秋元通信

「信号機のない横断歩道で一時停止しない」、不名誉なワーストTOPは、どこの県?

  • 2024.12.17

 JAFでは毎年、信号機のない横断歩道における、クルマの一時停止状況を全国調査した結果を公表しています。
 

 
 本調査では、JAFが各都道府県ごとに2か所、信号機が設置されていない横断歩道を選び(※選定された場所は非公表)、クルマが一時停止する割合をレポートしています。ちなみに対象は白ナンバーのクルマだけです。
 
 最新となる2024年調査のサマリーをご紹介しましょう。
 

  • 全国平均の一時停止率は、53.0%。
    初回調査の2016年が7.6%、前年2023年が45.1%であったことから、「信号機が設置されていない横断歩道では、歩行者が優先」という意識は高まっているものの、依然として2台に1台のクルマが、一時停止しないという状況にある。
  •  

  • 都道府県別のランキング
    • 「一時停止率が低い」ランキング
      1. 富山県:31.6%
      2. 北海道:34.1%
      3. 福井県:34.7%
      4. 茨城県:35.2%
      5. 和歌山県:36.2%

     

    • 「一時停止率が高い」ランキング
      1. 長野:87.00%
      2. 石川:80.90%
      3. 岐阜:75.20%
      4. 熊本:74.80%
      5. 福岡:74.30%

 
 長野県と富山県では、一時停止するクルマの割合が倍以上違うということです。地理的には隣接しますが、こんなに県民性が異なるというのは、ちょっと興味深いです。
 
 本記事の最後に、47都道府県すべての一時停止率ランキング表を掲載しておきます。
 
 地域的な特性が見当たらない(例えば、「暖かい地域では一時停止率が高いなど」)ので、住んでいる人の性格や文化性、法令遵守意識などは、都道府県別に細かく異なっているということなのでしょうか…?
 
 
 

一時停止率を高めるために必要なこと

 
 警察庁による交通事故統計によると、2023年における死亡事故・重症事故が発生したシチュエーションで、もっとも多いのが、「信号がない交差点における事故」(24.8%)でした。ちなみに次に多いのは、「信号がある交差点内における事故」(22.3%)です。
 
 この詳細は、以下のようになっています。
 

  • 【人対車両】信号機あり横断歩道での事故発生割合:6.7%
  • 【人対車両】信号機なし横断歩道での事故発生割合:2.6%
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  • 【車両相互】信号機あり交差点内での「出会い頭」事故発生割合:5.8%
  • 【車両相互】信号機なし交差点内での「出会い頭」事故発生割合:18.8%

 
 言うまでもないことですが、信号がない交差点での事故では、「一時停止をきちんと行うこと」「交差点進入前・進入途中に、他車両や人がいないかどうか、きちんと安全確認を行うこと」で防ぐことができます(もちろん、もらい事故もありますが)。
 
 
 ただし、交差点の中には、「事故が起きやすい交差点」があることも事実です。
 
 ある調査研究では、「一時停止率が高まる」横断歩道の道路シチュエーションとして、以下を挙げています。
 

  • 横断歩道表示が鮮明であること。
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  • ダイヤマークや横断歩道標識など、従来から広く使われているデザインが一時停止率を高めること。
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  • 片側2車線以上の道路よりも、片側1車線の道路のほうが、一時停止率が高まること。

 
 また、交通事故では、被害者、第一当事者(交通事故の当事者のうち、過失割合が多い人)ともに、高齢者が多いことが知られています。
 では、なぜ高齢者は交通事故を引き起こしがちなのでしょうか?
 
 別の調査研究結果から、ご紹介します。
 

  • 高齢ドライバーは、横断歩道を認知しても、減速のタイミングが遅く、停止線よりもより先(交差点内・横断歩道内)まで進行してしまう傾向が高い。
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  • 前項の結果に反して、高齢ドライバー自身は、「停止線で停止するつもりだった」と回答するケースが多い。つまり、自分自身の運転コントロール能力を誤認している可能性が高い。
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  • 高齢ドライバーは、横断歩道前で停止し、あるいは横断歩道に進入する際に、左右の確認回数が、比較対象とした高スキルドライバーに比べ、とても少ない。
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  • 高齢ドライバーは、停止線を超え、十分な見通しが取れる位置に達する前に、加速を実施しており、低速度で安全を確認しながら進行する時間が短い。

 
 どう思いますか?
 ご自身の年齢は別としても、「あれ、これは私の運転にも当てはまるかも…」と思った方は要注意です。
 
 特に物流に関わる皆さんにとって、安全は絶対正義です。
 また「信号のない横断歩道で、歩行者を優先し、一時停止をきちんとできているかどうか?」というのは、ドライバーの安全行動を測るための指標にもなり得ます。
 
 本稿が、一時停止の大切さを再認識するきっかけになれば幸いです。
 
 
 

都道府県別ランキング「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査2024年」

 
都道府県別ランキング「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査2024」
 
 
 


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