秋元通信

新型コロナウイルスが私たちの家計に与えた影響、家計調査(総務省)を紐解く

  • 2022.3.22

前号の秋元通信では、総務省が消費状況を調べ、統計発表している「家計調査」から食品を中心に、都道府県別の消費ランキング上位をご紹介しました。
 
今回は、家計調査をさらに紐解き、新型コロナウイルスが家計に与えた影響をピックアップしていきます。
 
 
 

2020年の消費動向

 
まずは、2020年の家計調査から診ていきましょう。
なお、以下本記事では特に断りのない限り、集計の対象は「二人以上の世帯」における家計調査となります。
 
2020年、一世帯あたりの平均消費支出は、277,926円でした。
世帯主の年齢別に診ると、40歳未満の世帯は1世帯当たり1か月平均266,211円、40~49歳の世帯は315,958円、50~59歳の世帯は329,937円、60~69歳の世帯は282,997円、70歳以上の世帯は229,931円となります。
 
2019年と比べると、物価変動値を除いた実質で5.9%の減少となりました。この結果は、比較可能な2001年以降で最大の減少幅です。
 
ちなみに、東日本大震災が発生した2011年は2.2%の減少。
2012年(1.1%)、2013年(1.0%)は増加に転じたものの、消費税率が引き上げられた2014年は2.9%の減少でした。
 
2020年の消費支出が大きく減った原因は、やはり使い道がなくなったことでしょうね。
飲みにも行けず、旅行にも行けず…。当然の結果でしょう。
 
ちなみに、2020年でもっとも減少が大きかったのは、5月(16,2%)でした。次に緊急事態宣言が開始された4月(11.1%)が続きます。
 
消費内容を分類した費目別に診ると、もっとも減少幅が大きかったのは「被服および履物」の19.8%減少。次いで、「教養娯楽」(マイナス18.1%)、「教育」(マイナス10.5%)、「交通・通信」(マイナス8.6%)が続きます。
一方で増加したのは、「家具・家事用品」(6.1%)、「光熱・水道」(1.9%)、「保健医療」(1.7%)でした。巣ごもり需要に関連し、増えたのでしょう。しかし、その増加幅は決して多いとは言えません。
 
一方で、実収入は1世帯当たり1か月平均609,535円で、前年に比べ実質4.0%の増加となりました。もちろん、この背景には、10万円の特別定額給付金がありました。
なお、世帯主の定期収入・臨時収入・賞与は減少(トータルマイナス1.5%)する一方で、配偶者のそれらは増加(7.6%)しています。
何故なんでしょう?
奥さまに、すべて特別定額給付金は取られてしまったのでしょうか??
 
さらに、金融資産の状況も診ましょう。
2020年における金融資産は、預貯金純(157,186円増加)、有価証券(2,669円増加)、保険(18,339円増加)となっています。
 
使う場所や機会もなかったのでしょうが、景気の悪化を恐れ、多くの人が財布の紐を締めた傾向が現れています。
 
 
 

2022年1月の最新分析から

 
では、2021年から先々月(2022年1月)の消費動向はどうだったのでしょうか。
2020年平均から比較すると、マイナスになったのは2021年1月(2020年平均比95.6%)、2月(97.8%)、7月(99.7%)、8月(95.6%)、9月(99.7%)であり、他は2020年平均を上回りました。
 
では、品目別に診ましょう。
 

 2019年と比較し、消費が増えたもの

 
パスタ 12.3%up
冷凍食品 21.3%up
チューハイ・カクテル 68.2%up
保健医療(マスク、ガーゼを含む) 45.8%up
 
 

 2019年と比較し、消費が減ったもの

 
食事代 19.8%down
飲酒代 74.5%down
婦人服 32.0%down
鉄道運賃 45.3%down
航空運賃 80.7%down
パック旅行費 74.9%down
口紅 45.6%down
 
 
小売や旅行業が、軒並み苦しくなるわけですよね。
 
余談ですが、最近、都内の大規模オフィスビルに行くと、地下や低層階にあった飲食店が閉店し、歯抜け状態になっている様子をたびたび目にします。
今は新型コロナウイルスだけではなく、ウクライナ情勢も不安の種となりました。
 
私たちの日常生活は、いつ戻ってくるのでしょうね…
 
 
 

出典

 

 
 
 


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