こんな調査レポートがありました。
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「集まる意味を問いなおす:“イベント化”した集まり——飲み会は戻り、雑談は戻らなかった」(2026年08月07日、リクルートワークス研究所)
この調査では、2021年10月──すなわちコロナ禍──に調査に回答してくれた人に対し、5年後の2026年3月に再び調査を行いました。
テーマは、「職場における集まる意味の調査」です。
その結果が、「飲み会は戻り、雑談は戻らなかった」です。
この調査レポート、とても興味深いです。
- 2021年の調査では、「対面でのやり取りが減った」と答えた人は67.1%に上り、「仕事とは関係のない雑談」が減ったと答えた人は45.1%、「会議の前後に発生する会話」が減ったと答えた人も35.2%に達していた。
- 今回(2026年3月)は、コロナ禍の最中と現在を比較し「職場の集まる場はどう変わったか?」について調査している。
「職場のメンバー同士が親睦を深める飲み会やイベント」は、約2.5倍増えている。
また、「研修やイベントなど、職場全体で同じ経験をすることを重視している」「時には、長めの時間をかけて職場の皆でじっくり対話や議論する場を設けている」も、明らかに増えている。
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しかし、以下の項目は変わっていない。
- 「日常的に雑談できる職場風土をつくろうとする」
- 「会議で発言を促し、意見を尊重する」
- 「オンライン上に雑談・情報交換の場を意図的に設ける」
この状況を分析し、同レポートでは、以下のように考察しています。
つまり、戻ってきたのは飲み会・研修・じっくりした対話といった、日時を決めて意図的に開く「行事としての集まり」である。一方で、日常のなかで偶発的に生まれるコミュニケーション──雑談や、気軽な発言のしやすさ──は、5年経っても戻っていない。
同レポートでは、さらに「雑談が戻った職場と戻らなかった職場の違い」について深掘りをしています。
同レポートによれば、出社頻度や、部署のサイロ化(※部署をまたぐコミュニケーションがない状態)は、この違いの原因になっていないとのこと。
では何が違いを生んでいるかと言うと、先に挙げた以下の取り組みを、意図的に行っているかどうかだそうです。
- 「日常的に雑談できる職場風土をつくろうとする」
- 「会議で発言を促し、意見を尊重する」
- 「オンライン上に雑談・情報交換の場を意図的に設ける」
さらに、同レポートでは、雑談風土が戻った職場ほど、「一体感も業績も高い」と結論しています。
ここからは、同レポートの解説から離れ、筆者の考察となります。
最初に1つ申し上げておきたいのは、同レポートは分析を行う上では絶対に行ってはいけない、「因果のループ」や「原因と結果の混同」を行っている可能性が極めて高いです。
「雑談が減った」とする根拠の材料となる調査結果を、「雑談を増やすための方法」として考察している点がよろしくないです。
ただ、「飲み会は戻り、雑談は戻らなかった」という問題提起については、とても興味深いと言えるでしょう。
たとえば、以下のような記事がありました。
- スマホ片手に「ひとり飯」 デジタル時代が生んだ新たな食の作法(日経新聞、2026年9月20日 )
「10年ほど前までは若者の間では『ぼっち飯』と揶揄(やゆ)されることも多かった。そんなひとり飯がなぜ市民権を得たのか」
『孤独のグルメ』『晩酌の流儀』『ワカコ酒』など、ぼっち飯を好意的かつ「豊かな時間の過ごし方」として描くドラマが増えたことも背景にあるでしょう(関係ないですが、全部テレビ東京の作品ですね)。
ただ本来、コミュニケーションを行う時間がスマホに奪われているという側面もあるのではないでしょうか。
ランチ時の飲食店でも、複数人で連れ立って来店しているのに、皆がスマホを見ていて会話がない様子を目にすることがあります。
またもしかすると、テレワークなどで黙々と仕事をする習慣が身についた結果、「雑談をしたい」と思う感覚そのものが失われた可能性もあります。
さらに言えば、コロナ禍で雑談をする機会が減った結果、雑談をする筋肉も減ってしまった可能性もあります。「えっ、何を話せばいいのか分からないし。だったら無理して雑談をするよりも仕事をしていたほうが気が楽だし…」という心理状態です。
コロナ禍においては、急に「テレワークをしなさい!」とされ、戸惑った企業や人々が発生しました。そんなとき、Googleが開催した、Google流のテレワーク術に関するウェビナーに参加したことがあります。
- 「オンライン会議の最初の10分間は、仕事の話をしてはならない」
- 「カメラ画像は大原則としてONにしておく。また背景は、部屋内のそのままの光景を映すこと(背景の変更はNG)」
- 「子どもやペットのオンライン会議乱入は、雑談を生み出すきっかけとなる、むしろ嬉しいアクシデント」
Googleでは、職場での雑談(偶発的コミュニケーションやインフォーマル・コミュニケーション)を無駄なものとは考えず、むしろアイデアの源泉として歓迎しているそうです。
先に挙げた3つのGoogle流ルールは、コロナ禍において失われそうになっている雑談を促進する要素として大切なものと捉えているのです。
率直なところ、雑談力の低下が本当の意味で職場に、そして企業にとって悪影響を与えるのかどうかは、意見が分かれるところではあります。
しかし、もしコロナ禍の前後で、あなたの職場における雑談の量が減っているのであれば、近い将来、職場の雰囲気、社内文化、あるいは生産性などにも影響を与える可能性は、否定できませんね。






