秋元通信

子供に読書感想文を書かせる方法 / 親が行うことができるサポートを考える

  • 2020.8.19


 
 
夏休み宿題の定番といえば、読書感想文です。
読書感想文というのは、お子さんの心の声を、紙に書き出す作業です。算数や自由研究のように、手を動かせばどうにかなるというものでもないため、親の立場としても、上手くアドバイスができず、もやもやしたこともあるのではないでしょうか。
 
小学校低学年くらいの、まだ幼いお子さんを対象に、読書感想文が書けるようにするために、親が行うことができるサポート方法を考えましょう。
 
 
 

「感想を聞く」ことを習慣づける

 
ある意味、これがいちばん大切かも。
 
読書感想文とは、心の声を文章にする作業です。読書感想文をうまく書けないのは、心の声が小さい、もしくは心の声をうまく言語化できないことが、主な原因です。
 
これって、一朝一夕にできるようになるのは難しいですよ。
 
そのため、普段からお子さんから感想を引き出す習慣をつけましょう。
本じゃなくとも、アニメでも、映画でもいいです。難しくて高尚なものである必要はなく、仮面ライダーでも、アンパンマンでも良いです。もっと言えば、どこかに遊びに行ったときの、体験を対象にしてもよいのではないでしょうか。
 
「楽しかった?」
「おもしろかった?」
 
一言、お子さんに尋ねる習慣をつければ、自ずとお子さんの心の声は育ちますし、言語化する訓練にもなります。
 
 
「そうは言っても、夏休みの宿題に間に合わせなきゃいけないから…。今さら、そんなことを言われても遅いよ!」
 
はい、そうですよね(笑
その場合には、感想文を書かせる前に、予行演習を行いましょう。ジブリのアニメ作品でも、なんでも良いです。適当な作品を、しかも、お子さんが好きそうな作品を一緒に観てから、予行演習しましょう。
 
言わば、お子さんと、親であるあなた自身が、「感想を言えた」(感想を引き出せた)という予行演習であり、成功体験を経験しておけば、いざ読書感想文を書かせる際の準備になります。
 
 
 

子供の「心の声」を引き出す方法

 
やってしまいがちなのは、「どういうふうにおもしろかったの?」「おはなしの、どの部分に感動して、どうしてそう思ったの?」などと、質問攻めにしてしまうことです。
 
心の声が、まだ小さいわけですから、複雑なアウトプットを求める、What?の質問は厳禁!
まずは、Yes / No で答えられる質問をしましょう。
 
 
分かりやすく、『となりのトトロ』を例にします。
 
例えば、「トトロに会いたい?」と質問してみます。
もし、お子さんが「会いたい」と答えたら、次は、「トトロに会えたら、ネコバスに乗せてもらいたいかな?」と聞いてみましょう。
お子さんが、自発的に、何か自分の気持ちを言葉にするまで、Yes / No の質問を繰り返します。そこで例えば、「ネコバスもいいけど、コマに乗って一緒に空を飛びたい」などと言ったら、「コマの方が楽しそう?」と聞きます。
 
ここまで心の声を引き出せたら、「どうしてコマの方が楽しそうなの?」とWhat?の質問を盛り込み、さらにお子さんの心の声を引き出します。
 
 
お子さんの感想を引き出すのは、What? の質問だけではありません。
自分に置き換えて、自分だったらどう思うのかを引き出すのもひとつの手です。
 
「もし、サツキちゃんみたいに妹(メイ)が迷子になったら、悲しい? びっくりする?」などと、やはりYes / Noの形で心の声を引き出す方法もあります。
 
「サツキちゃんとメイちゃんのお母さんは、トトロと会えるかな?」と、物語のその後まで想像できるようになれば、読書感想文のネタとしては、撮れ高十分でしょう。
 
 
お子さんと一緒に本を読み、お子さんの反応を観察しておくと、お子さんがおはなしのどの部分に、大きな反応を示したのかが分かります。そのエピソードを質問の対象にすれば、お子さんの心の声も引き出しやすくなります。
 
 
 

プロットを作る手伝いをしてあげる。

 
お子さんの心の声を引き出したら、次は、その心の声を、付箋紙に書き出しましょう。そして、その付箋紙を少し大きめの紙(A3サイズ以上)の紙に貼り出します。
 
心の声、すなわちお子さんの感想には、それぞれ因果関係があるはずです。もしくは、因果関係を埋める、心の声を、新たに引き出してあげましょう。
 

  • ネコバスに乗ってみたい。
  • 妹(メイ)が迷子になったら、すごく嫌だ。

 
『となりのトトロ』では、メイが迷子になったので、サツキはトトロにメイを探す手伝いを頼み、結果、トトロはネコバスを呼び出します。
でも、この因果関係が、お子さんの中にも成立しているとは限りません。
 
なので、お子さんの中の因果関係を作ってあげましょう。
 
「ネコバスをいつでも好きなときに呼び出せたら、次に妹が迷子になっても安心だね?」
「次にネコバスに乗る時は、迷子探しじゃなくて、遠足のときにしたい?」
「ネコバスに、お母さんも乗せてくれる?」
 
因果関係と、少々大仰な表現をしましたが。
要は、読書感想文として、ふわっとしたものでも良いので、プロットが成り立てばOKです。
 
付箋紙を足しながら。もしくは、付箋紙を貼り付けた紙に矢印などを書き込みながら、プロットを作り上げましょう。
 
付箋紙および紙に書き出した内容をたどっていけば、読書感想文はできあがります。
 
 
なお、読書感想文の書き方等をネット検索すると、「あらすじを書いて・・・」のような構成例がいくつも出てきます。
小学生でも高学年になれば、文章としての完成度を求めるのも大切だと思いますが。
 
本記事では、小学生低学年のお子さんを対象に読書感想文の書かせ方を考えていますので、そこまでは踏み込まないでおきます。
 
私見ではありますが、読書感想文って、お子さんの感受性を育てるのが第一義であって、特にまだ幼いお子さんに、テクニックの部分である文章の完成度を求めるのは、「教育の順番としては、正しいの?、それ…」と思います。
 
 
 

ビジネスレポートの指導も、基本は同じ

 
さて、ここまでは、親がお子さんに対して、読書感想文を書かせるサポートの方法を考えてきました。
ここまでお読みいただき、気がついた方もいることでしょう。
 
 
例えば、新人に対してビジネスレポートを書かせる場合にも、今回ご紹介した方法は、応用できる部分がかなりあります。
 
営業議事録、会議議事録、稟議書、もしくは最近では、新入社員に対し、会社のブログを書かせる企業もあるでしょう。
 
ブログは例外ですが、議事録系や稟議書の場合、構成や書くべきことは、決まっています。しかし、新人の場合、書くべきことは決まっていても、それに何を書けばよいのかを迷ったり、もしくは的外れのことを書いたりします。
 
例えば、お客様との面談議事録の場合、書くべきことは以下でしょう。

  • 今回面談の目的。
  • 打ち合わせの経緯。お互いの要望や、それに対する相手方のご意見など。
  • 同意内容。
  • 次回に持ち越した協議事項。

 
新人の場合、議事録等のビジネスレポートが稚拙な理由は、大きくふたつ考えられます。
 
ひとつは、文章の構成力や文字・言葉遣いなどのテクニックが劣っていること。
もうひとつは、同じ場にいて、同じ話を聞いているはずなのに、的外れというか、ポイントのずれた内容をレポートにしてくるケースです。
 
前者はテクニックなので、きちんと教育すれば、育成できます。参考書籍や、ネット上の情報も豊富にありますし。
 
後者は難しいですね。人の話をきちんと聞き、そして理解する能力が欠けているわけですから。
 
心の声ならぬ、ビジネス感受性とも言うべきものを、どうやって育てればよいのか。
時間はかかるかもしれませんが、子供に対して接するように、ビジネス感受性を育てるレッスンを、繰り返し行えば、いずれ結果はついてくるはずです。
 
 
もしかすると、まだお子さんの宿題が終わっていないとお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事、ちょっとは参考になりましたかね?
 
今年はイレギュラーに短い夏休みでしょうが、ぜひ残こされた夏休み、充実した時をお過ごしください。
 
 
 


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