秋元通信

【2023年4月1日施行の改正道交法(解説 後編)】 新設される「特定小型原動機付自転車」とは

  • 2023.4.18

2023年4月1日、道路交通法の一部が改正されました。
今回の改正道交法のポイントは、「自動運転レベル4」の解禁と、電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車」です。
前回に続き、今回は特定小型原動機付自転車(略称は「特定原付」)について解説しましょう。
 
 
 

特定小型原動機付自転車について

 
まずは、特定小型原動機付自転車とはいかなるものか、確認しましょう。
 

  • 車体の大きさ
    • 長さ:190cm以下
    • 幅:60cm以下

     

  • 車体の構造
    • 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。
    • 20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。
    • 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。
    • AT機構がとられていること。
    • 道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていること。

 
また、特定小型原動機付自転車は、「保安基準への適合」「自賠責保険の加入」「ナンバープレートの取り付け」が必須です。
保安基準は別に定められ、満たしたものは、性能等確認済シール”等”が貼り付けられます(この”等”がよく分からないのですが)。
 
保安基準については別に定められています。
 

  • 前照灯
  • ウインカー
  • ブレーキランプ
  • テールランプ
  • ブレーキ

 
こういった、自動車・バイクでも馴染みのある装置に加え、以下のような基準も定められています。
 

  • バッテリーの安全性(PSEマーク等の基準に適合していること)
  • 最高速度表示灯(車道等では点灯、歩道では点滅)
  • 走行安定性(段差等を安全に走行できること)
  • スピードリミッター(設定最高速度を超えて加速しないこと。走行中は設定最高速度の変更ができないこと)

 
また、最高速度表示灯を点滅させているとき(≒歩道通行中)は、6km/hを超えてはならないとされています。
 
なお、特定小型原動機付自転車に免許は不要ですが、16歳未満は運転禁止であり、また飲酒運転もNGです。
 
 
 

特定小型原動機付自転車はどのようなモビリティなのか

 
特定小型原動機付自転車と言うと、「ああ、電動キックボードのことね」と思う人が多いかもしれません。しかし、特定小型原動機付自転車は電動キックボードに限ったものではなく、他にも自転車、電動車椅子、パーソナルモビリティ、自動走行ロボットなどが想定されています。
 
自転車に関して言えば、むしろ自転車と呼ぶよりも、現状の原付バイクに比べ、より小出力のオートバイをイメージしたほうが近いでしょう。
 
またパーソナルモビリティとは、セグウェイのような一人乗りのモビリティや、シニアカー(※今まではみなし歩行者とされていた)が想定されます。
 
 
物流関係者が注目すべきは、自動走行ロボットでしょう。
 
自動走行ロボットとして期待されるのは、宅配ロボットです。宅配事業者の営業所から、宅配先となる個人宅前まで自律走行し、そこで受取者を呼び出し、荷物を引き渡すロボットです。言わずもがなですが、トラックドライバーの人手不足が社会問題化する今、宅配におけるラストワンマイル配送の担い手として期待されています。
 
今まで、宅配ロボットに対する法律上の位置付けがなかったため、電動キックボードなどとまとめ、特定小型原動機付自転車として法律上の定義を定めたのが、今春に施行された改正道交法となるわけです。
 
 
政府は、自動車、オートバイ、自転車に次ぐ、新たなモビリティの創出を狙い、特定小型原動機付自転車を定めました。ただし、特定小型原動機付自転車は、自動車等に混じり車道を走るには出力が低すぎて交通の流れにのれず、一方で歩道を走る(※厳密には、「通行する」と表現されています)場合には、歩行者の安全性を損なう危険性が懸念されています。
 
果たして、特定小型原動機付自転車が私たちの生活を豊かにするものなのか、それともいたずらに交通秩序を混乱させるものになってしまうのか…
注意して見守らなくてはならない存在になるかもしれません。
 
 
 


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