2024年10月15日(火)~18日(金)、幕張メッセにて、「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」が開催されました。
JMS2024は、初開催ながら、ビジネスマッチングの場として、出展者、来場者双方に、とても好評だったそうです。
その様子をレポートしましょう。
皆さま、「東京モーターショー」をご記憶でしょうか?
「東京モーターショー」は、自動車メーカーが一同に介し、コンセプトモデルなどを展示する、BtoCの展示会として、クルマ好きを中心に大変な人気を集めていました。
この「東京モーターショー」、1991年には202万人もの来場者を集めたのですが、2017年には来場者数77万人まで落ち込みました。それでも、一般的な展示会と比べれば、多いですけど。
東京モーターショーは隔年開催であり、2019年には子供向けの参加型アトラクション「キッザニア」なども追加し、少しコンセプトを変えて開催されました。
しかし、コロナ禍の2021年は、開催を中止。
2023年は、「ジャパンモビリティショー」と名称を変えて復活しました。
このとき、豊田章男氏(トヨタ自動車 代表取締役会長)が、「旧東京モーターショーの流れをくむ『ジャパンモビリティーショー』が隔年開催であれば、その合間の年に、自動車関連産業のビジネスマッチングを目的としたBtoB向けの展示会を開催できないか?」と言ったとか、言わないとか….
それが今回開催された「ジャパンモビリティーショー ビズウィーク2024」(以下、JMS2024)です。
ところが!
急ピッチで準備を進めた歪みなのか、それとも自動車業界を騒がせている不正認証問題の影響か、具体的な開催概要などがなかなか発表されない状況が続きました。
結局、JMS2024のロゴが決まったのも、8月に入ってからという始末。
このドタバタは、一部メディアで批判もされましたが、なんと出展料が無料になるという大盤振る舞いにつながりました。
今回、出展者からの評価が高かったのは、「出展料無料」も理由のひとつです。
JMS2024会場は、一般的な展示会と比べて、変わったレイアウトでした。
ひとつは、会場の半分近くをスタートアップ企業エリアが占めていたこと。
もうひとつは、ビジネスマッチング用の商談スペースが大きく確保されていたことです。
スタートアップ企業エリアは、写真のとおり、パネルが数枚しか貼付できないような小さなコマでしたが、それぞれ出展者たちは手応えを感じていたようです。
RaaS(Robotics as a Service、サブスクリプション形式でロボットを提供するサービス)によって、AMRなどの物流ロボットをサービス提供するラピュタロボティクスの万代氏は、JMS2024への出展について、興味深いことをおっしゃっていました。
「弊社は、物流系の展示会に普段出展していますが、JMS2024では、これまでと違ったカテゴリーの来場者に対し、弊社サービスを訴求することができています」(万代氏)
物流系展示会に限ったことではありませんが、特定の産業をテーマとした展示会では、どうしても来場者もカテゴリも限られてしまいます。
ラピュタロボティクスは、ピッキングアシストロボットのパイオニアとして、物流業界では広く名を知られる存在になってきました。でも、同社の「ラピュタPA-AMR」は物流センターや物流施設だけに、活躍の場が限られているソリューションではありません。
実際、同社は、JMS2024初日に、製造業の来場者から、工場内で部品を搬送する用途で同社AMRを利用することができないか、打診されたそうです。
自動車リースの提供を入口に、自動車整備の管理業務を行っているナルネットコミュニケーションズのブースでは、同社の鈴木社長と、貨物軽自動車運送の求貨求車サービス「ピックゴー」を運営しているCBCloudの松本社長のトークショーが、JMS2024最終日に行われました。
両社は、「ピックゴー」を利用する貨物軽自動車運送事業者に対し、ナルネットコミュニケーションズが軽バンに対する整備サービスを提供するという、ビジネス的な共生関係にあります。
こういう、なかなか「目にする」「耳にする」機会が乏しい、異業種同士のビジネスコラボレーションに関する情報が得られるのも、JMS2024ならではでしょう。
ちなみに、ナルネットコミュニケーションズのブースでは、JMS2024初日に、筆者も「トラックメンテナンスに戦略を」というテーマでトークショーを行っています。
他にも…
- 来場者同士のビジネスマッチングシステムによって、有益な出会いが得られた。正直、一般来場者がいなくとも、このビジネスマッチングだけでも良いくらい。
- 普段は接点がないような大企業の来場者が多い。
…、といった声も聞かれました。
日産ブースでは、トヨタ自動車の名札をつけた方が、熱心に展示内容について質問を行っている様子を見かけました。これって、JMS2024が目指した理想形のひとつなのでしょう。
EVや燃料電池、あるいは自動運転技術など、大きな転換期を迎えている自動車産業は、もはや1社の殻に閉じこもっていては、世界の流れに追随することができないでしょう。
JMS2024は自動車産業を活性化する新たな萌芽となる可能性があります。
これも、豊田章男氏の思惑どおり…なんですかね。
とても興味深い展示会でした。
次回開催(2026年ですかね?)に期待しましょう!

トヨタが出展していた、燃料電池(水素燃料)のカートリッジ。燃料電池と言うと、自動車用途しかご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、燃料電池をカートリッジ化することで、より広く、私たちの日常生活で、燃料電池を活用することができるようになります。

筆者が個人的に一番感心したのが、三菱ふそうが出展していた、EVカルガモ無人追尾清掃車(※筆者のネーミングであって、公式な名称ではないです)。
ドライバーを追尾する、無人自動運転機能を備えた清掃車です。
最近では、ゴミ回収は、回収車に乗ったままのドライバーと、ゴミを回収して回収車に乗せる助手2名の計3名体制で運用されるケースが多いのですが、ドライバーがゴミ回収を行う(※運転から解放される)と、2名でひとつの回収チームを組むことができるため、人手削減が実現できます。
ニッチなニーズかもしれませんが、間違いなく人手不足という社会課題に応えることができる技術です。