秋元通信

テレワークと出社を組み合わせた、ハイブリッドワークが注目されている

  • 2024.6.26

新型コロナウイルスによるパンデミックとともに、急速に広まったテレワーク(在宅勤務)ですが、コロナが終息した今、揺り戻しが来ているようです。
イーロン・マスク氏が、2022年11月、買収したTwitter(現 X)の従業員に対し、リモートワークの禁止を伝えるメールを送ったというニュースは、大きな話題を集めました。
 

 
マスク氏の言動は極端にしても、感染対策という火急の必要性がなくなった今、テレワークのあり方を再考する企業が増えているのは事実のようです。
 
 
 

テレワークの実施率は減少したものの、コロナ以前よりは高い水準に

 
国土交通省が発表した2023年度におけるテレワーク実施率は、24.8%です。
2021年度の27.0%、2022年度の26.1%からは減少しているものの、コロナ禍以前の2019年度(14.8%)よりは依然として高い水準を保っています。
 
ちなみに、地域別にテレワークの実施率を診ると、興味深いです。
 

  • 首都圏 38.1%
  • 近畿圏 24.3%
  • 中京圏 22.0%
  • 地方都市圏 16.3%

 
※いずれも2023年度の調査結果。全国平均は24.8%。
 
テレワークの実施率には、大きな地域差があることが分かります。
 
 
テレワークの実施頻度からは、さらに興味深い傾向が診えてきます。
 
「週5~7日、テレワークを実施する」、言わばフルタイムテレワーカーが、2022年度:18.7%から2023年度:17.7%に減少している一方で、「週1日以上テレワークをする」という人の割合は、2022年度:72.4%から2023年度:75.5%へと増えているのです。

「週1日以上テレワークをする」人の割合は、2021年度:78.0%でしたから、コロナ禍の水準には達していないまでも、テレワークそのものがコロナ禍とは違う理由で定着しつつあることを示しています。
 
 
 

ハイブリッドワークという新たな潮流

 
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2024年4月に実施した調査結果も紐解きましょう。
 
この調査によると、「週5日以上テレワークをした人の割合」は、18.2%です。
国土交通省の調査数値と完全一致はしないものの(※するわけがないですね)、近しい結果が出ています。
 
日経BPの調査では、「週3日以上テレワークを実施する」とした人の割合は、39.8%となっています。
この調査は2020年4月以降、年2~4回の頻度で行われてきました。興味深いのは、9回目となる今回調査では、コロナ禍以降、「週3日以上テレワークを実施する」とした人の割合が初めて上昇に転じたことです。
 
前回調査となる2023年10月に比べ、「テレワークの頻度が減った」と答えた人にその理由を尋ねたところ、「勤務先(または派遣・常駐先)から出社を求められる/指示されることが増えたから」と答えた人が、55.6%から減少して51.1%になりました。
 
逆に以下の項目は増えています。
 

  • 同僚(上司や部下を含む)や取引先、顧客と直接対話したいから(18.1%→31.3%)
  • 出社することでON/OFFを区分し、心身を仕事モードに切り替えたいから(16.7%→26.7%)
  • マスク着用ルールが緩和され、外出や出社が当たり前の世の中に戻ったと感じるから(13.9%→20.6%)

 
これらの調査結果からは、テレワークが社会や会社、あるいは仕事から強制されるものではなく、労働者自らが主体的に選択する働き方となりつつある傾向が見えてきます。
 
 
 

どれくらいの頻度でテレワークを行いたいのか?

 
国土交通省の調査に戻ります。
 
現在テレワークを実施していて、かつ今後もテレワークを継続したいという人に、希望するテレワークの実施頻度を聞きました。
回答数が多い順に並べます。
 

  1. 週5日以上 (24.6%)
  2. 週2日 (23.5%)
  3. 週1日 (22.3%)
  4. 週3日 (18.7%)
  5. 週4日 (10.8%)

 
つまり、出社しない完全テレワークを希望する人と、週3日以内のハイブリッドワークを希望する人の二極化が見受けられます。
 
この結果からも、テレワークと出社を組み合わせた働き方──すなわちハイブリッドワークを望む人たちの存在が浮き彫りになっています。
 
 
なぜ、ハイブリッドワークを望む人たちが増えているのでしょうか?
それは、テレワークのメリットとデメリットをきちんと理解したうえで、自身のプライベートと仕事の双方において、よりよい結果を求める人が増えてきたからではないでしょうか?
 
この考察は、次回に引き継ぎましょう。
お楽しみに!
 
 
 

※参考および出典

 

 
 
 


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