秋元通信

【かんたん解説】「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言

  • 2025.12.9

2025年11月7日、国土交通省は、議論を重ねてきた「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言をまとめ、発表しました。
 
→ 「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言を取りまとめました(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000952.html
 
この内容をかいつまんでご紹介しましょう。
 
 

【要約】「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言

 
この提言は、「物流の2024年問題」や人口減少による担い手不足に対応し、国民生活に不可欠なラストマイル配送(最終拠点からエンドユーザーへの配送)を持続可能なものにするための施策を取りまとめたものです。
 
冒頭、現在のラストワンマイル物流が抱える課題が挙げられています。

  • 宅配便の再配達率を6%まで下げるという物流革新政策の目標は未達。2025年4月時点の再配達率は9.5%。
  • EC市場の拡大(2015年から2024年で1.9倍)に伴って、宅配便ドライバー1人あたりの月間配達個数は約29%増加。その反面、このドライバーの人数は約7%減少している。

 
こういった課題を踏まえ、提言書は大きく以下の3つの柱で構成されています。
 

  1. 多様な受取方法の更なる普及・浸透や宅配サービスのあり方の変革
    再配達削減と利便性向上のため、対面以外の受取方法を定着させ、利用者にとっても「当たり前のこと」として意識改革することを目指します。

    • 消費者の行動変容・意識改革
      宅配事業者の会員サービス活用による配送指示や、相手のライフスタイルに配慮した配送日時指定など、消費者側の行動変化を促す。また、即日配送以外の選択肢(「急がない配送」など)の拡大も進める。
    •  

    • 受取環境の整備
      • 住宅
        既存マンションや戸建てへの宅配ボックス設置促進、オートロックマンションでの「置き配」対応(セキュリティ確保システムの導入支援など)を進める。
      • 住宅以外
        駅や公共施設など、生活動線上への宅配ロッカー設置を促進する。

       

    • 標準宅配便運送約款の見直し
      従来の「対面受け取り」に加え、宅配ボックスや玄関前などの「指定場所への配達(置き配)」を標準的な受取方法として約款に明確に位置づける検討を進める。
      併せて、トラブル防止や責任分担に関するガイドラインを策定する。
  2.  

  3. 地域の物流サービスの持続可能な提供に向けた環境整備
    地域全体のインフラとして物流を維持するため、事業者間の連携や行政の関与を強化します。

    • 物流効率化の推進
      配送・小売事業者が連携し、共同配送や幹線輸送の集約を進める。
    •  

    • 地方公共団体の関与
      自治体が協議会を通じて地域物流の維持に主体的に関与し、公共施設を集配拠点として活用するなどの取り組みを推進する。
    •  

    • 農山漁村の物流維持
      郵便局や農村型地域運営組織(農村RMO)等が連携し、共同配送や買い物支援を行う。
    •  

    • 行政手続の弾力化(規制緩和)
      • 貨物軽自動車運送事業者が、繁忙期等に冷蔵冷凍車などを共同使用できるようにする。
      • 貨客混載
        過疎地以外での実施要件(荷主代表の合意など)を緩和する。
      • 自家用車活用
        需要の波動に合わせて、時間単位での自家用有償運送の活用などを弾力化する。

       

    • 配送伝票・データの標準化
      事業者ごとに異なる伝票やデータ形式を標準化し、共同配送やデジタル化を容易にする。
    •  

    • 脱炭素化
      バイオディーゼル燃料の活用やEV化、電力の地産地消などを地域連携で進める。
  4.  

  5. 地域の配送等における新たな輸送手段の活用と次世代産業としての展開
    ドローンや自動配送ロボットなどの新技術を社会実装し、効率化と新産業創出を図ります。

    • ドローン配送
      • 「多数機同時運航」の普及やレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)に向けたガイドラインの見直しを進める。
      • トラック輸送を補完する手段としてドローン活用が可能であることを標準運送約款等で明確化する。
      • ドローン航路の事業性確保(データ販売など多目的利用)を支援する。
    • 自動配送ロボット
      より配送能力の高い(中速・中型など)ロボットの実用化に向け、安全性検証やルール整備を行う。

 
 
以下は筆者の私見です。
 
まず、「相変わらず具体性に欠けるなぁ」という印象は拭えません。これは、現時点では提言書なので仕方がない部分もありますが、「誰が行うのか?」という主語が欠けていることが、一番大きな原因だと考えます。
 
また、「人」に対する配慮や尊重が欠けており、血の通っていない印象も拭えません。
例えば、EC・通販事業者や元請事業者からこき使われている軽バン配達員(特にフリーランス)に対する労働環境・ビジネス環境改善の話題は、本提言書では一切触れられていません。
 
また提言書では、実質本文15ページ(※タイトルや参加者などの付帯ページを含めた全ページ数は20ページ)のうち、4ページが過疎地域に関して言及されています。にも関わらず、「過疎地域では新たな試みを行おうにも、その担い手・実行者が見つからない」という課題に触れられていないことも、筆者は強い危惧を感じます。
 
本提言書の内容は、次期「総合物流施策大綱」の検討にも反映されるとのこと。
どのように反映されるのか、注視しましょう。


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