こんな記事がありました。
川崎市の臨海部である扇島のJFE製鉄所跡地において、日本GLPが総工費3,000億円規模、延床面積 約37万平方メートル(約11万坪)、保管能力55万トンの冷凍冷蔵物流施設「ALFALINK 川崎扇島」を竣工するという報道です。
同施設は、2030年7月以降、順次竣工し、最終的には総数11棟を計画しています。ちなみに、同施設はBTS(Build To Suit、入居予定の企業の要求する仕様に合わせて設計・建設される賃貸型物流施設のこと)を軸とするそうです。
現在、環境規制や老朽化、あるいは需要拡大によって、冷凍冷蔵倉庫の不足が問題視されています。しかし、この物流施設を含む川崎地区における竣工・開発状況を見ると、川崎地区の冷凍冷蔵能力は今後大幅に拡大する見込みです。
※引用した記事のタイトルには、「製鉄所高炉などの跡地」とありますが、実際には高炉の跡地は建設予定エリアに含まれておらず、もともと石炭などの野積倉庫として使われていたエリアが該当します。
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LOGI FLAG TECH 東扇島 I (2026年6月竣工)
保管能力 6,000トン
※最大保管能力1万パレットに、同社サブスク制保管サービスの規定である、「1パレットあたりの最大重量600kg」を乗じて算出
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ダイワコーポレーション 川崎営業所 (2026年7月竣工)
保管能力 2万7,000トン(公称)
※老朽施設建て替えによる竣工
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GLP 川崎 II (2027年8月末竣工予定)
保管能力 約18万6,100トン
※マルチテナント型冷凍冷蔵物流施設としては、国内最大級
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ALFALINK 川崎扇島
保管能力 約55万トン
2023年の資料からの出典にはなりますが、川崎市内における冷凍冷蔵物流施設の総保管能力は、約125万トンとなります。上記の情報を加味すると、2030年以降、川崎市内の冷凍冷蔵能力は約1.6倍、総保管能力200万トンオーバーまで拡大する見込みです。
最たるデメリットは、人手不足(作業員不足)でしょう。
東扇島・扇島地区を含む川崎臨海地区は、現時点でも倉庫作業員不足が深刻化しています。まして、特に冷凍倉庫の作業員となると、人材確保がさらに難しくなることは容易に想像できます。
他にも、朝夕には大渋滞を起こす東扇島・扇島地区への交通アクセスや、トラック輸送リソース不足などもデメリットとして考えられます。(※東扇島・扇島地区は埋立地であり、アプローチできる道路は限られています)
ただし、人手不足に関しては自動化による対策を考えている事業者も多いそうです。実際、LOGI FLAG TECH 東扇島 I は、最新の自動倉庫などのマテハンを備えています。
また、道路渋滞に関しては、一般道としては新たな橋(臨港道路 東扇島水江町線。橋の名称は未定)の開通が、2028年から2031年にかけて予定されています。
さらに、首都高速湾岸線には、既設の東扇島ICに加え、2028年度以降に扇島ICの新設が計画されており、道路渋滞に関しては緩和される見込みがあります。
メリットについては、共同化・協働化が考えられます。
まず冷凍冷蔵物流施設ですが、もともと東扇島地区には、複数の冷凍冷蔵物流施設があります。この立地に冷凍冷蔵物流施設が増えることで、「庫腹が不足した場合には、お互いに空きスペースを融通し合う」共同化・協働化が促進される可能性が高いです。
さらにいえば、そもそもスポット・短期での保管をターゲットにした「LOGI FLAG TECH」(霞ヶ関キャピタル)があることもプラスに作用することでしょう。
もう1つの共同化・協働化については共同配送です。
複数の関係者が、以下のメリットを指摘しています。
- もともと、冷凍冷蔵貨物は荷姿が近しく、共同配送に向いていること
- さらに、他産業に比べても、冷凍冷蔵産業(特に食品輸送)では共配に対する取り組みが進んでいること
結果、川崎臨海地区において、冷凍冷蔵貨物の共同輸送をより推進していこうという意図を持った事業者が増えています。
実は筆者、「LOGI FLAG TECH 東扇島 I」のプレス向け内覧会も、また冒頭に挙げた川崎市・JFE・日本GLPの共同記者会見も取材しました。
そこで感じたのは、関係者の期待と熱意です。
物流不動産ビジネスとしての規模、ユニークさもさることながら、多くの人が川崎臨海地区の冷凍冷蔵物流にかける期待と熱意が、今後、どのように昇華されていくのか、とても興味深いです。
また、今回のように特定の産業貨物があるエリアに一極集中することで物流効率が上がるとなれば、同様の取り組みは各地へと広がっていく可能性もあるでしょう。
この点でも、注目、そして期待したいものです。
参考までに、「LOGI FLAG TECH 東扇島 1」の様子をご紹介しましょう。









