秋元通信

「図柄入りナンバープレート等に関する検討会」中間取りまとめを解説

  • 2026.6.24

執筆ネタを探して国土交通省Webサイトを覗いていたら、「図柄入りナンバープレート等に関する検討会」なるものを見つけました。


これがなかなか興味深いです。


今回は、ちょうど1年ほど前に発表された「図柄入りナンバープレート等に関する検討会 中間取りまとめ」をご紹介します。




図柄入りナンバープレートの歩み

かつては白や黄色、緑といったシンプルな色合いだけだったナンバープレートですが、ユーザーの「自分らしさを表現したい」という声や、地域の「地元の魅力をアピールしたい」という願いに応える形で、少しずつ進化を遂げてきました。


ナンバープレートの多角的な活用が本格化したのは、1998年に始まった希望番号制からです。自分の好きな4桁の数字を選べるこの制度は、今でも大人気となっています。


その後、2006年と2014年には、地域振興や観光アピールのために、新しい地域名を記載できるご当地ナンバーが導入され、街中で見かけるナンバーの種類が一気に豊かになりました。


そして2017年、大きな転機が訪れます。日本中が沸いたラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を記念して、大会エンブレムなどをあしらった特別仕様ナンバープレートが登場したのです。


これをきっかけに、全国の各地域でも地元の名産や風景をデザインした地方版(ご当地)図柄入りナンバープレートの交付がスタートしました。さらに、2022年には日本全国47都道府県の県花をモチーフにした全国版(※どの地域でも選ぶことが可能なナンバープレート)も登場し、現在では全国78の地域で個性豊かな地方版ナンバープレートが選べるようになっています。




視認性とデザイン性を両立する、図柄入りナンバープレートのデザイン規定

魅力的な図柄の導入が進む一方で、見た目の美しさと、車の安全運行を支える見やすさ(視認性)の両立をめぐる議論も重ねられてきました。


有事の際にナンバーが一瞬で読み取れないと困るという懸念や、フルカラー版をただ白黒にしただけのモノトーン版は美しくないといった課題に対し、現在は厳格なルールが設けられています。


主な規定として、まず20メートル離れた位置から昼夜の異なる明るさの下でも、はっきりと数字が読み取れることを確かめる実車視認性試験があります。また、表示文字の周辺に暗すぎる色や鮮やかすぎる色を使えないよう、国際的な色彩尺度であるマンセル表色系を用いた細かな数値制限(彩度10以下など)も存在します。さらに、取り付け用のビス穴や封印の位置に重要なデザインが重ならないようにするといった物理的な制限や、文字フォントの変更禁止、他者の著作権への配慮なども厳格に定められています。


美しさと、時速100キロで走る車からでも一瞬で識別できるという過酷な保安要件は、こうした緻密なルールの下で両立されているのです。




「どう変わる?」2027年以降の図柄入りナンバープレート

まず、導入ルールが優しくなり、もっと多くの地域でご当地ナンバーが作れるようになります。これまで10万台以上だった単独市区町村の台数要件を、7万台(軽自動車も含める場合は12万台)程度まで緩和することが提案されています。これにより、新たに40以上の自治体が対象となる見込みです。


近いうちに、あなたの街の魅力がデザインされた新しいナンバープレートがお目見えするかもしれません。また、デザイン決定のプロセスにプロのデザイナーを関わらせることで、より市民に愛される魅力的なデザインを目指します。



次に、デザインにこだわるユーザーのために、寄付金付きモノトーン(全国版)が新設されます。車の色と調和させやすいモノトーンを好む声に応え、新たにモノトーンを基調とした、寄付金付きの全国版ナンバープレートが創設される予定です。デザインは公募され、2028年度中の交付開始を目指して準備が進められます。



また、寄付金の使い道に災害からの復興支援が追加されることも嬉しい変化です。皆様から集まった寄付金は、これまで地域の交通サービスの改善や観光振興、交通事故対策などに使われてきました。これらに加えて、今後は災害復旧や復興支援にも活用できるようになります。熊本や沖縄など、災害や歴史的建造物の復興シンボルとしてナンバープレートが活躍した実績を踏まえた、温かい見直しです。




住んでいない地域のナンバープレートを選択可能に

中間取りまとめでは、さらに一歩踏み込んだ、未来のユニークな検討課題も示されています。


お世話になった地域や大好きな地域をアピールしたいというファンの声に応え、他地域の図柄ナンバーを選んで取得できる、「図柄入りナンバープレート(ふるさと版)」(仮称)の検討です。


現在は、自分の車が登録されている地域のナンバーしか取得できません。しかし、ふるさと納税のように、応援したい他地域の図柄入りナンバープレートを選んで装着できる仕組みの検討が始まっています。実現すれば、東京にいながら北海道や沖縄の美しいデザインのナンバーを付けて走る、といったことも可能になるかもしれません。こちらは2029年度以降の導入を目指し、配送方法や手数料の課題などを整理していく予定です。


例えば、広島ナンバー・福山ナンバーでは、広島カープのマスコットキャラクター「カープ坊や」の図柄入りナンバープレートを選択できます。該当地域に居住していない広島カープファンの中には、「なんとしてもカープ坊やのナンバープレートを愛車に取り付けたい!」と考える人がいることでしょう。


また、アニメ作品の聖地巡礼(※作中に登場する現実の場所をファンたちが訪問すること)が発生している地域では、アニメキャラクターを図柄入りナンバープレートにあしらうことで、アピールできるでしょう。


『ガールズ&パンツァー』(茨城県大洗町)、『ゆるキャン△』(山梨県身延町)、『SLAM DUNK』(神奈川県鎌倉市)など、いくつも候補が考えられます。



たかがナンバープレート、されどナンバープレート…。このようなユニークな取り組みが広がることで、個性をアピールし、あるいは地方を応援する新たな取り組みが広がることは、とても良いことではないでしょうか。


ちなみに筆者は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(埼玉県秩父市)の図柄入りナンバープレートがあったら…、とても惹かれますね(笑)

 

 

 

※参考

「図柄入りナンバープレート等に関する検討会」 中間取りまとめについて(国土交通省)

関連記事

■数値や単位を入力してください。
■変換結果
■数値や単位を入力してください。
■変換結果
  シェア・クロスバナー_300