネス、事業を展開する企業が次なるニューノーマル時代を築こうとしています。
 
コロナ不況は、物流マーケットにも大きなダメージを与えました。これは一過性の現象ではなく、世界規模で回復するまで数年を要すると言われています。
 
貨物輸送量は2020年から大きく変わり、取り扱う荷物によって明暗が大きく分かれる結果になりました。2021年には輸出入が滞り、海外からの貨物も大幅に減り、企業間輸送が激減しました。国内メーカーは部品調達にも影響がでて、特に自動車や住宅関連の物流に影響が出ています。
 
コロナ禍においても、通販や巣ごもりなどの新しい生活様式に対応した宅配は堅調です。宅配に限らず、フードデリバリーや買い物代行サービスなどは、今後も増えていくでしょう。
しかし、こういった新たな物流ビジネスの実配送や配送網を担う物流プラットフォームが、物流事業者ではないことも現実です。
 
荷主企業は、物流コスト上昇対策として、価格・品質維持のため、荷主による自家物流への転換は拡大しています。私どものような、従来からの物流事業者にとっては、厳しい現実です。
また、Amazon、楽天といった、ITを武器に物流ビジネスを展開するプラットフォーマーが、今まで以上に存在感を増す一方、新たなスタートアップ企業も、次々と物流ビジネスに参入しています。
 
物流における新技術の研究・導入も進んでいます。
無人運転、トラックの後続車無人隊列走行、物流業務全般の無人化、AIやIoT等の新技術をサプライチェーン上に組み込み、物流生産性のさらなる向上を狙う試みも、活発になりつつあります。
まさにこれは、物流革命なのかもしれません。
しかし、中小の物流企業にどこまで浸透するのだろうか?私は疑問を感じます。
 
 

注目される一方で、物流企業が抱え続けるリスク

 
私たち、現場を支える物流従事者は、新型コロナウィルス感染症の流行下でも継続してサービスを提供してきました。
新型コロナウイルスは、人々の生活や経済活動を支える「エッセンシャルワーカー」として、物流企業の価値と役割を、社会に再認識させる機会でもありました。実際に物流企業が果たす社会インフラとしての役割は、社会に欠かせないものですが、一方で物流企業が抱える経営のリスクは、後を絶ちません。
 
燃料費は常に高騰のリスクがあるにも関わらず、立場上、運送事業者は料金の値上げ交渉が難しいという課題を抱えています。
地球温暖化対策やエネルギー問題から、物流分野の温室効果ガス排出量の削減は重要視されてきています。
 
そして懸念されるのが、EC市場拡大の弊害です。
 
EC市場の拡大や顧客ニーズの多様化によって、発送ロットは小口化し、物流件数は増加傾向にあります。
これは海上コンテナ不足にも影響していると聞いています。東京港コンテナ取扱本数は変わらないが物量は減少している。つまり、一本当たりの中身が減少しているそうです。
また、物流件数の増加によって、配送ルートや在庫管理がこれまで以上に複雑になり、業務効率のネックとなり、物流の複雑化が、以前よりも従業員に負担がかかる状態になっています。
 
「物流の2024年問題」で指摘される、「中小企業に対する月60時間以上の時間外労働手当割増の猶予撤廃(2023年4月以降)」、「トラックドライバーにおける時間外労働時間の上限制限(2024年4月以降)」は、特に中小の物流企業に対し、物流生産性のボトルネック、もしくは労働力不足として、大きく降りかかってくるでしょう。
 
 

物流企業の将来を切り拓くのは、「取引先の拡大」

 
現代は、VUCAの時代──ありとあらゆるものが刻一刻と変化し、将来が予測困難な状態であること──と言われます。
 
コロナ禍において、弊社の配送も大きな影響を受けました。ただ一方で、PC関連機器を始めとする一部の荷動きが好調であったことから、売上減少を最小限に抑えることができました。
 
リスク分散を考え、ビジネスの多様化を目指すことは、これからの物流企業にとって必須ではないでしょうか。
 
どんな物流企業にも、苦手な貨物や、流通加工などはあるでしょう。
しかし、苦手をできるだけ克服し、取引を拡大することが、不確実な時代を生き抜き、中小企業が圧倒的に多い、物流企業の将来を切り拓いていく道になると、私は考えています。
 
「言うは易く行うは難し」ではありますが、私どもも頑張っていきます。
2022年も、不確実な時代を生き抜くために、協働物流を実行していきましょう!
 
 
 


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