夏休みの宿題の定番である自由研究ですが、そのテーマ選びには、子どものみならず、親も含めて悩ましいものです。
今回は小学生向けの自由研究をテーマにした本を紐解き、テーマの見つけ方を考えます。
世の中便利なもので、自由研究のテーマを紹介する参考書がいくつも出ています。
また、東京都は自由研究のテーマを紹介するWebサイトも運営しています。
“これならできる!自由研究 111枚のアイディアカードから選ぼう“(東京都立図書館こどもページ)
これらの参考書によれば、概ね自由研究のテーマは、4つに分類されています。
- 実験
- 観察
- 工作
- 調査
例えば、小学1・2・3年生向けの自由研究参考書には、テーマの見つけ方として、以下4つのひらめき方法が挙げられています。
- 日頃から「なんでだろう?」と疑問に思っているもの
- 学校で習ったことで、もっと研究したいと感じたこと
- 自分の好きなものを、もっと研究してみる
- 新聞やテレビから探す
今回、自由研究について調べていて気がついたのは、ことテーマの見つけ方に関する限り、常日頃筆者が秋元通信執筆のために意識しているポイントと同じなんですよね。
ただし、上記の1~4について、「さあ、自由研究のテーマを考えよう!」と突然ある日、子ども自身がテーマ探しと向き合っても、思いつくのは難しいでしょう。
親が、子どもと会話をする、もしくは日々過ごすなかで、「こういうことを不思議だと思ったんだ」「これが好きなんだな」と気づき、フォローしてあげないと難しいでしょう。
子どもを見ていて、「これ、自由研究のテーマとしてありかも!?」と気づいたら、メモをしておくべきでしょう。
筆者の場合、秋元通信を始め、執筆ネタについては、アイデアのひらめき、気づき、疑問等があったら、自分宛てにその内容をごく簡単にメモしてメールをしておきます。メールには、「ネタ」とタイトルを入れておきます。そうすれば、後からかんたんに検索できますから。
自由研究参考書に掲載されていたテーマをいくつか挙げてみましょう。
-
ー小学1・2・3年生向け
- 潮だまりにはどんな生き物がいるのかな?
- 雲の形と名前を調べてみたよ
- アサガオを育てよう
- 僕の街の安全マップ
- うちの家系図を作ってみよう
- 僕の街のバリアフリーを探してみよう
- ミクロの世界を探検
- おそるべき!?酢の力
- 牛乳パックからはがきを作ったよ
- インスタント麺工場見学
- 「世界の一番」ななんだろう
- 日本の方言調べ
-小学4・5・6年生向け
これはごく一部です。
筆者の頃と比べると、内容が高度になっている気がします。
また、環境やゴミ問題など、SDGsにつながるようなテーマも今風に感じます。
いくつか自由研究参考書を調べた中で、筆者が「こんなことをするの!?」と驚いたテーマをご紹介しましょう。
- DNA抽出液(水95ml、食塩5g、台所用洗剤小さじ1)を用意する。
- 野菜8gを細かく刻む。
- すりばちでよくすりつぶす。
- DNA抽出液を30ml入れて、そっと1回かき混ぜて10分放置(混ぜ過ぎると、DNAが切れてしまうそうです)。
- お茶のパックで濾す(コーヒーの要領)。
- 小さいガラス瓶(透明なコップでOK)に移す。
- 無水エタノールを、ガラスビンの壁に伝わらせるように、そっと注ぐ。
- 無水エタノールと抽出液の境界部分に、白くもやもやしたものがでてくる。これがDNA。30秒後くらいから出てくるので観察する。
-基本観察のパターン
野菜ごとのDNAを目視でチェックし、また比較する。
-応用発展編
- DNAをスポイトで抽出、虫眼鏡や顕微鏡で観察する。
- 野菜だけじゃなく、魚卵やレバー等でも観察する。
ちなみに、抽出液に使う洗剤は、DNAを取り出しやすくする効果を発揮し、食塩はDNAを集まりやすくする効果を発揮します。
この実験では、DNA1本ずつを見ることはできませんが、かたまりを見ることができます。
そもそも、自由研究の目的って何でしょうね?
かつては、国語や算数などと並び、自由研究という教科がありました。
「自由研究は、児童の自発的活動を促すために、児童が各自の興味と能力に応じて強化の活動ではじゅうぶんに行なうことのできない自主的な活動を教師の指導のもとに行なうための時間として設けられた」
これは昭和22年(1947年)春に発布された学習指導要領(文部省)に記載された、自由研究に関する説明です。
自らの興味があるものを探せない人って、社会人でも少なからずいます。
そういう人は、仕事だけでなく、プライベートでも人生の楽しみを十分に謳歌することが難しくなってしまうと、筆者は考えています。
知的好奇心って大事ですよ。
知的好奇心があるからこそ、人は成長するし、また楽しみを見つけられるわけです。
自由研究って、子どものみならず、親にとっても、たしかに面倒な宿題だと思います。でもそう嫌わず、むしろ親自身も楽しむくらいのつもりで、子どもの自由研究のサポートをするのがいいのではないでしょうか。
そう考えると、親の興味を自由研究のテーマとして子どもに委ねるのも…、ありなんですかね??
本稿が、自由研究に悩む皆さまのヒントになれば幸いです。
今回の文献調査は、国会図書館の分館である、国際子ども図書館で行いました。
国際子ども図書館のレンガ棟は、明治39年(1906年)に帝国図書館として建てられた建物を、そのまま活かしています。
これが、見事な建築なんですよ!
その一部をご紹介しましょう。
※画像はすべてクリックで拡大します。
- 学校学習指導要領の編集(文部科学省)
- 小学生の自由研究パーフェクト 1.2年生
- 小学生の自由研究パーフェクト 3.4年生
- 小学生の自由研究パーフェクト 5.6年生
成美堂出版編集部 編. 成美堂出版, 2014.7 - わかりやすい!まとめやすい!小学生の自由研究 : 100テーマけいさい!
ガリレオ工房 編著. 永岡書店, 2021.7 - 実例でわかる!自由研究の選び方&まとめ方 : 理科・社会・国語のテーマ別にくわしく解説!! 1.2.3年生 改訂版 (まなぶっく)
- 実例でわかる!自由研究の選び方&まとめ方 : 理科・社会・国語のテーマ別にくわしく解説!! 4.5.6年生 改訂版 (まなぶっく)
子ども学力向上研究会 著. メイツユニバーサルコンテンツ, 2022.6