さて、おとなの自由研究「神田川を源流から河口まで走る」の後編です。
前回は、源流のある井の頭公園から高田馬場まで、神田川の流れをたどりました。今度は、高田馬場から浅草橋付近で隅田川に合流するまでの約8kmをたどります。
ちなみに、今回はマイ自転車ではなく、シェアサイクルで走ります。
残り8kmですからね、前日までの完全武装スタイルが冗談のようです。ただし、首には冷却式ネッククーラーを巻き、カバンには保冷機能を備えたボトルが入っています。
では、後半をお届けしましょう。
※画像はすべてクリックで拡大します。
- 明治通りと合流する高田橋・高戸橋付近。川幅も広くなっています。
- 明治通りからホテル椿山荘の横を抜け、江戸川橋駅に至る神田川沿いは、桜の名所として知られています。春には、川面に覆いかぶさるように咲き乱れる桜を愛でることができます。
- しっかりと遊歩道が整備されているのも嬉しいところ。
- 雑司が谷方面から来た都電荒川線は、ここ高戸橋で直角に曲がり、早稲田方面へ向かいます。
- 高戸橋付近は、飛鳥山公園(北区)と並ぶ、桜を背景に走る都電を撮影できる人気スポットです。
もともと、神田川は平川と呼ばれていました。
後ほどご紹介する神田上水が引かれ、江戸の町に上水を提供するようになってからは、上流部分は神田上水、下流は江戸川、さらに現在の御茶ノ水よりも下流側は神田川と呼ばれるようになりました。
現在のように、川全体を神田川と呼ぶようになったのは、明治に入り、神田上水が廃止されてからだそうです。
明治通りとの合流付近から、江戸川橋駅(東京メトロ有楽町線)までの2km弱は、神田川沿いにおいて、もっとも明媚な区間です。特に桜の季節は素晴らしいです。
都電に乗り、面影橋駅までのんびりとした気分で鉄分を補給、神田川沿いを歩き、途中、ホテル椿山荘でランチを味わい、江戸川橋公園を抜けて、江戸川橋駅まで歩く…、僕は都内でも有数の散歩コースだと思います。
- このあたりは、かつて染め物を行う工房がたくさんあったそうです。見学や体験もできるようですよ。
- ホテル椿山荘が見えてきました。最近は、人工的に生み出した雲海も人気を集めています。
- ホテル椿山荘のお隣りにあるのは、肥後細川庭園。椿山荘の庭園も見事ですが、ここの日本庭園も眼福です。
- ホテル椿山荘と肥後細川庭園の間にある、急な階段を上がると、細川家伝来の美術品を所蔵する永青文庫があります。 ちなみに、この坂を目白通りまで上り、左に曲がって少し歩いたところにある目白台運動公園は、田中角栄元首相の目白御殿跡地です。
- ホテル椿山荘の、神田川側入り口。
ホテル椿山荘を過ぎ、江戸川公園を歩いていると、「神田上水取水口の石柱」なる立て札があります。
発展する江戸の街に住む住民たちの生活を支えた神田上水は、ここ(厳密に言えば、100mほど上流付近)から神田川と、神田上水へと分岐していたのです。
- 「井の頭池を源流とするわが国最初の神田上水は、関口の大洗堰(現在の大滝橋あたり)で水位をあげ、上水路(白堀)で水戸上屋敷(現後楽園一帯)に入れた。そこから地下を樋で神田、日本橋方面に給水した。 この大洗堰の取水口に、上水の流水量を調節するため「角落」と呼ばれた板をはめこむための石柱が設けられた。 ここにある石柱は、当時のもので、昭和8年大洗堰の廃止により撤去されたものを移した。 なお上水に取り入れられた余水は、お茶の水の堀から隅田川へ流された」
- 現在に残された神田上水取水口の石柱
- 江戸川公園、気持ちが良い公園です。ちなみに、公園内は自転車走行禁止ですので、押し歩きしてくださいね。
- 江戸川公園は、大地の縁にあります。なので、こんな魅力的な段差があります。
- 江戸川橋駅付近。既に述べたとおり、かつてこのあたりが江戸川と呼ばれた名残が、現在も駅や公園の名前に残っています。
江戸川橋駅を過ぎ飯田橋交差点まで、神田川は首都高の下を流れます。
江戸時代には、江戸屈指の桜の名所だったようですが…、今となっては巨大な用水路でしかありません。神田川は、飯田橋交差点で左に曲がります。曲がってすぐ、日本橋川が分岐しますが、神田川は水道橋を経て御茶ノ水へ流れます。
かつて、湯島から現在の御茶ノ水付近は、神田山と呼ばれる丘でした。
二代将軍 徳川秀忠から、神田山を切り拓く難工事を命じられたのが、仙台藩藩祖 伊達政宗です。
もともと神田川は、神田山にぶつかり、現在の駿河台下方面へ南流していたとされます。なぜ、わざわざ山を切り拓くような手間を掛けたのでしょうか。
理由としては、洪水対策、江戸城の守りを固めるなどが挙げられていますが、どうも納得がいきません。東北の有力大名であった伊達藩のチカラ(財力)を、山を切り拓き瀬替えを行うという難工事によって削ぐというのが、最大の理由であった気がするのですが…
どちらにせよ、伊達政宗自ら陣頭指揮を取ったと伝わるこの難工事によって、現在も残る、御茶ノ水付近の特徴的な風景が形成されたのです。
- 江戸川橋から飯田橋方面へ。このあたり、車道を走るしかないので、サイクリングとしてはなんの楽しみもありません(爆
- 水道橋から御茶ノ水方面を望む。ちなみに、この神田山の切通は、仙台堀、もしくは伊達堀とも呼ばれますが、このように呼ばれるようになったのは、もう少し時代が下ってからなんだとか。
- 聖橋から御茶ノ水駅を望む。神田川では、もっとも有名なショットでしょう。
水道橋から順天堂大学方面へと坂を上り、順天堂大学の手前で左に入ると、東京都水道歴史館があります。
ここ、とてもオススメです。
東京における水道の歴史を網羅的に学ぶことができて、しかも入館無料ですからね!
いくつも魅力的で知的好奇心がくすぐられる展示があるのですが、一つだけご紹介しましょう。
- 現在の水道橋から100mほど下流側にあった懸樋(かけひ / 上水を通すための橋)を再現した模型。
- 現在の水道橋から100mほど下流側にあった懸樋(かけひ / 上水を通すための橋)を再現した模型。
現在の水道橋(水道橋駅(JR)北東側にある橋)から、神田川の左岸に沿って、川寄りの歩道を少し歩くと、かつて懸樋(かけひ)と呼ばれる橋があった旨の石碑があります。これは、神田上水を神田川を渡すために設けられた橋であり、上水を通すための水道管が設けられていました。これが、現在に残る水道橋という地名の由来となります。
他にも、東京都水道歴史館には魅力的な学びがたくさんあるのですが、それは皆さまが実際に足を運び、確かめてください。
- 秋葉原の北側、万世橋の上流側には、かつて存在した万世橋駅跡地を改装したマーチエキュート神田万世橋なる商業施設があります。 鉄分高めの方は、かつて交通博物館があった場所として記憶されているかもしれません。
- マーチエキュート神田万世橋内には、当時の万世橋駅の階段が残されています。
- 秋葉原駅の南側、東北新幹線の鉄橋の下にある神田ふれあい橋。もともと、工事用の橋だったものを、地元からの要望により工事後も撤去せずに残しています。
- 秋葉原から昭和通りを過ぎると、神田川に屋形船が目立ち始めます。
- 柳橋の手前。もう河口はすぐそこです。
- 神田川最後の橋である柳橋。1698年に架けられ、当時は河口がすぐそばであることから「川口出口の橋」と呼ばれたそうです。 柳橋はこの地で栄えた花柳界のアイコンの一つとしても知られ、落語、文学作品などで数多く取り上げられています。
水道橋から秋葉原までは、神田山を越えることもあり、神田川のすぐそばを走ることはできません。右岸側、左岸側、どちらを走っても神田川に再びたどり着けますが、途中、聖橋(御茶ノ水駅近くに架かる、東京駅寄りの橋)からの眺めは、ぜひ堪能していただきたいです。
秋葉原の街を抜け、浅草橋へ進むと、神田川に係留される屋形船が目立ち始めます。
かつて花街(花柳)が広がっていた名残が、屋形船という形で現代に引き継がれているのでしょう。
そして、河口へ。
神田川と隅田川が合流する地点が、今回のおとなの自由研究の終点です。
- 神田川の河口を、神田川側から望む。正面が隅田川。
- 神田川の河口を、隅田川側から望む。左側が神田川です。
さて、今回の振り返りをしてみましょう。
- サイクリングとして楽しいのは、井の頭公園から環七を過ぎたあたり(丸ノ内線 中野富士見町手前)まで。
- 1.の区間は、サイクリングとしては楽しいけど、見どころは意外と少ない。
- 一方で、1.の区間であれば、お子さま連れでもサイクリングを楽しめるでしょう。
- 中野富士見町付近から高田馬場駅付近までの約5kmは、クルマ止めが多く、自転車で走るには精神的ストレスが溜まる。
ちなみに、道幅が狭いところ、また路面が荒れているところも(ところどころとは言え)あって、注意が必要。 - 面影橋駅付近~江戸川橋駅付近の神田川沿いは、都内屈指のお散歩ルート。特に桜の季節は最高!
- 後編でご紹介したルートは、子どもの自由研究テーマとしても適切かも。江戸上水の歩みをたどることができるという意味で、とても自由研究に適している。
- 後編でご紹介したルートであれば、徒歩でもOK。もしくは徒歩と電車でも楽しいかも。
前後編に分けてお届けした、おとなの自由研究「神田川を源流から河口まで走る」はいかがだったでしょうか。
神田川は、都心を流れる河川の中で数少ない暗渠化されていない河川です。だからこそ、こういう企画が成立するわけですが。
実は、私がこの企画を思いついたのは、以前自転車仲間の友人に連れられて、石神井川を源流から河口まで走ったからです。なので、本記事をご覧になって、「おもしろそう!」と思った方は、石神井川でチャレンジするのもオススメです。
マジメな記事だけではなく、たまにはこういったお遊び企画もお届けしたく存じます。
お楽しみに!



































