2025年6月24日、公正取引委員会は「令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について」を発表しました。
この調査では、荷主100社に対して立ち入り調査を行い、荷主646名に対して、注意喚起文書を送付したとあります。
調査対象および回答数は以下のとおりです。
- 荷主3万名に対し、回収数は15,159名、回収率は50.5%
- 物流事業者4万名に対し、回収数は12,592名、回収率は31.5%
物流事業者にメリットのある調査のはずなのですが、回収率が低いのはとても残念です。
一方、この結果は物流事業者と荷主のパワーバランスを示すもの(※荷主からの報復を恐れる物流事業者が多いという結果)とも考えられます
大きな産業分類だと、製造業がもっとも多く46.9%、ついで卸売業・小売業が33.4%、その他が19.7%と続きます。
ただし、もっと細かい産業分類だと、先の「その他」に含まれる、主に農産物・林産物・水産物の販売事業等を営む協同組合協同組合がもっとも割合が高く10.8%となっています。
これは、個人事業主を含む中小零細事業者が多い一次産業事業者ゆえに、物流クライシスに対する基本的な理解や、コンプライアンス遵守意識が低い人(事業者)が多いため、このような結果になったのではないでしょうか。
なお、以降は次のようになっています。
- 飲食料品卸売業 10.2%
- 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 8.2%
- 食品製造業 7.6%
もっとも多いのは荷待ちに関するもので、49.8%。
次いで、代金の支払い遅延(15.8%)、買い叩き(12.9%)となっています。
荷待ちについては、以下のような事例が紹介されています。
荷主Aは、物流事業者に対し、定期便として発注した運送業務を集配送当日にキャンセルしたが、そのような突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した車両の手配に要した費用を支払わなかった。(飲食料品卸売業)
荷主Bは、物流事業者に対し、自組合の選果場から自組合の小売店舗までの農作物の運送を委託しているところ、当該物流事業者との間であらかじめ取り決めていた出発時間について、選果場における突然の設備故障のため一方的に遅らせる変更をしたが、その変更に伴い物流事業者が負担した追加費用(待機中の運転手の人件費等)を支払わなかった。(協同組合)
荷主Cは、物流事業者との間で、積込時間を朝からと取り決めていたにもかかわらず、実際には自社の都合で、到着時間を変更しないまま積込時間を昼からに変更したが、その変更に伴い物流事業者が負担した追加費用(待機中の運転手の人件費、到着時刻に間に合わせるために利用した高速道路通行料等)を支払わなかった。(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)
「荷待ちに関する優越的地位の濫用」について、どのような基準で判定しているのか、その判定基準は、このレポートからは見えてこないのですが。
これらの事例を見る限り、予定されていた積み卸し時間を、荷主側が一方的に変更したケースをNGと判定しているようです。
今回のレポートは、下請法に基づく注意喚起ではなく、独占禁止法に基づくものです。
一方、先の国会において、改正下請法が成立し、2026年1月1日から施行されます。
詳しくは以前お届けした以下の記事もご覧ください。
今までは、荷主と物流事業者間の「優越的地位の濫用」を摘発するためには、独占禁止法に頼るしかありませんでした。下請法では対象外であり、しかし独占禁止法での摘発は時間がかかるという課題を抱えていました。
しかし改正下請法では、荷主と物流事業者間の「優越的地位の濫用」の速やかな摘発を可能とします。ちなみに今回は注意喚起文章が送付されただけですが、改正下請法では勧告・公表といった行政処分、罰金などのより直接的で効果が期待される措置が実施可能となります。
本レポートはこれまでも継続的に報告されてきました。
来年以降、このレポートにも大きな変化が起きることを期待しましょう。






