秋元通信

SDGsって取り組むべきなの?、企業がSDGsに取り組むべき二つのポイントを考える

  • 2022.4.20


 
 
あまりに露骨なタイトルですね(笑
ただ、本音のところで、「SDGsをアピールして、企業にとってどんなメリットがあるんだろう?」と思っている方もいるのでは?
筆者も最近、このような質問を受けることが多くなってきましたし。
 
本稿では、「若者」と「ESG投資」という二つのキーワードから、SDGsを考えていきます。
 
 
 

「炭素をばらまきまくるような会社には就職したくない」と断言した学生

 
筆者は別媒体で、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が主催した、学生を対象とした研究発表会を取材執筆したことがあります。
 
物流志す学生はなんと「0%」、人材不足が加速する物流の根本課題
 
※記事全文を閲覧するためには、無料の会員登録が必要です。また、上記記事中には、秋元運輸倉庫での筆者の体験も記しています。
 
この研究発表会は、「日清食品がホワイト物流をさらに進めるために─持続可能なサプライチェーンを目指して─」をテーマとして、青山学院大学、学習院大学、専修大学、東京都市大学の学生が、8チームに分かれ、それぞれの研究成果を発表するものでした。
 
記事中には書きませんでしたが、ある学生が、とても興味深い発言をしています。
 
「私たちは、子供の頃から、環境問題とか社会貢献の必要性を学んできました。私たちの価値観では、炭素を垂れ流し続ける企業や、社会貢献を考えない企業などで働くという選択はありえないのです」
 
果たして、この学生の発言は真意なのだろうか…?──率直、私はこの発言に対し、100%の共感を感じることはできませんでした。
そこで、少し調べてみました。
 
 
 

若年層ほど高い、SDGsの認知度

 
電通が、2021年4月26日に発表した第4回「SDGsに関する生活者調査」によれば、調査対象となった全国10~70代の男女計1,400人におけるSDGsの認知度は、54.2%です。
 
これだけ話題になっていても、半分強しかSDGsのことを知らないのか…──ところが、10代に限って診れば、7割強(10代男性75.9%、10代女性72.2%)がSDGsを知っていると答えています。
 
ちなみに、世代/性別で診ると、10代男女の次に認知度が高いのは、男性50代(68.0%)、女性30代(62.3%)。もっとも認知度が低いのは、男性60代(50.5%)、女性70代(26.6%)となっています。
 
 
この背景にあるのは、学校教育の変化だと考えられます。
 
新しい教科書 時代映す エコ、各教科で重視“(朝日新聞 2010年4月5日)
 
同記事では、2011年春から小学校で採用される教科書において、「地球環境の問題を扱った教材やコラムが教科を問わずふんだんに盛り込まれた」と報じています。
 
2011年当時のすべての教科書が、環境問題を取り扱っていたわけではないでしょう。ですがおそらく、環境問題を取り扱う教科書はその後増えていき、現在ではSDGsを含めた環境問題は、小学校の教育で必ず取り上げられているでしょう。
私は本稿を執筆するにあたり、いくつか環境問題を取り上げた教科書や手引書を確認しました。フォーカスするポイントは、多少の違いはあれど、最後には児童自身が実践できる環境貢献、社会貢献などを例示している点は、大いに注目すべきと感じました。
 
実際、先の電通が行った調査では、「SDGsについて、自分で何かを行うにはハードルが高い」という設問に対し、10代がもっとも「そう思う」と回答した割合が低くなっています。
 

  • 10代 22.1%
  • 20代 29.4%
  • 30代 26.1%
  • 40代 40.7%
  • 50代 36.9%
  • 60代 36.8%
  • 70代 39.1%

 
ニュースなどによって場当たり的に環境問題、社会貢献、SDGsなどを学んできた社会人世代と、義務教育課程において系統的に学んだ経験のある10代、20代前半の若者たちとの間に、ジェネレーションギャップがあることは間違いないのでしょうね。
 
 
 

これから重要視されるESG経営

 
環境問題やSDGsなどに関しては、人によって理解度や共感の度合いなどに大きな違いがあるのが現実でしょう。
 
筆者の場合、仕事として、SDGsや環境問題などについて、これまでも複数の記事を執筆してきました。
ただ、パーソナルな部分でSDGs、環境問題、社会貢献などについて、どれほどモチベーションがあるのかと言えば、テーマによって温度差を感じることがあるのも事実です。
 
例えば、若くして環境活動家として活動をしているグレタ・トゥーンベリ氏に関して言えば、「何も無理してそこまでしなくとも…」と思うことも多いです。彼女は、ニューヨークで開催される国連気候変動サミットに参加するために、飛行機を使わず、15日間かけてヨットで大西洋を横断することで称賛を集めました。でも普通の人に、こういった行動を強いるのはやりすぎだと感じています。
 
グレタ氏は極端にしても、声高にSDGsの必要性を訴える人などを見ると、距離感を感じることがあるのも、正直なところです。
 
ただし一方で、これからの企業は、(取り組みに対する積極性に違いはあったとしても)SDGsや社会貢献などに取り組む必要があるとも考えています。
その理由が、ESG投資です。
 
ESGは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の頭文字を取った言葉です。
 
2006年、当時の国連事務総長 コフィー・アナン氏は、責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱しました。
これは投資家の短期主義を危惧し、投資先となる企業に対し、ESG評価も踏まえた、長期的な分析・評価を行うことを求めるものでした。
 
企業が短絡的な金儲け主義に走れば、何かしら社会に悪影響を与えます。
イタイイタイ病を引き起こしたチッソはその典型でしょう。最近頻発している食品における産地偽装問題や、自動車メーカーによる検査不正なども、ユーザーや取引先企業などに大きなダメージを与えます。
 
ただし、これって逆もしかりです。
社会の一員たる企業が、よりよい社会をつくるべく活動すれば、その影響は社会全体に波及するわけですから。
 
ESG投資とは、投資対象となる企業におけるESGの取り組み具合を投資基準として判断することを指します。
ただし、ESG投資では、財務諸表では表現されない企業の価値を評価しようという取り組みですから、その判断がどうしても定性的になりがちで、難しいという課題もあります。
 
SDGsは、環境問題や社会問題を分かりやすく整理整頓したフレームワークですから、「SDGsにおける○○について、わが社では△△というふうに実施しています」というアピールは、行う企業側、その情報を受け取る投資家、従業員、一般人などにとって、分かりやすいという、大きなメリットがあります。
 
 
 
まとめましょう。
SDGsって取り組むべきなの?──悩ましいとは思いますが、すべての企業は、SDGs、社会貢献、環境問題などに取り組んでいくべきです。
 
理由の一つは、ジェネレーションギャップがあるからです。
端的に言えば、SDGsなどに取り組んでいない企業は、今後採用活動などに支障を来す可能性すらあります。
もう一つは、ESGなる新たな概念が生まれているからです。ESG投資、ESG経営といった新たなものの見方は、今後の企業評価に大きく作用していく可能性が高いです。
 
もはや、SDGsは「関心がない」「興味がない」などと、個人における完成のレベルで語る次元のことではないのでしょうね。取り組まなければ、いずれ社会から取り残され、後ろ指を指されるようになる──それくらいの危機感をもって取り組むべき、企業の課題になりつつあるものと考えます。
 
 
 


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