当社 秋元運輸倉庫では、2015年から主に高校生を対象にインターンシップを続けてきました。のべ参加人数は100名近くになります。
そのご褒美…というわけではないでしょうが、過日お伝えしたとおり当社常務 鈴木と筆者は、「ALFALINK presents RADIO LINK」(FMヨコハマ)に出演しました。番組がネット公開されていますので、本稿とともにご確認いただければ幸いです。
https://www.fmyokohama.jp/link/2025/10/928youtube.html
今回は、10年間続けたインターンシップを振り返りましょう。
「そろそろ高校生採用を再開したい」──かつて当社では高卒者の採用を行っていましたが、しばらく途絶えていました。そこで高卒者の採用を行うべく、鈴木と筆者は、ある工業高校の進路指導室を訪ねたのですが…
「秋元運輸倉庫…、トラックドライバーの採用ですね」
私たちの名刺を見た進路指導担当の先生は、このように言ったのです。
「いえ、ドライバーも欲しいですが。事務員や倉庫作業員という仕事もあるんですよ」
「あっ、そうなんですね!?」
高校の先生は、基本的には知的水準の高い人たちです。
しかしそういう人であっても、「物流の仕事=トラックドライバー」と認識していることに、私たちは大きなショックを受けました。
高卒者の採用とは別に、物流を世の中に知らしめる活動を行わなければならない。
これが、当社がインターンシップを始めたきっかけであり、モチベーションでした。
「物流業界のエバンジェリスト(伝道者)」、これが当社が掲げたインターンシップのコンセプトでした。
採用活動を主たる目的に据えるのではなく、物流を知ってもらうことをメインの目的に据えたのです。詳しくは後述しますが、高校生を相手に採用を目的とするのであれば、インターンシップで一生懸命に自社のアピールをすることが必須ではないことも、後々ではありますが分かってきました。
そのため、当社のインターンシップでは総体的に物流を学ぶことを目的としたカリキュラムを考えました。
例えば、2018年に実施したインターンシップの様子はこんな感じでした。
- 物流シミュレーションゲーム
参加生徒自身に挙げてもらった製品をもとに、その調達~製造~販売~廃棄(リサイクル)のプロセスを樹形図状に模造紙に書き出してもらう。
書き出したプロセスのどこに輸送と倉庫の業務が発生するのかを考えてもらうことで、物流に対する気づきを得てもらうカリキュラム。 - 物流とは
物流に関して広く説明する座学。
物流と流通の違いや、輸送、倉庫に関する解説。
最近では、物流ロボットについても解説している。 - 配車ゲーム
配車計画立案をゲーム形式で疑似体験してもらうカリキュラム。
貨物に見立てた積み木と、トラックに見立てた段ボール箱を使い、サイコロを振って決定された貨物の量と種類、配送先をもとに配車を行ってもらう。
カリキュラムでは、「積み合わせから配車を立案するケース」と「ルートから配車を立案するケース」を経験してもらい、どちらが適切なのかを生徒たちにディスカッションしてもらう。 - 当社若手社員による就職活動体験記
物流とは関係のないカリキュラム。
インターンシップを実施した、その年の春に入社した当社社員から就職活動の様子と、仕事内容を説明させる。
生徒からすると、リアルな就職活動体験を聞けること。
当社からすると、若手社員にプレゼンテーション経験をさせられるというメリットがある。 - 社会人体験すごろく
これまた物流とは直接関係のないカリキュラム。
モデルは物流会社の新入社員ですが、転職、借金、社内の人間関係など、社会人がぶつかるさまざまな課題を、人生ゲームのようなすごろく形式で疑似体験します。
課題については3択式の設問になっており、ゲーム終了後、それぞれ自分がどの選択肢を選んだのか、またその理由について生徒同士でディスカッションを行ってもらいます。
その他にも社会人としてのマナーとルールを学ぶカリキュラムや、事務員体験、倉庫作業員体験などのカリキュラムも用意しています。
インターンシップを実施すれば、自ずと引率、あるいは進路指導担当の先生らとコミュ二ケーションが取れます。
これが、実は高校生採用では効いてくることに、私どもは後から気づき始めました。
インターンシップを開始した2015年頃は、「就職希望の生徒たちの応募先は、学校側でコントロールします」と断言していた高校・先生もいました。
- 人気企業へ複数の生徒が応募し、バッティングすることを避けるため
- 志望企業がなかなか決まらない生徒に対し、先生が積極的に介入することで、就職指導を円滑に行うため
こういった理由を聞かされてはいましたが、今考えると結構、乱暴な方針です。
もちろん、今は筆者の知る限りこういった高校はいません。あくまで生徒の自主性に任せ、学校はサポートに徹するというのが昨今の就職指導でしょう。
ただし、17~18歳の子どもたちですから、当然、進路、あるいは応募企業を決められない生徒もいます。こういうときに、先生ときちんとコミュニケーションを取っていると、「秋元運輸倉庫って良さそうな会社だよ!」と推薦してくれるわけです。
一方で、先生方とのコミュニケーションにストレスを感じたこともありました。
ある高校から、「例年大量に生徒を受け入れているインターンシップ先が、今年はインターンシップを中止することになった。そこで今年は秋元さんに、40名インターンシップを受け入れてもらえないか?」と打診を受けたことがありました。
さすがに40名は無理なので、20名を受け入れられるように準備を進めましたが、実際に来た生徒は8名だったこともありました。
また、これはインターンシップではなく、採用の話ですが。
12月に入ってから、ある高校から「どうしても進路の決まらない生徒がいる。どうにか面接だけでも行ってくれないか?」という打診がありました。実は当社は既に同校の別の生徒に内定を出していたため採用ができず、都内の別の物流企業に打診をしたところ、「面接をしてもいいですよ」と言われ、その旨を高校に知らせました。
ところが、1月に入ってから紹介先企業より、「高校から一向に連絡がない」と連絡が入りました。筆者が高校に確認したところ、「別の企業で内定をもらいまして」とほがらかに先生から言われたこともありました。
残念ながら、先生の一部には世間的な常識が通じず、高校側や生徒側の都合にしか目が向かない方もいます。「しょうがないよな」と割り切ることができる方は良いのですが、割り切れない方にとっては、(インターンシップに限らず)高校とのコミュニケーションが、大きなストレスになることもあるでしょう。
新型コロナウイルスによって、当然ながらそれまでインターンシップを行っていた高校も中止を余儀なくされました。
困ったのは、高校からインターンシップ運営のノウハウとモチベーションが失われてしまったことです。
代わりに始まったのが、ジョブキャンプという制度です。
【参考】都立高校生のための職場体験「ジョブキャンプ2025」
https://jobcamp.metro.tokyo.lg.jp/
ジョブキャンプは東京都教育委員会が実施するインターンシップです。実際の運営は民間企業に委託されています。高校側は、生徒にジョブキャンプを斡旋するだけで丸投げできるため、手間が大幅に省けます。
当社も今年初めてジョブキャンプに参加し、3回(計6日間)実施したのですが、正直に言えば、来年の参加については決めかねています。
企業側におけるジョブキャンプのメリット
- 担当者と一度面談するだけで、後はWebサイトを介して、参加登録、カリキュラム登録、参加希望生徒とのマッチングなどが完了すること
- 各高校と個別に折衝する必要がなく、さまざまな高校の生徒が参加してくれること
企業側におけるジョブキャンプのデメリット
- 高校の先生方とコミュニケーションが取れず、人間関係を構築できないこと
- 総じて参加生徒のやる気が低いこと
推察ですが、参加する生徒も学校側から言われて強制的に参加しているケースがほとんどなのでしょう。生徒に参加を指示する先生方も、自分たちが受入企業と折衝し、自ら額に汗して創り上げたプログラムではないため、どこか他人事なのではないでしょうか。
ジョブキャンプに参加する生徒は、「食べる」「もてなす」「創る」「支える」「楽しむ」「届ける」という6つのテーマに分類された受入企業から、参加先を選びます。
生徒は事前研修を含め3日間拘束され、交通費相当の3000円が支給されます。
ジョブキャンプは夏休み期間に実施されるため、「だったらバイトしたほうがいいよ…」と思っている生徒も少なからずいるでしょうね。
今まで、当社が高校と直接折衝して実施したインターンシップと比べ、ジョブキャンプ参加生徒のやる気は明らかに低かったです。当社への参加生徒は全員が高校1年生だったのですが、その幼さゆえ、社会人や仕事への意識が醸成されておらず、「やる気が低い」と、受け入れる私たちが感じた可能性もあります。
「物流を世の中に知らしめたい」──このように感じ、始めた当社のインターンシップでしたが、10年を経て過渡期に差し掛かっていることを実感しています。
また、一企業ができることの限界も感じています。
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