秋元通信

「あなたの会社のため」のオウンドメディアの役割とは?【インバウンドセールスへの転換期に考えるべきこと】

  • 2023.4.18

9年前、以下記事をお届けしたことがありました。
 
ホームページで集客を成功させた運送会社
 
メルマガ「秋元通信」を開始した1年目に配信した記事です。
ざっと内容をかいつまむと…
 

  • Webサイトからの集客で、車両台数を3倍以上に増やした中小運送会社のサクセスストーリー
  • ポイントは、「ニーズは少ないが、競合他社も少ない」キーワード設計で、SEOを行ったこと。(具体的には、「静岡」「精密機械」「配送」という複合キーワード)
  • 1年に数件しか問い合わせは入らなかったが、その数件の問い合わせがいずれも優良な運送案件(直荷主等)だったため、ビジネス拡大につながった。

 
SEO(検索エンジン最適化の略。ネット検索された時に、自分のホームページを上位に表示させるための手法のこと)の基本は、「たくさんの魚がいる、なるべく大きな池に、どうやって効果的な餌を放り込むか?」です。
 
いくらSEO効果の高いWebサイトを設けたところで、そもそもターゲットとなる検索キーワードがニッチすぎると、売上には直結しにくい…と考えられていました。
 
ただし、(運送会社に限らず)中小企業の場合、年に100件200件といったたくさんの問い合わせは、不要である場合も多いでしょう。特に、BtoBビジネスを行っており、またひとつの取引が、ある程度まとまった売上を生み出すことが期待できる場合、それほど多くの問い合わせ・引き合いは必要ありません。
 
この場合のSEOに求められるのは、「魚の数もほどほどの、小さな池であってもOK。ただし、効果的な餌は必要で、かつ『競合する釣り人の数』の少ないことが必要」ということになります。
 
前回記事において、このように述べました。
 

「SEOというのはWebサイトを含めたメディア・広告・宣伝戦略に、相応の資金投入、相応の人材投入を行うことができる企業に向いたやり方です。あえて言えば、SEOとは強者の戦略なのです」

 
基本、SEOは強者の戦略ですが、知恵を絞り、手間を掛ければ、中小企業であってもSEOを十分に活用することはできます。
ただし、そのためには、オウンドメディアにどのようなコンテンツを掲載し、どのようなキーワードでのSEOを狙うのかという周到な戦略が必要となります。
   

営業プロセスとオウンドメディア

 
もうひとつ大切なのは、これまで行ってきた営業活動における一連のプロセスにおいて、オウンドメディアにどのような役割を期待するのか?、という点です。
 
例えば提案商材の場合、オウンドメディアには、それまで対面での営業活動で行ってきた提案活動を代替するコンテンツが求められます。
提案活動が必要な商材(製品やサービス)は、機能が豊富だったり、いろいろなシーンで効果を上げられるといった汎用性を備えたりすることが災いし、「ウチのケースでも効果があるのかな?」と顧客が迷ってしまうケースが間々あります。そのため、導入事例コンテンツなどによって、顧客に対し、「なるほど、こういう使い方もできるんだ!」という納得と安心を提供するわけです。
 
機能性商材の場合は、その機能を紹介するコンテンツを設け、SEO上位を狙うことも有効です。
例えば、ダイエット時に有効なおやつのメーカーであれば、「ダイエット時にもおやつが必要な理由」「ダイエット時に求められるおやつの条件」といったコンテンツが有効になるでしょう。
例えば、防錆性能を備えた緩衝梱包材の場合は、「輸送時、あるいは保管時に製品が錆びてしまうリスク」を論じたり、その原因と解決策を例示したり、そもそもの「錆びるメカニズム」を紹介するコンテンツも有効でしょう。
 
こういった営業プロセスにおける初期段階の役割をオウンドメディアに託すやり方もあれば、最後の刈り取り、すなわち契約直前、あるいは契約そのものをオウンドメディアに委ねるやり方もあります。
価格表・料金表を掲載するのは最たる例ですし、資料やサンプルの請求フォームへと導くやり方もあります。
 
これまでの営業活動との相乗作用を狙い、どのようにオウンドメディアを設計していくのか?
これはとても大切なことです。
 
 
 

もうひとつ、大切なことは、「ファンを増やすこと」

 
もうひとつ、オウンドメディアの大切な役割は、企業、あるいは製品やサービスに対するファンを増やすことです。
 
特にBtoBビジネスの場合、「あの会社から製品・サービスを購入したいなぁ」と考えても、なかなか実現できないケースがあります。皆さまもご経験がありませんか?
 
いくら良いものであっても、例えばそれが減価償却を伴うようなものであった場合、今まで利用してきた設備・機器等の減価償却が終わっていないのに、導入するのはなかなか難しい問題です。
 
またニーズはあっても、機が熟していないようなケースもあるでしょう。「このサービスを利用すれば、現在のビジネスがさらにドライブするのに…」と分かっていても、この「現在のビジネス」の売上がまだ少ない場合もあります。
 
会社の業績が悪く、新たな製品・サービスの導入が難しいケースもありえます。
 
要は、あなたの会社の製品・サービスを購入したいと考えている人がいたとしても、時期とタイミングが合わなければ成約には至らないのです。
 
ここで大切なのは、その「時期とタイミング」が来るまで、あなたの会社、あなたの製品やサービスを覚えていてもらうことです。言ってみれば、そのときまでずっと、会社であり、製品・サービスのファンでいてもらうことが大切です。
 
理想的なあり方は、オウンドメディア、あるいはオウンドメディアに誘導するメルマガを継続的に購読してもらうことです。
 

  • 製品・サービスに関する最新情報
  • 導入事例紹介
  • 会社に関する情報(CSR活動なども含めた事業活動のトピック)
  • 関連する業界やテクノロジー、マーケットなどに関する情報

 
掲載されるコンテンツの内容として考えられるものを挙げてみました。
当メルマガ「秋元通信」も、当社のファンを増やしていくために運営しております。もっとも、内容はだいぶゆるいですけどね。
 
 
さて、今回は2回にわたってオウンドメディアに関して考えてきました。
 
新型コロナウイルスをきっかけに注目を集めるオウンドメディアですが、あなたが「オウンドメディアって良いんじゃないか?」と考えるということは、当然ながら競合他社も同じことを考えている可能性もあります。
オウンドメディア、あるいはインバウンドセールスに限った話ではありませんが、営業戦略が被った際に成果を分けるのは、つまるところ戦略と戦術の優劣です。
 
本稿が、オウンドメディアを考える皆さまのアイデアをまとめる一助となれば幸いです。
 
 
 


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