政府が推し進める「物流革新」政策ですが、2024年7月25日に第5回「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」(※以下、本会議とします)を開催、岸田総理をはじめ、関係閣僚が出席する中、その進捗を報告しています。
「秋元通信」ではその様子を、前号に引き続き、レポートしましょう。
挙げているのは、以下のふたつです。
- ポイント還元実証事業等を通じた再配達削減の仕組みの社会実装
- 「送料無料」表示の見直し
1.については、宅配における再配達率を、現状の12%から6%まで半減させるべく、2024年10月からポイント還元実証事業を実施、国から1配送あたり最大5円の支援を行うとしています。
この実証に協力する事業者としては、Amazon、楽天、LINEヤフー、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便が挙がっています。
2.については…、「えっ、まだ諦めてないの?」というのが筆者の率直な感想です。
送料無料表示については、昨年、EC事業者、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便らが参加して議論した「『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」において、ほぼ全否定されたものと考えていたからです。
参考
資料には、「改正物流効率化法に基づく基本方針においても、『送料無料』表示の見直し等を定める方向で議論中」とありますから、まだ議論は進めるのでしょう。
挙げているのは、以下のふたつです。
- 適正運賃収受や物流生産性向上のための法改正等
- トラックGメンの機能強化
1.については、今年5月に公布された物流効率化法(物効法)について、国土交通省、経済産業省、農林水産省合同で、より具体的かつ詳細なポイントを詰めていくとしています。
例えば、「荷待ち・荷役の2時間以内ルール」については、既に「どうやって・どこから荷待ち・荷役の時間とカウントするのか」という議論が始まっています。
この議論で決まったKPIや取り組みの具体例などが、省令やガイドラインという形で発表されていくのでしょう。
2.のトラックGメンについては、秋元通信でも以下記事で紹介しています。
人員の増加、荷主情報のデータベース化、集中監視月間(2024年11月~12月)が挙げられています。
参考
本会議において、岸田総理大臣(※当時)は、以下のように発言し、本会議を締めています。
「物流は、国民生活や経済を支える重要な社会インフラです。今後の人口減少社会を見据えると、物流機能維持には、既存の物流インフラを活用しつつ、物流の常識を根本から革新していく取組が不可欠です。国土交通大臣を中心に政府一丸となって対処し、来年度予算及び秋に予定する経済対策を含め、長期ビジョンに立った対策を迅速に講じてください」
岸田総理の発言(特に前半部分)には、日本社会が物流革新に取り組まなければならない根本的な理由が説明されています。
しかし、この大切なはずの説明がいまいち国民に伝わっていないのが、「物流革新」政策における最大の課題ではないでしょうか。
総理大臣が代わりましたが、「物流革新」政策は推し進めなければならない、重要な政策のひとつのはずです。
今後も秋元通信では、政府の動き・進捗をチェックしていきましょう。