秋元通信

「物流革新に向けた政策パッケージ」(内閣官房)がついに発表!

  • 2023.6.21

2023年6月2日、「物流革新に向けた政策パッケージ」(「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議決定」、内閣官房)がついに発表されました。
これは、「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスに対し、「これから政府が行って行く政策」のサマリーを発表したものです。
 
もちろん、法制化に際してはまた別の議論が行われるので、今回の発表内容がそのまま実施されるわけではないですけどね。
 
今回は、この「物流革新に向けた政策パッケージ」について、その内容をご紹介します。
 
 
 

「物流革新に向けた政策パッケージ」の概要

 

  • 商慣行の見直し
  • 物流の効率化
  • 荷主・消費者の行動変容

 
それぞれ、主だった点をご紹介していきましょう。
 
 
 

商慣行の見直し

 
「規制的措置等の導入」として挙げられているのは、「荷待ち時間・荷役時間の削減」、あるいは「多重下請構造の是正」です。
 
また「標準的な運賃」の拡充・徹底など、適正運賃収受や価格転嫁を円滑に進められる取り組みを行うとしています。
 
この「商慣行の見直し」で、良くも悪くも注目されているのは、「トラックGメン」の創設でしょう。
  
トラックGメンについては、このように説明されています。
 

「『トラックGメン(仮称)』を設置し、発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化する。
また、当該Gメンによる調査結果を貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者への『働きかけ』『要請』等に活用し、実効性を確保する。
加えて、自動車運転者の健康と労働条件を確保するため、自家用自動車により自社の貨物を輸送する事業者についても、労働基準法や改善基準告示の遵守の徹底を図る」

 
今回の取り組みでは、きちんと監視機関を設け、規制等も含めて物流変革を推し進めていくという目論見のようです。
 
ただし、またこの時点ではその詳細な内容は不明です。
トラックGメンにしても、どの省庁の管轄で、誰がどのように担うのか、まったく具体的になっていませんから。
   

物流の効率化

 
「物流の効率化」では、具体的な項目が挙げられています。
 

  • バース予約システム、フォークリフト導入などによる自動化・機械化等
  • 鉄道・内航海運の輸送力増強等によるモーダルシフト
  • 自動運転、ドローン物流、自動配送ロボット、港湾AIターミナル、サイバーポート、フィジカルインターネット等
  • パレットやコンテナの規格統一化等
  • 道路・港湾等の物流拠点(中継輸送含む)に係る機能強化・土地利用最適化や物流ネットワークの形成支援
  • 高速道路のトラック速度規制(80km/h→100km/h)の引上げ
  • 労働生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現
  • 特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上
  • ダブル連結トラックの導入促進
  • 貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し
  • 地域物流等における共同輸配送の促進
  • 軽トラック事業の適正運営や輸送の安全確保に向けた荷主・元請事業者等を通じた取組強化
  • 女性や若者等の多様な人材の活用・育成

 
これらとともに語られるのが、物流GX(グリーントランスフォーメーション)、物流DX、物流ロボット、標準化などです。
 
高速道路における最高速度引き上げなど、少々効果に疑問符がつく項目もありますが、具体的な施策が挙げられている点は評価すべきでしょう。
   

荷主・消費者の行動変容

 
今回の「物流革新に向けた政策パッケージ」において、ある意味、もっとも重要でありながら、難しいのが、この「荷主・消費者の行動変容」でしょう。
 
今回の発表では以下を挙げています。
 

  • 荷主の経営者層の意識改革・行動変容を促す規制的措置等の導入
  • 荷主・物流事業者の物流改善を評価・公表する仕組みの創設
  • 消費者の意識改革・行動変容を促す取組み
  • 再配達削減に向けた取組み(再配達率「半減」に向けた対策含む)
  • 物流に係る広報の推進

 
ある意味、行政がこれまでもっとも怠っていた項目のオンパレードですね。
 
この「物流革新に向けた政策パッケージ」について、当事者たる私たちがもっとも気になるのは、「これってホントに実現するの?」という点です。
 
ただし、ひとつ言えるのは、かつて時の政権が、これほどまでに物流政策にチカラを入れたことはなかったことです。
「物流革新に向けた政策パッケージ」の項目ひとつひとつについては、皆さまそれぞれご意見もあろうかと存じますが、少なくとも政府が物流政策にチカラを入れ始めたという事実については、評価し、応援するべきではないでしょうか。
 
 
 


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