今年5月、「物資の流通の効率化に関する法律」(物効法)とともに改正が公布された「貨物自動車運送事業法」(貨物事業法)について、2024年11月27日までパブリックコメントが募集されています。
一般的に法律では大枠が規定され、より具体的・詳細な決め事については省令等に委ねます。
逆に言うと、このパブリックコメントを確認すると、政府が推し進める物流革新政策の詳細が見えてきます。
今回は、2024年10月28日よりパブリックコメントの募集が開始された省令案を読み解きましょう。
- 多重下請構造の是正に向けた以下の取り組み
- 運送契約締結時等の書面交付義務
- 下請事業者の健全な事業運営の確保に資する取り組みを行う努力義務
- 運送利用管理規程の作成
- 運送利用管理者の選任義務(※特定事業者に限定)
- 実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成・保存義務等
なお、改正貨物事業法の施行は、2025年1月に予定されています。
以下の項目を記載することが省令案では挙げられています。
- 契約当事者の氏名、名称、住所
- 書面交付の年月日
- 有料道路の料金
- 燃料サーチャージ
- その他、付帯作業の料金
- 当該交付義務の例外事由
最後の「当該交付義務の例外事由」は、災害発生時など、あらかじめ取り決めた運送契約で該当しない(該当できない)ケースパターンを、運送契約中に記載しておくことを想定しているようです。
PCを用い、インターネットを介してやり取りする方法のほか、CD、USBメモリなどの記録媒体を使い、書面と、その承諾の意思をやりとりできるとされています。
ただし、本点については、例えば「荷主からメールで届いた運送状に対し、メールで『承知しました』と返事をしたら、承諾の意思を得たことになるのか?」といった細かい点は不明です。
これまでの経緯を考えると、運送事業者側は運送引受書を荷主に提出しないと、承諾の意思を示したことにならないのでしょうか?
ここまで細かい内容は、省令ではなくガイドラインで示されることになるのでしょう。
年間100万トン以上の利用運送による貨物輸送実績がある事業者は、運送利用管理規程の作成と、運送利用管理者の選任が義務化されます。
ちなみに、運送利用管理規程は作成したときだけではなく、変更した際にも届け出なければなりません。。
運送利用管理者は選任したときだけではなく、解任したときにも届け出が必要です。
利用運送を行う場合、実際に運送を行う事業者名と、その仲介を行う事業者名などを記載しなければならない実運用体制管理簿については、1.5トン以上の貨物を対象とし、貨物運送が完了し次第、「遅滞なく行うものとする」とされています。
ただし、荷主と元請事業者、そして実際に運送を行う運送事業者が固定されている場合には、貨物ごとに実運送体制管理簿を作成する必要がないという、除外条件が定められています。
この場合は、利用運送契約の期間をきちんと記す必要があります。
さてどうでしょうか。
筆者は、貨物事業法については想像を超えた省令案はなかったように感じています。
ただし、物効法については、ちょっと問題が生じそうな省令案もあります。(物効法のパブリックコメントについては、先週末まで募集していたのですが)
こちらについては、次回以降の秋元通信でお届けしましょう。