秋元通信

物流不動産に取り組む理由

  • 2019.1.21

なぜ、物流屋が不動産ビジネスに取り組むのか?
 
秋元通信読者の皆さまで、物流不動産という言葉を知らない方はいらっしゃらないと思います。実際、物流不動産ビジネスを手がけられている企業もいらっしゃいます。
しかし、中には物流不動産という言葉を聞いたことはあっても、物流不動産ビジネスに取り組む理由についてはいまいちよく分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 
今回は、物流不動産について解説しつつ、その可能性と期待について考えましょう。
 
 
物流不動産とは、倉庫を始めとする物流施設を対象とした、不動産ビジネスを指します。不動産ビジネスですから、「建てる」、「貸す(借りる)」、「売る(買う)」といった不動産ビジネスが、物流不動産においても成立します。
 
例えば、「貸す」ビジネスにおいては、自社の倉庫を貸す場合と、他人から借りた倉庫を転貸(サブリース)する場合があります。
サブリースは、物流不動産における大切なキーワードのひとつです。自前倉庫だけを対象にビジネスを展開していては、手札が足りません。他社の倉庫を手札として物流不動産を行う場合、仲介手数料や紹介料で売上を稼ぐ方法もありますが、これはワンタイムの売上です。サブリースにすることによって、ワンタイムの売上が、継続的なストックビジネスに変わるわけです。
 
もうひとつ、物流不動産における大事なキーワードはリノベーションです。
リノベーションとは、建物を改築・改修することによって、その価値を高める手法を指します。例えば、20年前、30年前に建築されたような古い倉庫は、広さ、機能、もしくは立地といった観点で評価すると、最新の倉庫に比べ、どうしても見劣りしてしまいます。
ただし、倉庫として評価すると…、ですよ。
倉庫を改造し、例えばレストラン、例えばホテル、例えばショッピングモールなどにリノベーションすれば、むしろ倉庫として活用していた頃よりも、価値が高まるケースがあります。
代表的な例が、横浜の赤レンガ倉庫です。今や横浜みなとみらい地区のランドマークである赤レンガ倉庫は、もともとは明治時代に建造された生糸倉庫です。100年以上も前に建築されたものですから、倉庫としての機能は期待できません。しかし、新たな生命を吹き込まれたことで赤レンガ倉庫は、年間600万人を超える観光客を迎える人気スポットとして活躍しているのです。
古い倉庫に新たな価値を付加、新たなビジネスを創生するのが、物流不動産におけるリノベーションです。
 
 
と、ここまでが物流不動産に関する、言わば教科書的な説明です。
物流企業である秋元運輸倉庫が、物流不動産をビジネスとして手がける理由は、この先にあります。
 
一軒家、マンションといった不動産の場合、基本的には「建てる」、「貸す(借りる)」、「売る(買う)」などのフェイズが終了したら、そのビジネスは終了です。一般的な不動産ビジネスにおいては、人が住み始めた後、入居した後で展開可能なビジネスというのは、そう多くはありません。
 
一方、倉庫等の物流施設な場合はどうでしょう?
「倉庫を借りたい」というお客様がいたとします。そのお客様は、なぜ倉庫を借りたいのでしょうか?
例えば、お客様=メーカーの場合、新たに借りる倉庫をデリバリー拠点として新たな輸送網を構築したいのかもしれません。
例えば、お客様=販売店の場合であれば、倉庫で流通加工を行い、商品価値を高めることを目的としているのかもしれません。
 
これらの要望をまるごと請け負うこと。これって、3PL(3rd Party Logistics)ビジネスですよね。デリバリーを請け負うトラックを手配する、もしくは流通加工を行う倉庫作業員を手配するといったことも考えられます。
 
物流不動産におけるビジネスとしての本当の旨味は、不動産ビジネスの先にこそあるのです。
 
大手外資系倉庫会社は、ファンド運用を行っています。
リノベーションを中心に手がけている物流不動産企業は場合は、建築ビジネスに旨味が詰まっています。
当社のような物流屋においては、物流不動産によって得られた関係から、配送や倉庫業務のアウトソーシングといったビジネスに旨味を感じている企業も多いことでしょう。
 
 
物流不動産というビジネスは、入口となる不動産ビジネスに加えて、その先にある自らが本当に手がけたいビジネスを展開することが可能です。
「一粒で二度おいしい」とは、グリコがアーモンドグリコに対して打ち出した名キャッチコピーですが、物流不動産もまさしく「一粒で二度おいしい」ビジネスなのです。そして、その二度目の「おいしい」に自社の強みだったり理想を被せることができるのが、物流不動産における真の魅力なのです。
 
では、当社の場合はプラスアルファであり、二度目とは何か?
私どもは、「人」だと考えています。
 
物流不動産によって構築された、人と人とのつながり。
物流不動産に寄って培われた、人の成長。
 
口幅ったい言い方になりますが。
これからの時代は、間違いなく社員一人ひとりが持つ人間力こそが企業力の差となることでしょう。
物流不動産というビジネスは、(乱暴な言い方をしてしまえば)お金を稼ぎながら人を育てることができる、とても可能性に溢れたビジネスであると私どもは考えています。
 
 
物流不動産の真髄は、物流と不動産を組み合わせて、新たな可能性を創り出すことにあると、私どもは考えております。そして、その可能性を創るのはプレイヤー次第ということですね。
 
 


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