秋元通信

歩荷と大型トラックは、どちらが環境に優しいのか?

  • 2026.3.31


 
 
先日、「人が歩いて輸送することこそが、もっと環境に優しい」という主張に出会いました。
 
直感的に、「本当…?」と感じたのですが、皆さんはどう思いますか?
 
   

10トンの貨物を東京から大阪まで(約500km)運ぶとしたら?

 
この試算では、「排出した」とする二酸化炭素は、輸送機関が直接排出したものだけを対象とします。
例えば、トラックの場合は、オイルの消耗、タイヤの摩耗といったロスが生じますが、こういったロスによって生じる二酸化炭素排出量は算出対象外とします。つまり、ライフサイクルアセスメント(※ある製品やサービスが「始まってから終わるまで」のすべての工程で、どれだけ環境に負荷をかけたかを計算する手法)の考え方は一切取り入れないものとします。
 
 
◯ 人間(歩荷)の場合
最大積載量 約25kgと想定
必要な人数 400人
移動速度 時速4~5km
所要時間 約125時間(不眠不休を想定)
二酸化炭素排出量 約8,800kg
 
 
◯ 大型トラックの場合
最大積載量 10トンと想定
必要な人数 1人
移動速度 時速60~90km
所要時間 約7~8時間
二酸化炭素排出量 約240~375kg
 
 
そりゃそうですよね(笑)
エネルギー効率の観点から言えば、人間による労働はとても効率が悪いです。だからこそ産業革命が発生し、現代社会は機械化によって製造された製品やサービスで溢れているわけです。
 
 
 

では、自転車だったらどうか?

 
◯ 自転車の場合
最大積載量 約50kgと想定
必要な人数 200人
移動速度 時速15km
所要時間 約33時間(不眠不休を想定)
二酸化炭素排出量 約1,176kg
 
 
歩荷よりははるかに自転車のほうが二酸化炭素排出量が少ない(1割強)ですが、それでも大型トラックのほうがさらに少ないです。
 
これは、自転車輸送の場合、200人──つまり200個の心臓が高回転します。その結果、生物として求められる代謝相当分が、トラックの燃費を上回ってしまうからです。
 
 
 

ではでは、貨物輸送を行わず、人が移動するだけだったら?

 
「1人の人間が自分自身(約70kg)を大阪〜東京間(500km)運ぶ(貨物を輸送しない)」という条件で比較してみましょう。
今回、比較対象となるのは、乗用車(ガソリン車)、乗用車(EV車)、船(フェリー)、新幹線、自転車、徒歩です。
 
それぞれの二酸化炭素排出量は以下のとおりです。
 

  • 乗用車(ガソリン車) 約65kg
  • 乗用車(EV) 約30.3kg
  • 船(フェリー) 約66.5kg ※
  • 新幹線 約8.5kg
  • 自転車 約4.9kg
  • 徒歩 約14.7kg

 
※フェリーは、定員600~800人に対し平均利用率30~50%程度を乗じ、200~300人程度の乗客が乗船している前提で算出しています。
 
これでも自転車のアドバンテージは圧倒的ですが、注目すべきは新幹線です。
新幹線は、自転車と比べて倍程度の二酸化炭素排出量しかありません。しかも、移動に要する時間は圧倒的に短いですから。
 
よって、二酸化炭素排出量という観点から見る限り、新幹線は抜群に環境に優しいと言えます。
 
ちなみに、電動アシスト自転車の場合、二酸化炭素排出量は約4.3kgになり、さらに二酸化炭素排出量が減ります。
   
以下、余談です。
本稿の算出は、生成AIであるGeminiに頼っています。
生成AIによる「誤った回答」ハルシネーションのリスクはありますが、本稿で挙げた数値に大きな間違いはないと考えています。
 
※例えば東京~新大阪間と同程度の距離になる東京~盛岡間の二酸化炭素排出量について、JR東日本は10.6kgと算出しています。この差は、ハルシネーションというよりも、東北新幹線と東海道新幹線の乗車率の違いによるものと考えるべきでしょう。
 
以前、秋元通信ではフェルミ推定を解説しました。
 

 
フェルミ推定とは、ある事象について、ざっくりとした計算を行い、そのスケール感を把握するための方法論です。
それでも、先の記事に挙げたような計算を積み上げていくと、それなりに算出には手間がかかります。しかし生成AIを使えば、すぐにフェルミ推定を行うことができます。
 
これはすなわち、生成AIによって判断に要する手間と時間が削減できることを示します。
便利な時代になったものです。
 
 
 

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