こんにちは。
年度末の繁忙期、そしてゴールデンウィークも終わり、一般的には閑散期へと向かう5月中盤です。
読者皆さまの中にも、一息ついている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、来る6月1日、道路交通法が改正されます。
今号は、交通安全をテーマにおとどけしたいと思います。
■ 今号のメニュー ■
1.トラックの交通事故を考える
2.物流関連ニュース
3.【6月1日 道路交通法改正】 自転車にも「運転者講習」が導入!
■ トラックの交通事故を考える ..。..。..。..。..。..。..。
※本レポートは、アルケミートレードのブログにも掲載しています。
ブログ中では、表なども合わせてご覧いただけますので、ご参照ください。
全日本トラック協会が、レポート「事業用貨物自動車の交通事故の傾向と事故事例」を発表しています。
これは、平成25年の事業用貨物自動車における事故統計を全日本トラック協会がまとめたもの。
とても良くできた統計レポートなので、運送事業に係る方のみならず、クルマを運転する人にはぜひ読んでいただきたいレポートです。
今回は、同レポートのデータを、交通事故全体の統計などと比較しながら、ポイントとなる部分をいくつかご紹介したいと思います。
◇トラックドライバーの年齢層別事故の状況
同レポート10ページには、このようにレポートされています。
「大型、中型は30歳代から50歳代(12,267件)が多く発生し、全体の約66%を占めています。また、普通では40歳代(760件)で多く発生しています」
トラックドライバーの年齢構成比と事故発生件数をあててみました。
比較すると、事故の発生件数に関し、年齢別の偏りは見受けられません。
あえて言えば、40歳代の事故発生率がやや高いといったところでしょうか。
◇どんな事故が多いのか
同レポートの6ページには、このようにレポートされています。
「追突事故が9,719件、出会い頭衝突事故が1,843件、右左折時衝突事故2,002件の準となっています。
特に、追突事故は自動車による交通事故全体の約39%であるにも拘らず、事業用トラックでは約53%と非常に高い構成率となっています」
一般ドライバーと比較し、トラックドライバーの起こす事故には、どんな事故が多いのかを比較していきます。
交通事故全体の統計によると、発生件数の多い事故ランキングは以下のとおり。
1.追突事故 (約36%)
2.出会い頭衝突事故
3.その他の車両相互事故
4.右折時衝突事故
5.横断中の歩行者を被害者とする事故
一方、トラックによる事故のランキングは以下のとおり。
1.追突事故 (約54%)
2.出会い頭衝突事故
3.その他の車両相互事故
4.左折時衝突事故
5.右折時衝突事故
なお、「その他の車両相互事故」とは、出会い頭、追突および追い抜き時、すれ違い時、左折時、右折時以外のシチュエーションでの事故となります。
同レポートのとおり、トラックの交通事故において、異常に追突事故が多いことが分かります。
◇交通事故が発生した速度と、死亡事故の関係
速度と死亡事故の関係について、同レポート(15ページ)では以下のように記載されています。
「危険認知速度別の死亡事故件数をみると、60km/h以下帯が58件で最も多くなっています。また、死亡事故率をみると危険認知速度が高くなるにつれて死亡事故率が高くなっています」
交通事故全体での統計と比較しましょう。
交通事故全体での死亡事故の割合は、0.6%。
対して、トラックが起こした事故における死亡事故の割合は、1.9%となっています。
なお、交通事故全体をみると、死亡事故率が最も高いのは、80km/hを超えた事故となっています。これは、暴走運転による死亡事故が含まれているものと推測します。
また、交通事故全体をみると、速度域が上がるほど、死亡事故率はどんどん上がっていきますが、トラック事故の場合は、速度向上による極端な死亡率の上昇はなく、低速度帯から死亡事故率が高いことが分かります。
特に、速度10km/h以下帯の死亡事故率は、交通事故全体の6倍。
これは、左折巻き込み事故などに所以するのでしょう。
車両の大きさゆえ、事故を起こせば悲惨な死亡事故につながる可能性が高いことを、運送事業者は今一度自覚する必要があるかと存じます。
最後にひとつ、とても興味深いデータをお見せしましょう。
◇トラックドライバーは高齢者の自転車乗りに厳しい?
自転車に乗った方が被害者となってしまった死亡事故に関する統計です。
交通事故全体では、自転車死亡事故全体における、24歳以下帯の構成比は、約40%。対して、トラックの場合、同年齢帯の構成比は、5.4%。
一方、60歳以上帯における、交通事故全体の構成比は、23.4%。トラックの場合、なんと64.4%もあります。
あまりに極端ですね。
子供には優しいトラックドライバーも、ご高齢の方々には、とても厳しいということでしょうか。
今回取り上げた「事業用貨物自動車の交通事故の傾向と事故事例」は、とてもよく出来たレポートです。
だからこそ、ただ読むだけではなく、もう少し深堀りすることにより、各データをさらに物流に関わる企業にとって、クルマの運行に関わる企業にとって、より有効な考察が生まれるものと考えます。
ぜひ、じっくりと腰を据えて目を通されることをお勧めします。
■ 運送関連ニュース ..。..。..。..。..。..。..。
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◇ドライバー給与、改善見られず
◇退職自衛官を取り込み 防衛省と連携しスキーム
◇ドライバー不足 解消法は・・・?
※記事本文は物流ウィークリーWebサイトをご覧ください。
■ 【6月1日 道路交通法改正】 自転車にも「運転者講習」が導入! ..。..。..。..。..。..。..。
来る6月1日、道路交通法が改正されます。
http://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html
今回改正のポイントは、自転車に対する取り締まりの強化。
今まで、自転車には反則金の制度がなく、事実上、自転車に対する取り締まりはほとんど行われていませんでした。実際に自転車の交通違反を取り締まろうとすると、当人に前科がつく上、警察側も処理に時間と手間がかかるのが、その理由だったのでしょうね。
自転車に対する講習制度が導入されます。
これによって、自転車の交通ルールが加速的に遵守されるようになることを期待したいところです。
今回、道交法に具体的に盛り込まれた、取り締まり対象の自転車ルール違反は、以下の14項目になります。
1.信号無視
2.通行禁止違反
3.歩行者専用道での徐行違反等
4.通行区分違反
5.路側帯の歩行者妨害
6.遮断機が下りた踏み切りへの進入
7.交差点での優先道路通行車妨害等
8.交差点での右折車妨害等
9.環状交差点での安全進行義務違反等
10.一時停止違反
11.歩道での歩行者妨害
12.ブレーキのない自転車運転
13.酒酔い運転
14.安全運転義務違反
各項目の詳細については、以下記事に詳しく書かれています。
http://allabout.co.jp/newsdig/c/82285/2/
歩道の自転車走行は例外であり、やむ得ない理由で歩道を走行する場合は、徐行が義務付けられます。当然、これまでなし崩し的に歩道を走ってきた自転車も、車道を走るケースが増えてくるでしょう。
また、勘違いしている人が多いのですが、路側帯は原則として自転車が通行すべき場所ではありません。今回の改正にも、「路側帯の歩行者妨害」という項目が追加されていますが、このことにより、自転車は、より車道の「内側」を走ることが強調されています。
間違いなく、6月の道交法改正により、車道を走る自転車の数は増えます。
トラックドライバーにかぎらず、クルマを運転する者全員が、よりいっそう自転車の存在を意識し注意を払った運転が必要となるでしょう。
皆さま、ご安全に!
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。