政府が推し進める「物流革新」政策ですが、2024年7月25日に第5回「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」(※以下、本会議とします)を開催、岸田総理をはじめ、関係閣僚が出席する中、その進捗を報告しています。
「秋元通信」ではその様子を、前後編に分けてレポートしましょう。
「物流革新」政策の全容は、2023年6月2日に発表された「物流革新に向けた政策パッケージ」、2023年10月6日に発表された「物流革新緊急パッケージ」にまとめられています。
このふたつ、若干内容が異なるのですが、本稿では後から発表された「物流革新緊急パッケージ」の内容に沿って解説します。
「物流革新」政策には、3つの柱があります。
- 物流の効率化
- 荷主・消費者の行動変容
- 商慣行の見直し
それぞれについてレポートしていきます。
本会議では、以下の4つを報告しています。
- 即効性のある設備投資や物流DX・GX、物流標準化やデータ連携の推進
- 自動運転やドローン物流等のデジタル技術を活用した実装加速
- 多様な輸送モードの活用推進
- 高速道路の利便性向上
それぞれについて、さらに深堀りしましょう。
- 即効性のある設備投資や物流DX・GXの推進
自動フォークリフトや自動倉庫などの自動化マテハン、バース予約システムや、開運DX実現のための技術開発。
そして、物流の脱炭素化(GX)に向け、EVトラックの導入支援や、再生可能エネルギーの物流施設導入などに対し、支援を行っているそうです。
- 物流標準化やデータ連携の促進等を通じた共同輸配送や帰り荷確保の推進
秋元通信でも取り上げた、「官民物流標準化懇談会 パレット標準化推進分科会 」の最終とりまとめや、物流情報標準ガイドラインの整備などを挙げています。
2024年6月に策定した「デジタルライフライン全国総合整備計画」を挙げ、その具体的な取り組みの例として、以下ふたつの取り組みを挙げています。
- 自動運転サービス支援道(新東名高速 駿河湾沼津SA~浜松SA)
- 埼玉県秩父地域、静岡県浜松市天竜川水系におけるドローン航路整備
鉄道、内航海運の輸送量を今後10年程度で倍増し、モーダルシフトを推進するとしています。
その具体例として、以下を挙げています。
- 鉄道貨物用の31フィートコンテナ、内航海運用の大型コンテナ・シャーシ等の導入支援
- 貨物駅における災害対応能力強化
- 内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化
- 成田空港の機能強化
ただし、本項については、実績報告ではなく、今後の対応強化ポイントを挙げているだけ、という感が強いです。
さらに、今後の先進的な取り組み目標として、自動物流道路と自動運航船を挙げています。
ダブル連結トラックの通行可能区間の拡充を挙げています。
拡充前の約5,140kmから、拡充後は約6,330kmへと増やしたそうです。
ここまでのレポートを診ると、どれも部分最適化の取り組みであって、大手だけでなく中小の物流事業者・荷主まで行き届くような全体最適化への取り組みが圧倒的に足りていないという印象を受けます。
次号では、「荷主・消費者の行動変容」と「商慣行の見直し」について、ご紹介しましょう。
お楽しみに!