秋元通信

「花粉症なんて病気はない!」、極論主張者に対するストレスを避ける方法

  • 2024.3.12

「花粉症って思い込みなんですよ。花粉症なんて病気はありません。つまり花粉症を自称する人は、詐病や虚言癖のたぐいです」
 
筆者は、花粉症です。
何年も前の話ですが、そのことをSNSに投稿したら、このようなコメントをしてきた人がいました。
 
「何をおかしなことを…」──そうは思いましたが、相手は年上で、加えてビジネスにおいて、それなりに実績を残してきた人です。
正面から反論して、なにか嫌な想いをしてもつまらないので、適当に受け流すことにしました。
 
ところが。
彼と筆者には、SNSで共通のフォロワーがいます。
そういう人たちの花粉症に対する投稿にも、彼は「花粉症=詐病」説をコメントし続けました。
 
当然、中には彼に真正面から反論する人もいました。
 
花粉症は医学的に認められているアレルギー性の病気の一種です。
そもそも、花粉症の人からすれば、「花粉症なんて詐病だ」と言われるのは不愉快です。自身が感じている花粉症の苦痛を否定する、差別的で屈辱的な発言です。
 
彼に対し、そのように主張した人がいました。
しかし、彼は平然とこのように答えたのです。
 
「催眠術には、ただの木の棒を『熱した鉄棒である』と対象者に刷り込み、実際に対象者に火傷をさせるようなチカラがあるそうです。
花粉症は、季節の変わり目にありがちな頭痛や鼻水等の体調不良に対し、マスコミを使って、花粉症という架空の病気を世間に信じさせた巨大な集団催眠であり、『花粉症の薬』を売りたい薬メーカーの陰謀なのです」
 
そう、彼は陰謀論者でもあったのです。
 
 
 

「花粉症=詐病」説を主張する人の特徴

 

  • 閉鎖的な思考
  • 自己防衛意識の高さ
  • 権威への不信感

 
「閉鎖的な思考」から補足しましょう。
 
まず、「花粉症=詐病」を信じる人は、花粉症ではない可能性があります。
「可能性があります」というのは、「かつて花粉症だった」人の中には、自身の経験から、「花粉症=詐病」を主張するようになったケースもありうるからです。
 
 
少し話が変わりますが。
 
「不眠症の治療に睡眠薬を使ってはならない」と主張する人がいました。
彼女は「ストレスから来る不眠症の治療のため、睡眠薬を服用し始めた結果、鬱(うつ)になった」と主張しています。彼女はヨガや瞑想によって不眠症を克服したそうです。
 
でも、真っ当に考えれば…
 
 

  1. ストレスが原因で、鬱になり、その症状のひとつとして不眠症になった。
  2.  

  3. そもそも不眠症に対し、睡眠薬を投与するのは、対処療法である。
    不眠症がさらにストレスを引き起こし、鬱症状を悪化させることがあるため、その悪循環を断つ役割も、睡眠薬は果たす。
  4.  

  5. ヨガ・瞑想によって鬱を克服したのは尊い経験だが、この事実は睡眠薬を否定する理由にはならない。

 
「閉鎖的な思考」を続けていると、近視眼になり、事実と結果の因果関係を見誤る可能性が高まります。
 
そして、これは「自己防衛意識の高さ」にもつながります。
 
「自己防衛意識の高さ」は、自己中心的で、高いプライドの裏返しとも言えます。
他者の意見を受け入れることは、自身の敗北と考える人もいますから。
 

  • 自分を守るために、他者の意見を否定する。
  •  

  • 他者の意見を否定する武器を手に入れるために、ねじまがった理屈(例えば陰謀論など)を受け入れてしまう。

 
「花粉症=詐病」説を主張する人の思考には、このような自己防衛のための歪な思考回路が生じている可能性があります。
 
「権威への不信感」は、他者を批判することで、自身の優越感を得ようとする裏返しでもあります。
例えば、「役人なんてバカばかりだからさ!」と主張する人の場合、国や地方自治体に勤めている人たちに対し、「民間に勤めている私たちよりも恵まれている」という妬みがあるのでしょう。
「花粉症=詐病」説を主張する場合、「薬メーカーは、暴利を貪っている」という思い込みであり妬みが、「権威の不信感」に繋がっていると考えられます。
 
 
 

「花粉症=詐病」説を主張する人とどのように対処すれば良いのか?

 
「花粉症=詐病」説の人だけではないのですが。
このような、極端で偏った主張をする人がいたら、私どもはどのように対処すれば良いのでしょうか?
 
一番良いのは、距離を置くことでしょう。
まともに相手をすると、疲れてしまいますから…
 
「触らぬ神に祟りなし」、距離を置くのが一番です。
 
 
しかし、こういう人が職場や学校、あるいは取引先などにいたらどうでしょうか。
地域コミュニティで考えれば、パパ友・ママ友などで、距離を置きにくいケースもあるでしょう。
 
有効なのは、「受け流すこと」と「適度に共感を示すこと」です。
 
SNSが極端な考え方を持つ人を、より攻撃的にしてしまうことは、以前記事にしたことがありました。
 

 
SNSには、「自分と近しい考え方や主張をする人の投稿を優先して表示させる」機能があります。結果、歪な主張が、より強固になってしまうことがあります。
こういう人に対し、真っ向から反論したり、あるいは真剣に気に病んでいたらキリがありません。「スルー力(りょく)」なんて言葉が流行ったことがありましたが、受け流して、適当にあしらっていれば良いのです。
 
「適度に共感を示す」のは、問題のある相手の主張をある程度認めてあげて、相手をいい気持ちにさせておくことを指します。
 
全面的に認めてはダメですよ。
ある程度、つまり「なるほど、そういう考え方もありますね」と受け流すということです。
 
 
4月は出会いと別れの季節です。
世の中にはさまざまな思想や考え方があって、中には反りの合わない人もいるでしょう。4月には、新たな出会いに喜びを感じることもあれば、ストレスを感じることもあるでしょう。
 
筆者自身、本稿では冷静であったかのように書いてきましたが、「花粉症って思い込みなんですよ」とSNSに書き込まれたときは、怒りとともに、これを主張した人に対し、恐れを感じました。
 
でも…、
端的に申し上げれば、世の中には変わった人もいるから、いちいち気にしないようにするしかありません。
 
新たな出会いに、ときにストレスを感じることがあれば、本稿を思い出していただければ幸いです。
 
 
 


関連記事

■数値や単位を入力してください。
■変換結果
■数値や単位を入力してください。
■変換結果
  シェア・クロスバナー_300