こんにちは。
秋元運輸倉庫 常務取締役、そしてイーカーゴ代表取締役の鈴木清です。
2024年、物流業界は「物流の2024年問題」と呼ばれる構造的な課題に直面しました。
物流業界が抱えている、構造的な課題の影響は年々深刻になっています。
ドライバー不足、労働時間規制の厳格化、燃料高騰、車両価格の上昇など、多岐にわたる要因が複雑に絡み合い、企業全体を揺るがしています。
私も驚いたのですが、車両価格の上昇は想像を超えています。30年前であれば、「2t車200万円」と記憶していますが、今は3倍になっています。また、修繕費は2倍になり、部品交換となれば、期間が1か月などという、整備に伴うダウンタイムも発生しています。
これだけ、車両を長期間休車せざるを得ないとなると、体力がない企業などは、限界を超えてしまうこともあるでしょう。
問題は、他にもたくさんあります。
- 労働時間規制の強化や働き方改革により、人手不足が深刻化し、運送能力が低下している。
- ドライバー不足や燃料高騰を理由に、中小運送事業者の経営を圧迫している。
- 上記の要因が複合的に作用し、中小の運送事業者は経営の危機に瀕しており、倒産件数が増加している。
- 運賃の低迷とコストの上昇により、資金繰りが悪化し、事業継続が困難になるケースも増えている。
- 中小の運送事業者は、協力会社との連携を密に行うことで業務を遂行してきたが、協力会社のドライバー不足や車両不足により、配送計画の遅延や運送量の減少といった問題が発生している。
また、運送業界は倒産件数も増える一方で、M&Aも進んでいます。
ヤマト運輸がナカノ商会を買収、子会社化したことは、物流業界に大きなインパクトを与えました。このM&Aは、物流業界の再編が加速していることを示唆しています。
大手企業による中小企業の買収は、今後も活発化する可能性があるでしょう。 大手企業による寡占化が進めば、競争環境が変化し、中小企業にとっては厳しい状況となる可能性も考えられます。
実際に運送の融通を利かしてきたのは中小の運送事業者ですよ。
労働時間規制を守ろうとすれば、労働時間の上限に達してしまうドライバーを会社の費用で休ませなくてはなりません。
知り合いの運送会社でも、長距離運送から撤退している会社も多くいる一方、長距離運送を再開した会社もいます。「地場運送の仕事が少なく、運賃も安いので…。結果は同じですよ」と言って、戻らざるを得なくなってしまったわけです。
「物流の2024年問題」の影響は、2025年以降、長期化すると予想します。特に、年末年始やゴールデンウィーク、年度末などの繁忙期には、物流の混乱がより深刻になる可能性があります。
こういった状況によって、さらに中小企業の経営環境が悪化し、中小の運送事業者の淘汰が進むことが懸念されます。また、 ドライバー不足や運賃の高騰により、配送サービスの品質が低下することも危惧されています。
このような状況を理解している人もいますが、「『物流の2024年問題』と言ってもさほど大きな問題になっていない」と言う人もいます。
繰り返しますが、底辺で支えていたのは中小の運送事業者で、ここが崩れ始めているのです。
バランスが崩れるのは時間の問題であると、私は考えています。